2013年09月25日
決算情報メディアアイアール 日本インタビュ新聞社

ティー・ワイ・オー:アベノミクス効果、2020年東京オリンピック開催決定で追い風


■2大広告代理店である電通、博報堂の発注が同社を含む広告制作大手3社に集中

 ティー・ワイ・オー<4358>(JQS)が属するTV―CM制作の市場規模は、アベノミクス効果、2020年東京オリンピック開催決定によりますます拡大する状況にある。また、2大広告代理店である電通、博報堂の発注が同社を含む広告制作大手3社に集中していることから今後も売上拡大が予想される。

 そのような状況の中で、同社の13年7月期決算および中期経営計画の説明会が開催された。

 13年7月期連結業績は、売上高250億円(前年同期比3.5%増)、営業利益14億93百万円(同3.1%増)、経常利益13億90百万円(同27.1%増)、純利益8億8百万円(同27.9%減)と売上高、営業・経常利益共に前年を上回った。最終利益については、前年に税効果会計により、法人税△3億86百万円となったことによる影響で減益となっているが、現状は税引前最終利益が13億66百万円(同92.5%増)となっているように利益は急拡大しているといえる。

■TV―CM事業は好調に推移し売上高は拡大、一方で、販売管理費は削減

 TV―CM事業は好調に推移していることから、売上高は拡大している。一方で、販売管理費は削減していて、年々売上高比率は低減している。過去3期の売上高比率を見ると17.1%、13.4%、12.1%となっている。また、営業外費用もシンジケートローン手数料が減少したことで、1億85百万円(同58.5%減)と大幅に減少した。

 セグメント別の売上高は、TV―CM事業181億83百万円(同7.6%増)、マーケティング・コミュニケーション事業55億66百万円(同9.2%減)となっている。

 TV―CM事業は売上高を順調に伸ばした。その背景には、同社を含めた大手制作会社への案件が集中したことと、自動車、飲料業界などの売上が増加したことが挙げられる。中でも大手広告代理店である電通、博報堂売上高を見ると、電通69億84百万円(同8.9%増)、博報堂43億51百万円(同5.8%増)と共に増加している。この傾向は、今後も継続すると見ている。

■マーケティング・コミュニケーション事業は減収だが、既存事業ベースでは増収を確保

 マーケティング・コミュニケーション事業は減収となっているが、これは不採算事業の子会社を連結除外したことが要因。一方、既存事業ベースでは2億14百万円の増収を確保していることから、今期の増収増益が見込まれる。

 セグメント別の営業利益は、TV―CM事業29億15百万円(同2.3%増)、マーケティング・コミュニケーション事業△34百万円(前年同期2億88百万円)であった。

 TV―CM事業は、売上の拡大と共に人件費も増加していて、人員数は52名増加し、人件費は3億37百万円増加したものの、売上の増加が人件費の増加をカバーしたことで増益を確保した。

 マーケティング・コミュニケーション事業は、テオーリアが固定費を賄うだけの売上を確保できなかったことから、赤字となった。しかし、テオーリアを売却したことで、3Q比で営業損失が減少し、同事業の課題は解消している。

■人員・人材の強化、コスト削減、財務基盤の強化は着々と実現

 同社では、経営改善を行うための施策として、人員・人材の強化、コスト削減、財務基盤の強化の3点を取り上げ課題の改善に努めてきている。

 人員・人材の強化に関しては、積極的に採用を進め、事業拡大を実現している。11年7月期から前期までの5期の社員数の推移(※連結除外済みの海外部門の人員数は除く)は、630人、652人、678人、693人、724人と着実に増加している。

 コストの削減は、不採算の海外子会社の連結除外等により販管費は11年7月期38億69百万円、12年7月期32億33百万円、13年7月期30億28百万円と3期連続で減少している。先述しているように、売上高は拡大していることから売上高比率も低減している。

 財務基盤の強化については、自己資本比率に表れているように急速に改善している。例えば09年の0.8%から13年には32.0%となっているように大幅に改善している。それに伴いネット有利子負債も09年の98億99百万円から13年の5億55百万円と大幅に縮小している。

■14年7月期連結業績予想は増収2ケタ増益で、創業以来最高の経常利益を見込む

 売上の拡大と販管費の縮小により、業績は急速に改善し、経常利益は4期連続の増益を達成している。今期は、更に、東京オリンピックの開催が決定したことから売上拡大に拍車がかかると見られている。

 14年7月期連結業績予想は、売上高265億円(前期比6.0%増)、営業利益17億円(同13.8%増)、経常利益15億40百万円(同10.8%増)、純利益8億90百万円(同10.1%増)と増収2ケタ増益で、創業以来最高の経常利益を見込んでいる。

 事業拡大が順調に推移していることもあり、株主還元策として前期に引き続き3円の配当を見込んでいる。更に、株主優待制度を再開し、500株以上の株主に1,000円、2,500株以上の株主に3,000円、5,000株以上の株主に5,000円相当のクオカードをプレゼントする。

 また、同日に5年後の売上高として500億円、3年後の営業利益率6.7%、1年後にネット有利子負債ゼロ、自己資本比率は3年後に50%以上となる中期経営計画も発表した。

 事業の拡大が着実に推進しているところに2020年の東京オリンピックが決定したことから、同社にとっては強力な追い風が吹いている。今後の事業拡大はさらに加速するものと予想される。

>>ティー・ワイ・オーのMedia−IR企業情報

>>トップメニューへ