2011年05月27日
スターティアの前11年3月期連結業績は増収大幅増益で過去最高益を達成
■電子書籍作成ソフト「ActiBook」の販売が好調
スターティア<3393>(東マ)は、25日に東京証券会館で、前11年3月期決算説明会を開催した。
代表取締役社長本郷秀之氏は、会社概要を説明した後、前期業績の説明にはいった。
前11年3月期連結業績は、売上高4,000百万円(前年比19.3%増)、営業利益273百万円(同70.8%増)、経常利益278百万円(同68.7%増)、純利益129百万円(同12.3%増)と大幅増収増益で過去最高益を達成。
2月に上方修正を発表しているように、同社の業績は当初予想を上回るペースで順調に推移した。その主な要因は、電子書籍作成ソフト「ActiBook」の販売が好調であったことによる。
前期は、「ActiBook」のバージョンアップの開発費用を当初30百万円と見込んでいた。ところが、他社に先駆けてiPad、iPhone、Andoroidに対応するなど顧客のニーズを先取りするようにバージョンアップに積極的に取組んだことから、開発費用は74百万円までに膨らんだ。しかし、顧客のニーズに的確に応えたことから、出版、印刷会社を中心に導入する企業が増えてきた。
過去3年の導入件数の推移を見ると、09年397社、10年638社と順調に増え、前期は1033社と一挙に1000社を突破した。今期は1600社を計画している。
導入している企業には、日本経新聞出版社、読売新聞、みずほフィナンシャルグループ、マイクロソフト等大手企業が名を連ねている。
販売方法は、大手企業には売切りであるが、中小企業向けには、昨年7月にSaaS版を作成し、月額9,800円、19,800円、39,800円と安価に利用できるようにしている。
SaaS版を市場投入し、格安で電子ブックが作成できるようになったことと、展示会への出展、セミナーによる利用法の紹介など販促活動を積極的に進めたことで、中小企業で導入する企業が増えてきている。
■ストック型サービス商材の売上は順調、今期は売上比率32.9%まで伸ばす計画
また、4月25日より、富士ゼロックスの「ネットプリント」に同社の電子ブックが採用されたことにより、全国のセブン・イレブンに設置してある複合機から電子ブックがプリントアウトできるようになった。このことで、同社の電子ブック作成ソフトの差別化が歴然となり、一挙にデファクトスタンダードに近づいている。
一方、「ActiBook」を利用する企業が増えてきたことから、同社のストック型ビジネスも順調に拡大している。特に売上が伸びている商材は、マネージドゲート(保守運用サービス付低価格ネットワーク機器レンタルサービス)、電子ブック作成ソフト保守、デジタル複合機のコピーカウンター、ホスティングサービス等が挙げられる。
ストック型サービス商材の売上の推移は、09年648百万円、10年854百万円と順調に伸び、11年は1,141百万円となった。今期は1,551百万円を見込んでいる。
前売上に対するストック型サービス商材の過去4年の売上比率推移は、08年9.5%、09年13.8%、10年25.8%、11年28.3%と順調に伸びている。「売上が伸びる中で、ストック型の比率が伸びていることは大変な事です。今期は32.9%まで伸ばす計画です」(本郷秀之社長)と更にストック型の比率を高める方針。
ストック型の売上比率が高まることで、業績の安定と共に、今後の売上拡大が予想される。
■ファイルサーバサービスのセキュアSamba、大震災の影響で、再度注目を浴びる
更に、大震災の影響で、再度注目を浴びているのが、同社が開発したクラウドによるファイルサーバサービスのセキュアSambaである。中小企業にとっては、データの分散やバックアップ環境が、少ない投資で得られることから人気が出ている。
また、5月11日にシャープの複合機とセキュアSambaが連携したことが発表されている。このことにより、複合機でコピーした書類やFAXで受信した書類をPDFデータに変換して、自動的にクラウドのファイルサーバにバックアップできる。そのため、データの電子保存が可能になり、通常の文書管理から、災害時も書類の消失に対する対策にもなる。また、スマートフォンでの閲覧も可能であることから、顧客先でのデータ紹介もできるなどビジネスの面での活用もできる。「これまでは、単体でセキュアSambaを売っていましたが、セキュアSambaを使用しているところには、シャープの複合機を、シャープの複合機を使用しているところにはセキュアSambaを販売していきます」(本郷秀之社長)と今後の営業展開を紹介した。
■今期業績予想も増収大幅増益で、過去最高益更新を見込む
ActiBook、セキュアSambaと優れた商品を開発したことから、新規顧客の開拓も進み、一度の売切りでなく、ストック型の販売に切替え、継続的な売上を確保している。また、1顧客に1つの商材だけでなく、複数の商材を販売するクロスセルを行なうことで売上の拡大を実現している。更に、支払いについても、1枚の請求書で通話料金、コピー機のカウンター利用料、ネットワーク機器保守メインテナンス料金等の支払いが済む、企業の経理担当者にとっては便利なスリムビリング(請求統合)サービスを浸透させることで、長期的な顧客の確保を目指している。
事業戦略は、当初の計画通りに動き始めていることから、今期業績予想も、売上高4,700百万円(前期比17.5%増)、営業利益400百万円(同46.4%増)、経常利益400百万円(同43.8%増)、200百万円(同54.5%増)と増収大幅増益で、過去最高益更新を見込む。
同日、中期経営計画も発表された。13年3月期の売上高5,700百万円(同21.2%増)、営業利益600百万円(同50.0%増)、経常利益600百万円、純利益300百万円、14年3月期の売上高6,800百万円(同19.2%増)、営業利益800百万円(同33.3%増)、経常利益800百万円、純利益400百万円を見込んでいる。
また、現在の営業地域、東京、大阪、福岡に加え、来期以降からは十分な市場調査の上、政令指定都市に順次新拠点展開も検討する方針。営業地域の拡大と共に、今後の事業拡大が予想される。
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