投資用マンションの開発を手掛けるアーバネットコーポレーション<3242>(JQ)は、今10年6月期第2四半期業績を4日に発表している。
売上高75億4000万円(前年同期比156.2%増)、営業利益1億800万円(前年同期△3億5900万円)、経常利益4300万円(同△4億4600万円)、純利益4400万円(同△2億7600万円)と増収増益で黒字転換。
08年9月15日のリーマンショックで最も影響を受けたのは、不動産関連企業である。同社も例外ではなく、前期には、緊急対策として、新規開発用土地の購入の停止と着工前保有販売用不動産の着工延期並びに全物件の徹底した棚卸評価の見直しと全売却を決断。09年1月時点で5棟の自社開発物件が残っていたが、2棟を個人に販売、3棟をワンルーム販売会社と販売契約を締結した。そのため、前期の業績は、売上高93億8800万円(前々期比0.4%増)、営業損失14億7900万円、経常損失15億9600万円、純損失18億200万円と増収ながら、赤字転落となった。
■4半期毎の売上高、営業利益は順調に回復
しかし、今第2四半期で、黒字転換したように、前期で棚卸評価損失14億44百万円の計上を含むコスト高物件処理を済ませたことが今期の早期黒字化に反映されている。
業績の回復を確認するために、4半期毎の売上高、営業利益の推移を見ると、前期の第3四半期(1月〜3月)は売上高28億4000万円、営業利益△9億3600万円、第4四半期(4月〜6月)は売上高36億600万円、営業利益△1億8400万円となっている。ところが、今期の第1四半期(7月〜9月)は売上高29億1700万円、営業利益△600万円、第2四半期(10月〜12月)は売上高46億2300万円、営業利益1億1400万円。4半期毎の売上高、営業利益は順調に回復している。
■抜群の競争力と利益率の向上
第2四半期で早くも黒字化している理由は、前期の迅速な行動の他に、同社の開発物件の人気が挙げられる。
その一例を挙げると、今第2四半期の売上に含まれている新御徒町の物件は、40戸のワンルームマンションと13戸の1LDKで構成されている。40戸のワンルームマンションは販売会社に一括販売しているが、13戸の1LDKは自社で販売した。これにより、利益率は大きく向上している。
同社の物件が人気のある理由は、モノトーンの外観、彫刻を飾ったエントランス、収納のスペースが他の物件と比較して多いことに加えて、足を伸ばせる独自のバスタブを使用していることなどが挙げられる。そのため、駅前のワンルームマンションにおける賃貸付けで抜群の競争力を持っている。まず同社の物件に賃貸がついた後で、他社の物件に入居が決まることが繰り返されている。
■通期業績と来期のリスタート
今期中に事業の再建を図るために、森下Uプロジェクト(ワンルームマンション47戸)を昨年10月20日に着工、三軒茶屋プロジェクト(コンパクトマンション18戸)を今年2月に着工予定、駒場プロジェクト(コンパクトマンション17戸)を3月着工予定と保有用地での早期開発を開始。また、ワンルームは販売会社に1棟販売するが、コンパクトマンションは自社で販売し、利益率を向上させる計画。
更に、第2四半期までに、金融機関へ46億8400万円返済していることから、金融機関の信頼は厚く、2月にはメイン銀行の「りそな銀行」から新規開発用の土地代と着手金の新規融資を得て、白金高輪プロジェクト(ワンルームマンション36戸)の5月着工が決定している。
今通期業績予想は、売上高115億円(前期比23.1%増)、営業利益2億6500万円(前期△14億7900万円)、経常利益1億1500万円(同△15億9600万円)、純利益1億1300万円(同△18億2000万円)と増収大幅増益で黒字転換を見込む。
下半期の販売物件は、都筑ふれあいの丘(ファミリーマンション23戸)、鶴見プロジェクト(ファミリーマンション24戸)、中古マンションリノベーション事業8物件。
今通期の業績見通しはついていることから、来期本格的リスタートに向けて動きだしている。
提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2010.02 |特集