2013年06月07日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

インテージ:売上高は業績予想をわずかに下回ったものの、過去最高を更新


■営業利益・経常利益は計画を達成したが、中国の子会社に関するのれんの減損処理を行い、純利益は減益

 市場調査で国内トップのインテージ<4326>(東1)は、5月21日に13年3月期の決算説明会を開催した。

 売上高は業績予想をわずかに下回ったものの、過去最高を更新した。営業利益・経常利益は計画を達成したが、中国の子会社に関するのれんの減損処理を行い、特別損失を計上したことで、純利益は減益となった。

 連結業績は、売上高399億30百万円(前年同期比8.9%増)、営業利益33億9百万円(同14.7%増)、経常利益32億13百万円(同12.4%増)、純利益12億49百万円(同5.7%減)となった。

 財務面に関しては、負債合計は139億4百万円(同6億91百万円増)であった。内訳は、短期借入金が減少したことで、流動負債は77億29百万円(同23億26百万円減)、固定負債は長期借入金が増加したことにより、61億74百万円(同30億17百万円増)となっている。

 純資産合計は154億93百万円(同9億76百万円増)であった。内訳は、利益剰余金が増加したことで株主資本は153億58百万円(同7億47百万円増)、その他包括利益累計額は74百万円(同1億81百万円増)、少数株主持ち分61百万円(同48百万円増)。

 自己資本比率は、52.5%と0.2ポイント改善しており、引き続き健全な財務体質といえる。

■今期14年3月期連結業績予想は増収増益を見込む

 今期14年3月期連結業績予想は、売上高430億52百万円(前期比7.8%増)、営業利益36億6百万円(同9.0%増)、経常利益33億83百万円(同5.3%増)、純利益18億61百万円(同48.9%増)と増収増益を見込んでいる。

 セグメント別の売上高および営業利益の見通しは、市場調査・コンサルティング311億3百万円(同9.8%増)、31億円(同8.4%増)、システムソリューション51億48百万円(同3.7%増)、1億80百万円(同19.0%増)、医薬品開発支援68億円(同2.4%増)、3億25百万円(同9.7%増)と全セグメントで増収増益としている。

 2012年度の主な事業の進捗状況については、インテージ本体では、Google等をパートナーとしたクロスメディアへの取り組みをスタートし、新たなプラットフォームの構築を進めた。FMCG(日用消費財)については、着実な顧客接近により、大手顧客での売り上げが伸びている。DCG(耐久消費財)・サービスは引き続き自動車・電機業界が好調、グローバルでは生活業界へも拡大している。出版POSサービスは契約社数が100社を突破し、名実ともに業界のプラットフォームとなってきている。

■JMIRIがグループ入りしたことで、Rx・OTC両方のデータ分析が可能となる

 国内のグループ会社では、ドコモ・インサイトマーケティングはリサーチ環境の整備、モバイルインタビューの開発・販売をスタートした。生活者パネル(仮称)の研究開発も実施している。更に、処方薬のデータ集積をしているJMIRIがグループ入りしたことで、Rx(医家向け医薬品)・OTC(一般用医薬品)両方のデータ分析や、健康情報分野での影響分析モデル研究が可能となった。

 海外のグループ会社に関しては、インテージ・インド、アスクレップ台湾・アスクレップ韓国を設立。拠点を拡充により売上も拡大している。インド農村部、ロシア、トルコ、カンボジア、ミャンマーなどの新興国でも広範囲に調査業務の対応をおこなっている。懸念材料としては、尖閣諸島問題を機に日系企業、現地企業からの注文が減少しているため、中国における事業の再構築が課題となっている。

■i−SSPを選挙運動の効果測定に応用したサービスの検討をはじめる

 今期のグループ方針として、「重点領域における圧倒的競合優位性の確立」を掲げている。現況としては、市場調査分野への新規参入が活発化していて、価格競争が始まっているため、同社としては自社のコア・コンピタンスを確立する必要に迫られている。その成長に向けたキーワードとして、前期に引き続き「モバイル、グローバル、ヘルスケア」の3つを挙げている。

 「モバイル」では、新サービスの「i−SSP(インテージシングルソースパネル)」は、同一個人の購買データやメディア・広告接触データと、価値観や属性などを総合的に分析することで、「消費行動」と「情報接触」の因果関係などを明確化できるとしている。また、i−SSPを選挙運動の効果測定に応用したサービスの検討をはじめる。想定クライアントとして、政党本部、広告代理店、TV局等が挙げられる。また、4月よりスタートした「スマホリサーチ」では、全国約120万人のモニターを活用した低コストで十分な調査結果を得ることができる「スマート」と即日納品の手軽なリサーチを行う「クイック」をラインアップした。更に「ドコモプレミアクラブ会員」を活用し、最適なターゲットセグメントに対して、自在なセグメンテーションでインパクトのあるプロモーションが実施可能な「対話型プロモーションサービス」も提供を開始した。昨年4月にNTTドコモとのJVで設立したドコモ・インサイトマーケティングとの協業においては、従来の事業の置き換えではなく、新たなサービスを提供し、マーケットの創出、奪取を目論む。

■7月には、Comsumer Search Hong Kong Limitedを子会社化する予定

 グローバルについては、6月にインテージ・シンガポールを設立予定。7月には、Comsumer Search Hong Kong Limitedを子会社化する予定。同社は香港、マカオ、広州、北京、上海に拠点を持つ企業である。今後は、インテージ・チャイナと共に中国における調査事業の再構築を目指す。また、国内のリサーチソリューションの海外展開を検討している。

 ヘルスケアに関しては、JMIRIがグループ入りしたことで、医家向け医薬品の処方データが入手できるようになったことにより、医薬品のライフサイクルに応じたグループ全体での総合的支援体制の構築が可能になった。また、国内臨床試験の国際化に伴い、米国RPS社と合弁で「RPSアスクレップ株式会社」を設立し、RPSのグローバルソリューションとアスクレップのリージョナルソリューションを融合し、新たなサービス領域を創出する。更に、国際事業部を設置し、アジア治験獲得の実施体制を構築する。

 以上のようなことを実施することで、今期の業績予想を達成する計画。

 なお、インテージは10月1日に持株会社制へ移行し、「インテージホールディングス」となる予定。ホールディング体制となることで、成長分野への資源配分の最適化、人材育成と交流、グループ会社によるコラボレーション、グループ共通業務の集約化・効率化を促進を狙う。

 来期以降の計数計画として、15年3月期売上高460億50百万円、営業利益40億円、16年3月期売上高494億70百万円、営業利益45億円を掲げている。

 今期の配当に関しては、5円増配の55円を計画している。

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