代表取締役社長服部信治氏は、リーマンショックによる世界的金融不安と信用収縮による不動産業界の混乱を詳しく説明した。「昨年の秋からいろいろなところに相談に伺いました。ずいぶん悩んだ1年でした」と苦しかった前期を振り返った。
まず、新規開発用土地の購入の停止と保有販売用不動産の着工延期を決定。その後、色々悩んだ結果、コスト高物件の全売却を決断。昨年8月には営業部門を組成しアウトレットマンション4物件(60戸)を販売。今年1月時点でまだ5棟の自社販売物件が残っていたが、2棟を個人に販売。残りの3棟は、ワンルーム販売会社を新規開拓して売却した。
その結果、前09年6月期業績は、売上高93億8800万円(前々期比0.4%増)、営業損失14億7900万円、経常損失15億9600万円、純損失18億200万円と増収ながら、赤字転落。しかし、配当に関しては、期末配当2000円を実施。
増収ながらも大幅減益の要因は、売上高93億8800万円に対して売上原価100億400万円と売上総利益段階から6億1600万円の赤字。これは棚卸評価損失14億44百万円を売上原価に計上したことと、値引き販売したことによる。
キャッシュ・フローを見ると、営業キャッシュ・フロー28億2700万円。投資キャッシュ・フローは、定期預金の払い戻し、有形固定資産の売却等により8800万円。財務キャッシュ・フローは、長期借入金の返済41億900万円等により、△40億9700万円となった。現金及び現金同等物の前期末残高は10億600万円と前期首より11億8200万円の減となっている。
「現在新築の供給戸数は極めて少なくなっているため、今期は売り手市場となります。11月までに全ての物件を売却し、建設会社と金融機関に返済すると借入残額は20億円程になります」と今期の計画について語り始めた。
「今期はこれまでの残戸物件買取から1棟買い取りへ切り替えます。既に横浜市に1棟を買い取っていて、9月より販売を開始します。工事中物件の買取販売も開始します。1棟の買取契約が進行中で、全てのデザインを変更し、来年の1月より販売します。また、中古マンションを買って、フルリノベーションをかけた中古マンションリノベーション事業にも進出します。更に、過去実績がある戸建物件・アパート物件へも挑戦します。1億円から3億円の物件であれば個人でも買い手が多いのが分かっています」と今期の計画を述べた。また、販売方法については、ワンルームマンション内の1LDK部分をワンルーム販売会社に売却するより、利益率の高い自社販売で進める方針。
今期業績予想は、売上高115億円(前期比23.1%増)、営業利益2億6500万円、経常利益1億1500万円、純利益1億1300万円と増収増益で黒字転換を見込んでいる。
配当は1500円の期末配当を予想。
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