2010年10月25日
三栄建築設計は10年8月期初の300億円台売上達成、過去最高利益を確保
■23区内の狭少宅地の都市型3階建ては同社の独占状態
戸建住宅の三栄建築設計<3228>(名セ)は、10月8日に前10年8月期決算短信を発表した。
売上高301億2400万円(09年8月期比3.5%増)、営業利益47億3400万円(同113.2%増)、経常利益44億6800万円(同124.3%増)、純利益23億1200万円(同121.7%増)と初めて300億円台の売上を達成し、過去最高の利益を確保した。
13日に大手町サンケイプラザで、決算説明会を開催。
代表取締役社長小池信三氏は「前期を振り返りますと、会社始まって以来の好調な1年でした。東京都23区内の供給戸数が順調に伸び、23区内の狭少宅地の都市型3階建ては当社の独占状態でした。現在、木造三階建てについては当社の右に出る企業はないと自負しています」と自信を示した。更に続けて、「現在注力していることは、企業価値を高めることです。そのため、継続的なTV番組提供と、スポットによる集中的なCM展開により、知名度の向上を図っています。特に『笑っていいとも!』に1年間CMを流したことで、企業価値が高まったと思っています」と現在放映されているCM及び、HP上で展開している個別物件のPR動画を会場のスクリーンに流し、企業価値の向上に努めていることを紹介した。
■30〜40歳のサラリーマンが主な購入層
前期の戸建事業の売上高は252億1311万円で、販売棟数は604棟。同社が得意とする3階建は23区内で263棟と全体の43.5%を占めた。供給エリアは、東京都23区内332棟(54.9%)、東京都23区外75棟(12.3%)、千葉県市川市・浦安市16棟(2.5%)、埼玉県さいたま市・川口市74棟(12.2%)、神奈川県横浜市・川崎市57棟(9.4%)、その他エリア41棟(6.7%)と東京都23区内での棟数が最も多い。
1棟当たりのエリア別平均価格は、東京都約4430万円、東京都23区内約4680万円、東京都近郊及び横浜エリア約3900万円、全社平均価格約4170万円。「4人家族で家賃を月額13万円支払うのであれば、戸建住宅を購入した方が得であり、30〜40歳のサラリーマンの方々が主な購入層となっています」(小池信三社長)。
■不動産請負事業は、売上高41億9990万円(対09年8月期比6.0倍)と急成長
今期急成長した不動産請負事業の売上高は41億9990万円で請負棟数は284棟。供給エリア別の棟数は、東京都23区内214棟(75.3%)、東京都23区外35棟(12.1%)、千葉県市川市・浦安市7棟(2.4%)、埼玉県さいたま市・川口市6棟(2.0%)、横浜市・川崎市6棟(2.0%)、その他エリア16棟(5.6%)と東京都23区内が圧倒的に多い。
「同業者であっても15坪の土地に4000万円台の3階建てを建てることが出来ないことから、同業者から当社に委託していて、3階建てについては競争相手がいない状況です」(小池信三社長)と23区内の狭小宅地の3階建てについては同社の独壇場であることが明確となっている。
不動産請負事業の1棟当たりの受注平均単価は1478万円。1棟毎にプロジェクトチームを作り、これまで蓄えてきた企画力・設計力・施工力を活かす体制が出来ている同社ならではの単価。従って、09年8月期に52棟、売上高6億9998万円であったのが、10年8月期には284棟(対前期比5.46倍)、売上高41億9990万円(同6.0倍)と急成長している。
■今期は請負棟数336棟(前期比18.3%増)、売上高46億4600万円(同10.6%増)と2ケタ成長を見込む
大手ハウスメーカーの10年度請負事業の棟数と増減率を見ると、積水ハウス<1928>(東1)1万5784棟(対前年比8.5%減)、大和ハウス<1925>(東1)9917棟(同14.1%増)、積水化学<4204>(東1)9480棟(同2.0%増)、ミサワホーム<1722>(東1)8570棟(同2.4%減)、パナホーム<1924>(東1)5680棟(同4.0%減)、住友林業<1911>(東1)9465棟(同0.9%減)と大和ハウス、積水化学以外は受注棟数が減少している。
その様な状況の中で、同社の受注件数はまだ少ないが、成長性は対前期比446.2%増と急成長している。今期は請負棟数336棟(前期比18.3%増)、売上高46億4600万円(同10.6%増)と2ケタ成長を見込んでいる。10月現在で既に175棟(計画比52.0%)を受注し、売上高23億9200万円(同51.4%)が契約済みである。
一方、今期の戸建て分譲事業は、売上高371億8500万円、販売棟数889棟を見込んでいる。10月現時点で現在庫の売上高は312億6700万円(計画比84.0%)で、棟数は738棟(同83.1%)となっていることから戸建て分譲事業も順調に推移している。
また、今期の賃貸事業の売上高予想は7億5652万円であるが、現在の賃貸物件の稼働率を引き上げることで、達成できる数字。新規物件については、利回りの良い物件であれば購入するとしている。現在の826件の物件を所有している。
■今11年8月期業績予想は、売上高425億8800万円(前期比41.4%増)と大幅増収を見込む
総資産は267億6900万円(前期比98億8100万円増)、純資産87億3700万円(同21億8100万円増)となり、自己資本比率は32.6%と6.2%下げている。自己資本比率は下がっているが、今期の売上高が40%以上の大幅増収を予定しているために、仕掛販売用不動産が急増している影響であり、不安要因は全くない。
急成長を続ける同社であるが、成長を支える人材面については、同社の基本理念である「家造りの美学」を社員全員が共有することを大切にし、社員教育を徹底している。従業員数は09年8月期期より51名増えて、10年8月期末で役員を含め従業員数211名となっている。今期中に74名の増員を見込んでいる。
今11年8月期業績予想は、売上高425億8800万円(前期比41.4%増)、営業利益53億9500万円(同14.0%増)、経常利益50億2400万円(同12.5%増)、純利益27億8200万円(同20.3%増)と大幅増収増益で過去最高益更新を見込む。
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