2008年10月22日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

三栄建築設計 厳しい環境の中で15期連続の最高益更新を達成


三栄建築設計ホームページ 三栄建築設計<3228>(名セ)は、10月10日に08年8月期業績を発表している。売上高277億4100万円(前々期比36.0%増)、経常利益18億7200万円(同0.4%増)、純利益10億2300万円(同1.4%増)と最高益更新を達成した。

 戸建業界は、地価の下落、建材の高騰、第一次取得者層の購買力の低下などの理由により販売が計画通りに進まず大量の在庫が積みあがっている。また、3階建て以上の建物については、2007年6月の改正建築基準法の影響をもろに受け2007年末まで建物の完成が大幅に遅れた上に、2008年年初から販売の市場環境が悪化したことで利益を同業上場各社は大幅下方修正しており、なかには倒産した企業も出てきている。そのような厳しい環境の中で同社は創業以来の15期連続の最高益更新を達成した。同社への関心が高まる中で、20日に前期業績と今期の業績予想に関する決算説明会が行われた。

 前期の業績を振り返ると、業界全体では、在庫が積みあがったことで、早期在庫削減を目的に販売価格を引き下げて販売する企業が多かったが、同社は、1つ1つに拘った丁寧に売れるオンリーワンの家づくりをこれまで通りに徹底的に行ってきた結果、価格競争に大きく巻き込まれることはなかった。ただ、改正建築基準法の影響で、第3四半期に利益率の高い3階建ての建築確認が遅れ、第4四半期にずれ込んでしまった結果、3階建ては前年より25.7%減となったが、第4四半期に完成物件の販売を2階建て、3階建て併せて233棟販売したことで、改めて同社の実力が確認される結果となった。

 業界の環境は最悪といえるほど厳しい環境であったので、仕入れにおいて在庫を抱えながらの事業展開を改め、更に慎重に事業を進めるために、計画した売上に見合った仕入れを行い、計画的に在庫を作り、売上を伸ばしてきた結果、営業キャッシュ・フローは31億9800万円の黒字となった。投資キャッシュ・フローは△8億5700万円、財務キャッシュ・フローは△20億9800万円と全て営業キャッシュ・フローの範囲内で行う理想的な事業運営となった。現金及び現金同等期末残高は21億6000万円(同12.7%増)と増加している。

 事業別で見ると不動産販売は、2階建て住宅の売上高135億6800万円、3階建て住宅88億8200万円、福生の開発型案件28億7000万円と全体では36.6%増の270億9500万円であった。販売棟数、売上高、売上総利益ともに過去最高であったが、地価の下落の影響で、利益率は下がった。経営の安定化を図る賃貸収入事業は、4棟168戸を取得した結果、売上高は13.2%増の6億4500万円となった。

 今期業績予想は、売上高300億3700万円(前期比8.3%増)、経常利益21億900万円(同12.7%増)、純利益11億3900万円(同11.3%増)と最高益更新を見込む。
 前期末の棚卸資産・建物別の概況を見ると2階建て226棟、売上高87億9500万円、3階建て208棟、売上高84億8800万円、開発案件92棟、売上高29億2900万円、土地など39棟、売上高10億1500万円である。売上高を合計すると212億2700万円。土地を企画し家を建てて販売に至るまでの期間は約6ヶ月であるので、今期の予想売上高は十分にクリアできる数字。

 今年は、サブプライムローンの影響で、ファンドが日本から撤退したため不動産業界の環境は激変し、土地の価格は急落している。マンション、戸建住宅業界も土地価格の下落、建設資材の高騰、改正建築基準法の影響で不振を極めた。更に業績が悪化した企業は銀行からの融資が断られ、今年に入って20社を超える上場企業が倒産するなど最悪の環境である。ところがそのような厳しい環境下でも同社は最高益更新を達成した。今後においては、東京都3区内の地価が下がることで、総額を抑えた住宅の企画が可能になることにより、前期で首都圏木造3階建てのシェア2%を伸ばし中期的に5%のシェアを確保し都市型ビルダーNO.1のブランドを確保する計画となっている。

>>三栄建築設計のIR企業情報

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2008.10 |特集