2011年10月21日
三栄建築設計:前11年8月期決算説明会を開催
■創業以来18期連続増収増益を達成
三栄建築設計<3228>(東・名2)は、10月13日に東証アローズで前11年8月期決算説明会を開催した。
取締役管理部長吉川和男氏より、決算概要についての説明が行われた。
「初めにトピックスとしましては、8月4日付で東京証券取引時市場第二部に上場、並びに名古屋証券取引所市場第二部に指定替えとなっています。
今年3月11に東日本大震災が発生しましたが、当社の資材調達に影響はございましたが、18期連続増収増益を達成することが出来ました。
また、純資産が初めて100億円を超えました。これも大きなエポックとなっています。更に、前々期に引続き経営方針であります経常利益率8.5%を超えまして、12.7%と高い利益率を前期に引続き継続することが出来ました、というところが特色となっています。
先ほど申しましたように、大震災が発生しましたので、5月30日に前期業績予想について修正いたしましたが、ほぼ修正値を達成しました。売上高37,784百万円、営業利益5,143百万円、純利益2,703百万円と修正値を上回りましたが、経常利益は修正値4,827百万円に対し、実績は4,813百万円と僅かですが下回りました。これは期ずれにより仕入れ値に金利分が発生したことによります。
前期の売上高は37,784百万円と25.4%増となりました。その内訳は、不動産販売事業33,349百万円、32.2%増、不動産請負事業3,577百万円、14.9%減、賃貸収入事業856百万円、20.3%増であります。その結果、売上総利益は7,759百万円、13.0%増となりました。販管費につきましては、売上の増加と社員数も増えたことにより、2,615百万円と22.8%の増となっています。営業利益は5,143百万円、8.6%増、経常利益は4,813百万円、7.7%増でありました。特別利益については、相手都合により不動産を売却したことで94百万円、特別損失は資産除去債務による影響額20百万円がありました。税引前当期純利益は4,887百万円、15.1%増、純利益2,703百万円、16.9%増となり、創業以来18期連続の増収増益を達成することになりました。
■請負事業の受注契約は432件、56%増と順調に増加
前期の当社の不動産販売事業においては、775件のうち599件が3階建てでございます。そのうち23区内が前期263件から391件と増加しており、当社の特色が色濃く出ている期となっています。
当社の請負事業については、10年8月期の受注契約は277件、前期は432件と10年8月期比56%増と契約件数が順調に増加しています。しかしながら震災の影響がございましたので、こちらの方も引渡基準で見た場合、10年8月期284件、前期248件と期ズレの発生によりまして、減少していますが、契約ベースにおいては、好調に推移したということでございます。
賃貸収入事業に関しては、前期は6棟79戸を賃貸資産として購入しておりまして、売上は856百万円、前期比20.4%増、売上総利益は537百万円、31.0%増、営業利益435百万円、27.6%増となりました。賃貸収入事業におきましても稼働率が上っておりまして、非常に順調に推移しています。
次に、不動産販売事業、請負工事事業の2事業の売上原価についてご説明いたします。前期の不動産販売原価は10年8月期の19,627百万円に対して、26,690百万円となりました。不動産販売事業の売上原価につきましては、棟数が拡大したことによりまして、全般的に上昇していますが、特に前期は23区内の件数が増えております。その為、建築単価もやや上ったということでございます。請負工事原価は、10年8月期の3,332百万円に対し、前期は3,015百万円と引渡戸数に期ずれが生じたことにより減少しています。
続きまして、販管費のご説明をさせていただきます。当社は仲介手数料は、毎月売上の概ね2.4%以内で計上されています。これを除きますと6.9%から2.4%を引いたところがほぼ当社の固定費としてみていただいた方がよろしいかと思います。前期は売上に対する販管費比率6.9%でございました。また、人件費については、人員が増えていますので、その分1億27百万円増えたことになっています。
■自己資本比率は35.0%と2.4ポイントアップ
貸借対照表についてご説明いたします。総資産は、10年8月期比54億80百万円増加しています。棚卸資産のほうは期ズレの影響がございましたので、37億29百万円増となっています。賃貸不動産に関しましては、不動産の取得により、14億19百万円の増となっています。
負債につきましては、合計額で10年8月期比29億39百万円の増加です。その内訳は、不動産販売事業における事業用地仕入資金や賃貸不動産購入などに係わる借入金が20億51百万円の増加、大震災の影響による資材の調達遅延に係わる買掛金の増加が10億89百万円でありました。
純資産は、前期の純利益の増加によります剰余金の増加に伴いまして25億61百万円増加しまして、100億円を超えてまいりました。自己資本比率は、10年8月期の32.6%に対し、前期は35.0%と2.4ポイントアップしています。
続きまして、キャッシュ・フローの説明を行います。営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増加ということがございました。これは、順調な土地の仕入と、棚卸資産が増加しておりますので、その影響で増加しております。その為、営業活動によるキャッシュ・フローは57百万円の支出となっております。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、賃貸用の固定資産の取得により、24億92百万円の支出、投資有価証券及び有形固定資産の売却による収入8億27百万がございましたので、18億46百万円の支出となっています。
財務活動のキャッシュ・フローにつきましては、用地仕入れ、賃貸用不動産の取得に係わる借入れが188億25百万円、用地仕入れ、賃貸用不動産の取得に係わる借入金の返済による支出が167億86百万円、配当金の支払い1億41百万円となり、18億97百万円となりました。
その結果、現金及び現金同等物の期末残高は、61億36百万円でございます」と前期決算の概要についての説明が行われた。
■木造3階建てでは技術力、設計力、組織力に関し他社に追随を許さない
引き続き、代表取締役社長小池信三氏より、三栄建築設計のビジネスモデル、中期経営計画についての説明が行われた。
「当社はご存知のように、建売住宅、注文・請負事業、賃貸アセット事業と3つの事業を行っておりまして、特に建売事業と請負事業において、木造3階建てにおきましては、技術力、設計力、組織力におきまして、他社に追随を許さないところまできています。その為、現在非常に高いシェアを確保しています。木造3階建てというのは、構造計算という非常に複雑な設計基準がありまして、なかなか参入してくるのが難しいのが現状です。その為、現在競合といえるような企業が見当たりません。当社は、木造3階建ての強みを発揮し、今期は非常に高い伸びを示しています。今後も木造3階建てに注力していきます。
現在、当社は首都圏を中心に展開していますが、今後、名古屋、大阪に進出していきながら、当社の木造3階建ての強みを発揮していきたいなと思っています。もちろんこの木造3階建ての強みを使って、今、積極的に、請負事業、注文事業の受注も増やしています。前期は大震災の影響で、請負事業の引渡戸数は減少しましたが、受注ベースでは非常に高い伸びを示しています。
賃貸収入事業につきましては、前期まで、賃貸収入事業課という課を設けていましたが、今期よりアセット事業課と名称を変更しまして、ネットで10%の収入を確保できる物件を購入していきます。一つ一つ案件を選別しながら確実に事業を拡大していく方針です」と3事業について語った後で、再度、詳しく木造3階建ての事業について紹介した。
■完成1ヶ月以内での契約は91.4%と高い契約率
「当社の木造3階建てというのは、自由な設計と、自由なデザインを活かすだけでなく、低コストで作れるため、一般のお客さまの支持を得ています。その結果、当社の建売住宅におきましては、完成1ヶ月以内での契約は91.4%と高い契約率になっています。都心の良い場所に、敷地の狭い中で木造3階建てを立てることでスタートしています。23区内の土地の面積でいうと、15坪から20坪、畳でいうと30畳から40畳といった広さに、4LDK、3LDKの車庫付きの家を作り、4000万円台で商品化します。利便性の良いところに第1次取得者で、年収530万円の方でも1軒屋を持てるというビジネスモデルで行っていますので、契約率91.4%で分かりますように、大人気の商品でございます。その為、利便性の良い土地があれば、積極的に購入し、今後も第1次取得者のために供給していきたいと考えています。
当社の棟数の拡大は、創業以来順調に来ていまして、年間1,000棟を目標に掲げていましたが、前期に分譲775棟、請負248棟と合わせて1,023棟供給を達成いたしました。次は、新たなステージとして、中長期的に1,000億円を目指していこうということで、全社でスタートしています。1,000億円の売上構成としては、不動産販売事業65%、マンション事業・アセット事業20%、不動産請負事業15%とこういう割合で達成することを考えています。
今期は名古屋支店をオープンしました。続きまして、大阪の方も支店をオープンし、展開していこうと考えていまして、長期的に300棟、売上高105億円を達成しようと思っています。
また、今期は、新しく始めましたマンション事業のほうでは、現在JR総武線の平井駅から徒歩9分のところに、総戸数48戸のマンション建設に着手し、今期17億円の売上高を見込んでいます。マンションの事業用地の情報も入手できる状況になっていますので、マンション事業の方も積極的に注力していきます。
■不動産販売事業の進捗率80.8%と高く、今期の業績達成はほぼ確実
中長期的に売上高1,000億円を目指す中で、3ヵ年の中期経営計画を発表しています。今期12年8月期は、売上高53,662百万円、前期比42.0%増、営業利益6,449百万円、前期比25.4%増、経常利益6,005百万円、前期比24.8%増、純利益3,302百万円、前期比22.2%増と増収増益を見込んでいます。
不動産販売事業については、既に今期の土地の在庫は、今期目標棟数1,091棟のうち、882棟の在庫がありますので、進捗率80.8%と高いことから、今期の業績達成はほぼ確実といえます。
また、不動産請負事業は、受注ベース500棟を目指しています。今期の目標棟数は390棟ですが、現在の契約残が342棟となっていて、進捗率は87.7%になっています。こちらの方も目標棟数の達成は確実と思えます。
また、先ほどお話しましたマンション事業については、最多価格帯が3800万円台、こちらの方も第一次取得者をターゲットとした物件であります。特徴としましては、オンリーワンのマンションということで、デザインと外観に重視しています。既製品ではなく当社独自のオリジナルタイルを使用します。毎回毎回、そのマンションのコンセプトにあわせて、タイルの窯元と契約しまして、他に無い商品を提供していこうと思っています。
また、アセット事業については、現在、49物件、1,035室を所有しております。直近の月次賃料収入は、91百万円です。満室になれば、1億1百万円の収入となります。現在の入居率が91.59%です。年々高くなっています。今期も既に収益率の高い物件を2件購入済です。今後も利回りの高い物件を購入し、財務体質の安定化を図っていきます。
■設計力と技術力と全体的な棟数があるからこそ出来るコストダウン
今期も中期経営計画の達成を目指して、好スタートを切っています。中期の最終年度であります、14年8月期の業績予想は、売上高70,000百万円、売上総利益12,976百万円、売上総利益率18.5%、営業利益8,673百万円、営業利益率12.4%、経常利益7,951百万円、経常利益率11.3%、純利益4,373百万円を目指しています。
中期経営計画の数字は決して無理な数字を提示しているわけではございません。毎年100億円程度の売上を伸ばしているわけでございます。3事業あわせて確実に一歩、一歩完成していこうと思っています。
特に当社のビジネスモデルである木造3階建ては、真似できる商売ではないということです。設計力と技術力と全体的な棟数があるからこそ出来るコストダウン、この3つが揃わないとなかなか、ワンランク上の3階建て住宅を提供できることは出来ません。資本があるから出来るとか、長年やっているから出来るとか、そういうことはありません。蓄積されたノウハウに加え、それに特化したビジネスを18年間やり続けてきたからこそ初めて出来るといえます」と木造3階建て住宅に対する絶対的な自信を紹介した。
最後に株主還元策として、100株以上の株主に一律1キログラムのお米券5枚を進呈するように株主優待券を変更したことも触れた。従って、配当35円に加え、毎年お米券5枚もらえることから、実質配当利回りはかなり高くなる。高配当企業といえます。
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