2010年05月17日
アルコニックスの決算説明会で正木英逸社長が「中期経営計画」を発表
■前期に事業拡大策を次々と実行
非鉄専門商社のアルコニックス<3036>(東2)は、14日に前10年3月期連結業績を発表し、同日本社で決算説明会を開催した。
前10年3月期連結業績は、売上高1091億9200万円(前09年3月期比34.0%減)、営業利益15億3700万円(同6.6%減)、経常利益14億200万円(同11.1%減)、純利益17億9900万円(同889.3%増)となった。売上、営業・経常利益共に09年3月期を下回るものの2社の株式を取得したことに伴い負ののれん発生益10億9000万円を特別利益に計上したことから大幅最終増益となっている。
今回の決算説明会は、前期の総括、決算内容、今期業績予想、中期経営計画の順で進められた。
まず、代表取締役社長正木英逸氏は、「自動車、家電、IT関連企業が回復してきたことから、非鉄の価格が、強含んでいる。今期の大幅な回復が期待できるのではないかと見ている。そのため、今期は意欲的な数字を出している」と語った後で、「前期は、4月1日に林金属、8月に大川電機製作所の株式を取得し、グループで初めてのメーカーを傘下に収めた。また、9月には連結子会社であるALCONIX(THAILAND)LTD.と共同でALCONIXLOGISTICS(THAILAND)LTD.を設立。更に今年1月には飛躍的な成長を続けている中国のダイカスト需要を取り込むために中国の江蘇省にALCONIX DIECAST SUZHOU CO LTD.を100%出資で設立し、4月より営業を開始している。3月には関連会社である三高金属産業から事業譲渡を決定、5月より営業を開始しています」と前期に事業拡大策を次々と実行したことを説明した。その後、前期決算内容の説明に引き続き、専務取締役山下英夫氏より今期の業績予想についての説明が行われた。
■取り扱い数量増と子会社の貢献で営業利益の伸び率が高まる
今11年3月期連結業績予想は、売上高1430億円(前期比31.0%増)、営業利益21億円(同36.6%増)、経常利益19億円(同35.4%増)、純利益10億円(同44.4%減)と大幅増収、営業・経常利益共に大幅増益を見込むが、最終利益は、前期の特別利益による大幅増益の影響を受けて、大幅減益となる。しかし、「負ののれん代を除くと前期の最終利益は7億900万円であります」(山下専務)とのことで、今期の最終利益10億円は立派な数字といえる。
事業部門別売上・営業利益予想を見ると、軽金属・銅製品619億円(同35.1%増)、10億4000万円(同47.3%増)、電子・機能材464億円(同22.3%増)、8億3000万円(同33.5%増)、非鉄原料265億円(同44.1%増)、2億7000万円(同4.2%増)、建設・産業資材82億円(同16.6%増)、△4000万円(同32.1%減)となっている。取り扱い数量増と子会社の貢献で営業利益の伸び率が高まっている。
■3年後には、連結経常利益30億円以上、連結純利益18億円以上を確保
最後に、正木英逸社長が、中期経営計画(11年3月期から13年3月期まで)について説明した。
全体、戦略から展開する5つのアクションプランとして、営業収益力の強化、投資案件の推進、財務体質の強化、人的資源の強化、インフラ整備及び内部統制の充実・強化を実行することで、3年後には、連結経常利益30億円以上、連結純利益18億円以上の確保、経営指標としてROE(自己資本利益率)15%程度、NET DER(負債比率)1倍程度としている。その間の投資資金は、15億円から25億円を予定している。
3年間の売上高、経常利益推移は、11年3月期1430億円、19億円、12年3月期1630億円、24億円、13年3月期1830億円、30億円としている。なお、12年3月期の経常利益24億円は過去最高レベルに並ぶ。
■電子材料分野に重点的に人、資金を集中し、成長産業に素材を供給
では、どのようにして、3年間の計画数値を達成するかというと、営業収益を強化するために、日本の成長の核となっている電子材料分野に重点的に人、資金を集中し、成長産業に素材を供給する。具体的にはレアメタル、レアアースといった素材及びそれを加工した結晶材料、金属粉末、液晶・電池材料、半導体周辺素材、機能材などを今後も成長が期待されるIT、自動車関連企業に提供していく。
次に挙げられるのが環境対応関連分野で、太陽電池、燃料電池、電気自動車、ハイブリッドカー、環境対応ディーゼル等に向けた各種素材、LED用素材の扱いを拡大する一方で、非鉄金属にとどまらないリサイクル事業も行う。
更に、海外事業を活発化させる。中国進出の日系企業または、中国企業との地場取引の拡大、ロシア・中国・米国等新規仕入れソースを開拓し、三国間取引を拡大する。また、新興国である、ベトナム・インド等にも拠点を設立する。
前期に引き続き、M&A、投資も積極的に行う方針。条件として、シナジー効果が見込めるもの、直接・連結決算に寄与するものを基本としている。
具体的には、アルミ・銅の市場で、日本では飽和状態であるが、海外では成長が見込めるためアルミ・銅に関して投資を考えている。また、資源ナショナリズムに対処し、資源を確保するために、メーカーを交えながら、鉱山の開発も視野に入れている。更にリサイクル事業を活性化し、提案型オルガナイザーとして、非鉄金属商社の枠を超えた新ビジネスを創出する計画。
同社は電子材料向けのレアメタルでトップクラス。金属チタンで5割、タングステン化合物で2割強、チタン展伸材で2割弱、ニッケル粉末で7割強のシェアを持つ。成長市場でのシェアを持っているうえに、時代の流れに沿い、専門分野でのM&Aに積極的であることから、着実に事業規模の拡大が進んでいる。