2012年02月14日
アーバネットコーポレーション:12年6月期第2四半期決算説明会を開催
■年金不安拡大等により、投資用ワンルームマンションの販売は順調
投資用ワンルームマンションのアーバネットコーポレーション<3242>(JQS)は10日、12年6月期第2四半期決算説明会を開催した。
代表取締役社長服部信治氏は、マンション業界の現況、第2四半期の経営方針について語った。
同社の主たるビジネスである投資用ワンルームマンションの現況に関しては、「昨年の10月に年金が65歳から68歳、あるいは70歳支給という話が出ました。この話が出たことによって年金不安が一挙に拡大しました。また、税と年金の一体改革の中身の方向性がなかなか見えないといことも含めて、老後の生活不安の解消のために、投資用ワンルームマンションはかなり順調に売れているというのが現状です。むしろ、販売業者さんから販売物件が足りないから商品を譲って下さいという話がたくさん出てきています。一方、販売手法の法令厳守が昨年の10月1日から発動されています。つまり、マンションを販売するのに、最初に会社名、担当者名、マンション販売が目的であるという話を明確に伝えたうえで、営業トークを始めなさいという厳格な規制が行われました。これは投資用ワンルームマンションだけでなく、ファミリーマンションや建売住宅も同じでございますが、主にワンルームマンションの販売会社を対象に網掛けをしてきた色合いが濃いと思われます。ところが、先に話しました年金支給の話も同じ10月に出たことによって、11月からはかなり売れているということです。現在でも販売会社にヒアリングを続けていますが、先月、今月についてもかなり順調に売れ続けているということでございます」と年金不安拡大により、投資用ワンルームマンションの需要が拡大していることを明らかにした。
■昨年の都内の分譲用マンションの販売戸数は前年比29.9%増
分譲用マンションについては、「昨年の都内の販売戸数は前年比29.9%増と約3割増えたということです。都心部に人気が集中していることも事実です。また、震災を受けて、エコマンション、つまり、太陽光発電、蓄電器、LED照明について、各社検討していまして、当社でも現在分譲していますマンションについてはLED照明を共有、専有共にフルに設置しています。これからエコマンションについても検討していく必要があると思っています」と都内の分譲用マンション、エコマンションの需要も高まっていることを紹介した。
新興・中堅デベロッパーの状況は、「不動産への融資の厳格化については、企業別、案件別選択融資は続いており、昨年夏より若干緩んできた感触がありましたが、新年に入り、ヨーロッパの金融不安が鮮明になったことにより、一部厳しくなりつつあるような実感を持っている次第です。この様な状況の中で、デベロッパーとゼネコン間のコラボレーションあるいは、共同事業を積極的におこなっています。金融機関からの融資もリーマン・ショック前とは様変わりで、土地代100%でれば良い状況で、土地代の何割しか出ない場合もあります。そのような場合には、キャッシュ・フローに大きく響きますので、ゼネコンとコラボレートしたり、他社と共同で行ったりという必要性も出てくるのではないかと思っています」と金融機関の不動産融資厳格化に対して、ゼネコンとのコラボレーションで事業展開することも紹介した。
■リーマン・ショック以前のビジネスモデルに戻る
引き続き、同社の経営方針について、「リーマン・ショックに対応するために、緊急避難的に手掛けていた物件の早期売却による金融機関への返済、買取再販事業・中古マンション等を行ってきましたが、今期より、以前のビジネスモデルである投資用ワンルームマンションを核とした商品構成に戻っています。投資用ワンルームマンションを7〜8割として、ファミリーマンションやコンパクトマンションの分譲マンションを2〜3割のイメージで商品構成を追及していこうと思っています。もう一つは、少数精鋭とアウトソーシングの徹底による固定費の抑制でございます。会社を無理に急拡大するとそれだけリスクを伴うという今回のリーマン・ショックの教訓を含めて、今後も少数精鋭、アウトソーシングを徹底していく方針です。一方、今回のリーマン・ショック対応策であった買取再販事業のために販売部隊を設けましたが、これは1物件に対応できる少数の営業部隊で、1物件だけは自社分譲しますが、物件が重なった場合は外部の販売会社に業務委託するという戦略を今後も続けていく方針です。マンションの建設場所は、東京23区内、駅10分以内の原則を徹底します。また、ものづくりへのこだわりも徹底します。営業力で売るのではなく、売れるものを作るということが大事です」とリーマン・ショック以前の原点に戻ることを発表した。
■今期の業績は下期に集中
第2四半期業績は、売上高13億30百万円(前年同期比19.3%増)、営業利益△1億93百万円(前年同期△2億49百万円)、経常利益△1億65百万円(同△3億4百万円)、純利益△1億66百万円(同△3億8百万円)と2ケタ増収で赤字幅縮小となった。
下半期の販売予定物件は、目黒(土地)、南馬込(投資用ワンルーム49戸)、方南町(投資用ワンルーム31戸)、代々木(投資用ワンルーム48戸)、北馬込(投資用ワンルーム30戸)、大森北(コンパクトマンション36戸)となっている。今期の販売戸数は252戸を予定しているが、下期にそのうち194戸が販売され、下期に売上が集中する。販売先は既に決定していることから、竣工次第売上が計上されることになる。
12年6月期通期業績予想は、売上高61億円(前期比21.4%増)、営業利益3億65百万円(同54.1%増)、経常利益2億70百万円(同104.4%増)、純利益2億70百万円(同112.2%増)と大幅増収増益を見込んでいる。
■来期の販売戸数は307戸を予定
今期の販売戸数は先述しているように252戸を予定しているが、来期は307戸と更に増加する。来期用の用地も購入済みで、来年の2月までに全物件が竣工する予定。投資用ワンルームマンションの需要が拡大していることから、販売物件の価格上昇も予想される。現在は、再来期の物件用の土地を購入中であるが、流通物件が少なく、簡単には購入できない環境のようだ。
リーマン・ショックの影響から脱出し、リーマン以前のビジネスモデルに原点回帰したことで、事業の拡大が実現してきている。1月30日に5カ月半振りに引け値ベースで23,000円台から24,000円台に回復している。業績の急回復は明確であり、配当利回り6.24%であることから、配当狙いの買いが膨らむものと予想される。
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