■業績は徐々にではあるが改善
あと施工アンカーを製造・販売する業界トップのサンコーテクノ<3435>(JQ)は、公共工事、民間工事の減少で昨年11月11日に下方修正を発表するなど、当初予想を下回る業績となっている。しかし、業績は徐々にではあるが改善している。
11月13日に発表された第2四半期連結業績は、売上高61億1400万円(前年同期比17.1%減)、営業利益△1億8600万円、経常利益△2億400万円、純利益△1億4300万円と減収大幅減益で赤字。
今第1四半期(4月から6月)の連結業績は、売上高24億9800万円、営業利益△2億2100万円、経常利益△2億3400万円、純利益△1億5500万円と営業利益段階から赤字だった。しかし、第2四半期(7月から9月)の連結業績は、売上高36億1600万円、営業利益3500万円、経常利益3000万円、純利益1200万円と黒字化しており、業績が上向いていることは明確。
リーマンショックの影響で工事が少なくなることを見通して同社では、今期より更に機能的な活動ができるように事業部制を導入している。ファスニング事業部、D&D事業部、リニューアル事業部の3事業部に分け、それぞれの事業部に開発・製造・販売の一貫した取組を集約し、さらには権限と責任を委譲して経営のスピードアップ化を図っている。また、現場の声を開発に反映させるためにマーケティング部を新設。現場の声を汲み取り、新製品の開発に役立てている。
■アンカー打込機は世界初の画期的な製品
同社の強みは製品開発力にある。草創期に、工事の期間短縮や安全施工につながる画期的な製品であるオールアンカーを開発したことで、同社の開発力は業界で一目置かれた存在である。今期は業績が低迷しているものの、同社が開発したアンカー打込機、サイズミックコアドリル、テクノテスターの3つの新製品は、現場で働くユーザーの声を反映して作っていることから売上は好調に推移している。
中でもアンカー打込機は世界初の画期的な製品で、誰でも簡単に、多くのアンカーを短時間で打込めることから現場での評価は高い。しかも同社の金属系アンカー用に作られているため、アンカーの売上にも貢献している。今後、この製品の売上は確実に伸びていくものと思われる。
今通期連結業績予想は、売上高138億5400万円(前期比6.8%減)、営業利益8400万円(同68.1%減)、経常利益7500万円(同76.2%減)、純利益900万円(前期△3100万円)を見込む。
100年に1度の大不況の影響を受けて大きく低迷した第1四半期の業績の影響を引きずっているが、第2四半期で黒字化し、足元の10月、11月も堅調に推移していることから、下半期の回復が期待される。
特に売上が好調なアンカー打込機に関しては、新年早々にも新型を投入する予定だ。更に太陽光発電の需要が高いことから、ビル、マンション、工場向けに太陽発電パネルを陸屋根(りくやね)に取り付けるアンカーを開発中であり、3月の太陽光発電システム施工展(東京ビッグサイト)で発表する予定。
苦しい事業環境ではあるが、リサーチ力を活かし現場に合った製品開発を進める柔軟性を持っていることから、業績の急回復も期待できる。