2011年11月16日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

イントランス:第2四半期連結業績は期初予想を大幅に上方修正し着地


■業績は一変しV字回復を達成

イントランスHP 不動産業のイントランス<3237>(東マ)は10日、今12年3月期第2四半期連結業績を発表し、同日に兜町平和ビルで決算説明会を開催した。
 上半期業績、経営戦略及びビジネスモデル事例、アクションプランの進捗、業績予想の上方修正の順に代表取締役社長麻生正紀氏より詳しく説明が行われた。
 第2四半期連結業績は、決算説明会を開催する前に上方修正を発表したように順調であった。売上高は、前回予想を3億56百万円上回る9億56百万円(増減率59.3%増)、営業利益は1億32百万円上回る2億32百万円(同132.0%増)、経常利益は1億59百万円上回る2億19百万円(同265.0%増)、純利益は1億59百万円上回る2億19百万円(同265.0%増)と大幅な上方修正となった。
 前第2四半期単体の業績は、売上高1億73百万円、営業利益△4億11百万円、経常利益△4億33百万円、純利益△4億34百万円であったことを踏まえると、業績が一変し、V字回復を達成したといえる。

■代表取締役社長麻生正紀氏 第2四半期業績の概況を語る

 「上半期だけで通期の利益を前倒しで達成したことになり、本日通期業績予想も上方修正いたしました。上方修正の要因といたしましては、当社の強みであります企画力を生かしてスピーディーにバリューアップした不動産の価値がそのまま利益に反映したことによります。事業別では、プリンシパルインベストメント事業において、前期末に購入していた6物件のうち区分所有のマンション4戸を含む5物件を上半期に売却いたしました。また、上半期に購入した6物件のうち1物件は既に売却が済んでいます。この結果、プリンシパルインベストメント事業の売上は、6億71百万円、粗利は2億14百万円となり、主力事業が完全に復活を果たしました。
 フィービジネスを行うソリューション事業につきましては、上半期の売上高は、2億85百万円、粗利は2億45百万円となりました。去年から引き続き好調を維持しており、フィービジネスだけで販管費を賄えるだけの利益を確保できました。
 また、プロパティマネジメント事業では、建物管理等の受託件数が、上半期だけで、7棟増加しており、着実に成果を出しております。
 財務面では、厳選した6物件を購入したことで、販売用不動産は前期末比20億94百万円増加し、23億78百万円となりました。また、比較的規模の大きいプロジェクトについては、資金調達方法を多様化したことで、自己資本比率は33.5%と高い水準を維持しており、財務リスクを低減しております。この様に当社の企画力を生かした早期販売により、ビジネスモデルは軌道に乗ってきており、株主の皆様をはじめとしたステークホールダーの皆様の期待に応える結果を残したと思っています。

■第2四半期はプリンシパルインベストメント事業が大きく黒字化

 第1四半期は不動産販売が、3戸だけであったために売上高は伸びませんでしたが、渋谷のプロジェクトの地位譲渡契約が収益に貢献し、営業利益率は41.7%と高い水準になりました。
 第2四半期はSPCの匿名組合の持ち分を取得しSPCの所有する物件を短期で販売したM&Aのプロジェクトの完了や、杉並プロジェクトの完了によりプリンシパルインベストメント事業が大きく黒字化し、第1四半期を大きく上回る増収増益となりました。この結果、経常利益、純利益は第2四半期で、通期予想を前倒しで達成しました。
 続きまして、上半期の実績事例についてご説明申し上げます。まず渋谷プロジェクトですが、当社が一体開発型プロジェクトを企画し、売主に手付金を支払った物件について、プロジェクトに賛同する投資家が出資するSPCへ買主の地位を譲渡し、自己資金を最小化して収益を確保しました。買主が購入後は、建物管理も受託したうえで、投資家と共同でSPCを組成し、長期的な不動産価値の向上を目指します。
 杉並プロジェクトでは、隣地所有者との等価交換方式により小さな投下資本で大きな開発を企画した前年度のビジネスモデルの実例です。当社は隣地の権利関係を調整してから、プロジェクトの企画付きで物件を売却しました。このプロジェクトでも当社の強みである企画力を生かして不動産の潜在価値を引き出し、更には駅前の開発を企画することで、地域住民の快適な住環境を提供できたものと考えています。

■不動産を積極的に購入しつつ市況変化に敏感に対応できる身軽な財務体質

 続きまして、連結貸借対照表の要旨についてご説明いたします。総資産につきましては前期末から18億25百万円増加し、28億28百万円となりました。販売用不動産につきましては、前期末から20億94百万円増加し、23億78百万円となりました。販売用不動産は大きく増えることになりましたが、2物件を共同事業とすることで財務リスクを軽減しております。借入金については、2億50百万円となりました。前期末の1億円は既に返済しており、2億50百万円は新規での借り入れとなっています。この様に販売用不動産が大きく増加しましたが、資金調達方法を多様化することで、自己資本比率は33.5%と高い水準を維持することが出来ました。なお繰越欠損金は、前期末から2億19百万円減少し、6億81百万円となりました。以上のように、収益を生み出す販売用不動産を積極的に購入しつつ、市況の変化にも敏速に対応できる身軽な財務体質を確保しております」とこれまでのビジネスが順調に推移していることを紹介した。

■同社のビジネスモデルは「流動化」「価値創造」「金融」を融合したもの

 同社のビジネスモデルは、「流動化」「価値創造」「金融」を融合したものであり、それぞれのファクターのうち2つ以上のファクターが重なる難易度の高いバリューアップを企画し、利益を最大化している。
 「まず流動化のファクターとしては、主にSPCの組成、信託受益権の売買等の不動産証券化事業、有効活用されていない不動産の価値を最大限に引き出すプランを企画立案する資産活性化事業、価値創造のファクターとしては、リノベーションやリースアップ等、不動産再生事業をはじめとし権利関係の調整を伴う再開発事業や建設事業となっています。更に金融のファクターとしてリーマン・ショック以降に大量に不良債権となった不動産を当社が再生し、不動産市場に戻す事業であり、今後の不動産業界、金融業界においては必要になる事業と考えております。この様に、流動化、価値創造、金融ファクターを一つずつの事業といたしまして利益を求めることも可能でありますが、2つ以上のファクターが重なる部分においては、難易度に応じた大きな利益が見込まれるため、当社では難易度の高いバリューアップに挑戦し、利益を最大化していこうと考えています。

■3つを融合した事例として芝公園プロジェクトを紹介

 流動化、価値創造、金融ファクターの3つを融合した事例として、芝公園プロジェクトが進行しています。芝公園プロジェクトは、価格が下落した不動産を所有する株式会社ムーアゲイト・インベストメントというSPCに出資していた旧投資家から匿名組合の持ち分を譲受けたことから、不動産付き不良債権買取という金融のファクターを満たしています。築年数が古くなったビルを新築同然にフルリノベーションして空きビルを飲食、婚礼事業等を行う企業へ賃貸することにより、高利回りの投資物件として商品化を進めており、不動産の価値を創造する不動産再生のファクターも満たしております。更には、共同事業とすることで、当社にとっては資金調達方法が多様化され、共同出資者にとっては、プロジェクトに投資することで、現物不動産を購入するよりもリスクを分散し、安心して出資できる仕組みとなっており、不動産流動化のファクターも満たしております。この様に難易度の高いプロジェクトとなっているため、利益の最大化が出来るプロジェクトとなっています。また、地域の特性を生かした施設にすることで、周辺地域の活性化にも貢献することが出来ると考えています。具体的な建物は東京タワーの入り口の真正面に立っているかなり老朽化したビルを買取りまして、一部床を抜きまして、結婚式場にフルリノベーションする予定です。なぜバリューが上がるかといいますと、事務所としては坪単価1万5000円の家賃であったものが、結婚式場にすることで、坪単価3万円となり、収益が倍になりますので、不動産価値も倍になります。
 では、なぜ坪単価3万円が取れるのかということですが、結婚式場には、チャペルがあります。そのほかにバンケットを開く宴会場が付いています。ところが、チャペルの使用は、1回の結婚式で大体1時間しか使用しません。そこで、1つのチャペルを5つのバンケットで使用できるように企画しました。そのように結婚式場にバリューアップしたということで、不動産価値のバリューアップを図っています。また、来年の6月にはスカイツリーがオープンしますので、その際には東京タワーも注目を浴びると思っていますので、その時期に合わせてオープンする予定です」と同社のプロジェクトを詳しく説明した。

■財務の健全性に配慮したバリューアップ案件の発掘

 引き続き、アクションプランの進捗について説明が行われた。
 「まず、安定的な収益基盤を構築するために、財務の健全性に配慮したバリューアップ案件の発掘、4半期ごとに利益を創出する営業体制の構築、プロパティマネジメント事業を強化し、毎月の安定収入を獲得するという3つを掲げています。
 財務の健全性に配慮したバリューアップ案件の発掘につきましては、多くの情報の中から潜在的な価値を活かしきれていない物件を厳選して、6物件を購入しました。前期末保有していました6物件のうち区分所有マンション等を含む物件を売却したため、2011年9月末の物件は6物件となっています。内訳としましては、虎ノ門のビル2棟を借入金による購入をいたしましたが、大きなところでは沖縄のランドマークであったゼファー沖縄那覇タワーを購入しております。沖縄プロジェクトや芝公園プロジェクトの2物件については、共同事業とすることで、財務リスクを軽減しており、神宮前の物件につきましては、既に契約が済んでいます。残りの1物件は戸建て用地でありますことから財務リスクは低く抑えています。なお、物件を購入してから販売するまでの平均保有期間は約6カ月となっており、マーケットの変化に敏速に対応できる状況にしております。この様に上半期ではアクションプラン通り、財務の健全性に配慮しながら物件を積極的に購入していくことが出来ました。

■4半期ごとに利益を創出する営業体制の構築

 次に、4半期ごとに利益を創出する営業体制の構築につきまして、進捗状況を説明いたします。主力事業でありますプリンシパルインベストメント事業は、第1四半期で区分所有マンション3戸を売却し、第2四半期では3物件を売却し、粗利は2億10百万円となりました。特に第2四半期は早期販売を目的としたM&Aプロジェクトや昨年から時間をかけてバリューアップしてきた杉並プロジェクトの完売により、プリンシパルインベストメント事業を大きく黒字にすることが出来ました。
 ソリューション事業につきましては、第1四半期では渋谷のプロジェクト等の大型案件のコンサルティングにより粗利は1億72百万円となりました。第2四半期ではコンスタントに売買仲介を成約させたことにより、粗利73百万円となりました。利益率が高いソリューション事業は、昨年から安定的な収益源として大きく寄与しています。この様に複数の販売プロジェクト、コンサルプロジェクトが同時に進行することにより四半期毎にフィービジネスで販管費を賄いつつプリンシプルインベストメント事業で利益を積み上げる営業戦略が確立したものと考えています。

■プロパティマネジメント事業の強化

 プロパティマネジメント事業の強化につきましては、工事売上、リーシング件数、規模によって多少のばらつきがありますが、ビルマネジメント、テナント管理による手数料収入によって、毎月安定した収入が得られています。サービスの質と量を向上させるために上半期には新たな人員を増強することにより、事業体制を強化してまいりました。またリーシング業務では積極的な広告宣伝活動が効果発揮し、かなり多くの成約がありました。不動産オーナーと新たな信頼関係を構築することが出来たことから、建物管理の受託件数は、22件から29件へと増加しました。更に、今期の不動産販売ではPM部門が買主様を発掘しました。この様に毎月安定的な収益を確保しながら、仕入れ販売にもシナジー効果を発揮できました。

■通期業績予想も上方修正

 前期は株主総会の決議を経て私が代表取締役に就任いたしまして、新経営体制による営業活動を開始しました。前第3四半期までには、5億円の棚卸評価損を計上したことが影響し、財務諸表で黒字化を実現したのは前第4四半期からとなりました。前期で長期保有の不動産を全部売却し、評価損もすべて出し切ったために、今第1四半期、第2四半期はバリューアップした不動産がそのまま利益に反映し、当初の予想を大きく上回るペースで事業展開することが出来ました。この様に前期に付いていました継続企業の前提に関する注記を解消した再生のステージから持続的な成長のステージに入ったものと考えています」と語った。
 第2四半期業績は上方修正するほど順調であったことから、通期業績予想も上方修正している。
 今12年3月期連結業績予想は、売上高は、前回予想を4億20百万円上回る18億円(増減率30.4%増)、営業利益は1百万円上回る2億81百万円(同0.4%増)、経常利益は19百万円上回る2億19百万円(同9.5%増)、純利益は19百万円上回る2億19百万円(同9.5%増)を見込む。