2011年11月17日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

アーバネットコーポレーション:2010年6月期でリーマン・ショックの影響は脱する


■今期よりリーマン・ショック前のビジネスモデルと業績を目指す

アーバネットコーポレーションホームページ 投資用ワンルームマンション開発1棟販売のアーバネットコーポレーション<3242>(JQS)は11日、丸の内の三菱ビルで2012年6月期第1四半期決算説明会を開催した。
 同社は、デザイン性の高いワンルームマンションを開発することで定評があり、しかも23区内で駅から10分以内の好立地のマンションであることから人気が高く、用地買収時には、ほとんど販売先が決定している。2008年9月15日に発生したリーマン・ショックの際は、金融機関とゼネコンとの関係を第1と判断し、着工物件は全て売却し、金融機関とゼネコンへの返済に充てたことで、信頼度は高く、新規用地取得の融資も、いち早く始まった。そのため、回復も早く、2010年6月期でリーマン・ショックの影響は脱し、今期よりリーマン・ショック前のビジネスモデルと業績を目指している。
 11月10日に第1四半期業績が発表されている。売上高8億89百万円(前年同期比2.86倍)、営業利益△4百万円(前年同期△1億49百万円)、経常利益△32百万円(同△1億80百万円)、純利益△32百万円(同△1億84百万円)と大幅増収で赤字幅縮小となっている。

■年金不安が解決しないこともあり投資用ワンルームマンションの販売は順調

 代表取締役社長服部信治氏はマンション業界の現況について説明した。
「投資用ワンルームマンションについては、年金不安が解決しないということもあって、震災後もほとんど影響なく販売は順調に進んでいます。一方、宅建業法における販売方法が厳格化されていまして、マンションの販売手法についてかなり厳しい規制が10月1日から施行されています。この改正が販売に大きく影響するかどうか心配していましたが、ヒアリングを何社かにした結果、10月にそんなに販売が落ち込んだという話は聞いていません。逆に、何社かは10月は他の月より販売が好調だったというところもありました。何故かと聞くと、10月に、年金の支給が65歳から引き上げられるという報道があり、これが追い風となって売れたということです。結果的に売上げに大きな影響は出ず、順調に売れていることで、在庫不足が相変わらず続いています。マンションの販売会社から売り物はありませんかという問合せが当社にもかなり来ています。
 分譲マンションにつきましては、大手の不動産会社を中心として、震災後、分譲を延期し、様子見を行なったことがありました。この秋から新規の分譲が増えるという見通しを前回させていただいたのですが、9月だけの統計を見ると思ったほど増えていません、むしろ前年比では下がっていました。反面、プレ広告はかなり増えています。ご存知のように新規のマンションを分譲する際に、初めから価格を発表して分譲をスタートすることは現在ありません。価格を見せないでプレセールを1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月行うのがあたり前の時代になっています。9月から商品は出ていても、価格を決定していないマンションが今多くあるわけです。正式分譲は11月からスタートするのではないかと思っています。当社でもこの秋から2物件投入していますが、両物件ともグランドオープンはしていません。プレセールスを継続中であります。また、震災を受けて、太陽発電・蓄電器・LED等の設備を備えたエコマンションを各社が検討しています。当社もこの秋から分譲する2物件はLED照明を採用しています」と投資用マンション、分譲用マンションの現況を紹介した。

■リーマン・ショックを生き残った企業に明暗が

 引き続き、新興・中堅デベロッパーの状況について「金融機関の不動産融資の厳格化は、企業別・案件別選択融資ではありますが、若干緩和傾向にあります。その様な状況の中で、リーマン・ショックを生き残った企業に明暗が出てきています。今年に入っても上場企業2社が破綻しています。リーマン・ショックでは多くの企業が破綻しましたが、その様な中で現金を確保していれば生き残れるということで、キャッシュアウトしないで生き残った企業もあります。その様な企業は新規融資が基本的にでませんから、不動産の買取再販などで事業を継続してきたわけですが、買取再販物件がなくなってきました。そのため、今年になって破綻する企業も出てきているわけです。その一方で、拡大への成長戦略を取る企業も出てきています」と新興企業の中でも2極化している実態を紹介した。
 「当社のメイン事業は、投資用ワンルームマンションの1棟販売です。やっとその形に今期からなってきたと思います。前期までの1年半はリーマン・ショックのため、仕入を止めて売却に専念したわけですが、やっと新規の融資も戴いて、土地を購入することが出来ましたので、投資用ワンルームマンションを中心とした商品構成に戻ってくることが出来ました。
 また、従来どおり、少数精鋭とアウトソーシングの徹底により、固定費の抑制に努め、東京23区内の駅から10分の土地を購入し、ものづくりへのこだわりを徹底し、リーマン・ショック以前の状態に早期に戻します。」と今後の同社の経営方針について語った。

■今12年6月期業績予想は大幅増収増益を見込む

 その後、物件の現況紹介となった。今期に計上済み、または計上予定の物件は、目黒(土地)売却予定、渋谷神泉(コンパクトマンション5戸)4戸計上、残り1戸も契約済み、両国(41戸)、南馬込(49戸)、方南町(31戸)、代々木(48戸)全て契約済み、大島(ファミリーマンション44戸)秋より販売開始、AXAS高田馬場(6戸)計上済み、入谷プロジェクト計上済み、高輪(リノベーション、6戸)残り4戸となっている。
 来期の物件は、北馬込(61戸)契約済み、大森北(コンパクトマンション36戸)今年秋より販売開始、千鳥町(39戸)契約済み、上野毛(48戸)協定済み、明大前(43戸)買付証受領、東十条(56戸)買付証受領、錦糸町(42戸)買付証受領と販売先は決まっている。
 現在同社で最も注力しているのは、再来期物件の開発用地の取得。用地不足のなか、23区内の駅10分以内の用地を全社をあげて探している。
 今12年6月期業績予想は、売上高61億円(前期比21.4%増)、営業利益3億65百万円(同54.1%増)、経常利益2億70百万円(同2.04倍)、純利益2億70百万円(同2.12倍)と大幅増収増益を見込む。

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