
同社の決算短信の中で「08年10月末で携帯電話の契約加入台数は1億513万台(前年同月比5.5%増)、そのなかで第三世代以上の携帯電話の契約数は9438万台と、全契約数の90%に迫っております。より高機能な携帯電話が浸透し、大容量、高速データ通信可能な携帯電話の割合が増加し標準化してきております。通信料定額制の普及が進む中、ゲーム、音楽、電子書籍等のリッチコンテンツも生活の中に浸透してまいりました」と述べているように、同社のビジネス環境は良好といえる。
同社は、モバイル、ツール、マルチメディアコンテンツの3事業を展開している。まず、モバイル事業では、総合電子書籍ビューア(携帯電話でマンガを中心としたコンテンツの閲覧ができる)BookSurfingを導入するサイト数が、NTTドコモ、au(KDDI)、SoftBank、ウィルコム、イー・モバイルの5キャリア合計634サイト(同51.7%増)と大きく増加すると共に、提供されるコンテンツのファイル数も226万ファイル以上(同170.4%増)と急増していることから、電子コミックを主に携帯電子書籍市場の拡大に伴い堅調に推移した。
ツール事業は、07年事業年度末にリリースしたマンガ制作ソフトウェアComicStudio 4.0が堅調に推移した。また、08年10月期第4四半期に同製品のマッキントッシュ版ComicStudio 4.0 for Mac OS Xのリリースを行っている。更に、今後のグローバル市場を見据えた上で、海外のソフトウェア販売会社と代理店契約を締結。
マルチメディアコンテンツ事業では、教育ソフト、テレビ番組向けゲーム、電子マニュアル等の受託制作を行っている。定顧客からの大型案件の受注と継続取引で堅調といえる。
それぞれの事業別売上高を見ると、モバイル事業18億300万円(同55.8%増)、ツール事業3億8100万円(同6.9%増)、マルチメディアコンテンツ事業2億6000万円(同0.7%増)と3事業とも増収であるが、主力のモバイル事業の売上急増が目立つ。
財務面を見ると、総資産は22億2400万円(前々期末比5億6500万円増)、負債は6億1800万円(同2億9700万円増)、純資産は16億500万円(同2億6700万円増)、自己資本比率は71.7%と健全である。
キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フロー6億3600万円(前々期3500万円)、投資キャッシュ・フロー△6億8000万円(同△2億600万円)、財務キャッシュ・フローは長期借入金の返済があったものの新株発行による収入があったことから500万円(同3億4300万円)となっている。急成長している企業なので、設備投資資金が必要となっているが、営業キャッシュ・フローが急増しているため、無理のない事業運営がなされている。
中長期的な視点で、今後の事業拡大に向けた施策は既に実行段階。例えば、モバイル事業で海外でも広く利用を可能にするため、韓国、台湾、中国等、アジア圏における海外営業を開始している。また、ツール事業においても先述しているように海外のソフトウェア販売会社と代理店契約を締結している。
今期業績予想は、売上高27億7100万円(前期比13.3%増)、営業利益5億300万円(同16.2%増)、経常利益5億200万円(同16.1%増)、純利益2億7300万円(同13.4%増)と増収増益を見込んでいる。配当は期末900円(前期800円)を予想。