2011年09月20日
ティー・ワイ・オー:大幅増益で黒字転換し、創業以来最高の純利益を達成
■大幅増益の要因はグループ合併による、制作コスト・経費の削減
ティー・ワイ・オー<4358>(JQS)の前11年7月期連結業績は、売上高22,642百万円(10年7月期比14.5%減)、営業利益1,213百万円(同30.9%増)、経常利益906百万円(同55.2%増)、純利益688百万円(10年7月期△322百万円)と減収ながら大幅増益で黒字転換。
減収要因は大きく分けて3つある。ひとつは、子会社を売却したことで連結除外となった影響。2つ目の要因は、震災の影響。震災により、第4四半期受注予定であった案件が、今期にずれ込んでいる。3つ目の要因は、海外の事業が不調であったことによる。
ただ、営業利益、経常利益、最終利益は、大きく改善している。最終利益については、10年7月期比でプラス10億ほど増え、創業以来最高の数字を達成。
大幅増益となった要因は、グループを2010年7月に合併して、制作コストを削減して、経費を効率的に活用したことによる。
■有利子負債を約12億円削減、シンジケートローン契約で財務基盤が安定
バランスシートについては、有利子負債の削減を実施。89億円(10年7月期末)の有利子負債が、77億円(11年7月期末)と約12億円削減している。また、11年8月に、シンジケートローン契約を締結したことで、財務基盤が安定。また、コミットメントラインも設定されており、機動的な資金の出し入れが可能な状態となっている。
純資産については、剰余金はまだマイナスではあるが、前期の黒字転換により、赤字幅は大幅に縮小している。また、10年12月の増資により、約13億円厚みが増している。その結果、自己資本比率は2.2%(10年7月期末)から16.4%(11年7月期末)と大きく改善し、財務の健全化が進んでいる。
利益を出した要因として、制作コストを下げた他に、販売管理費の削減もある。10年7月期の販売管理費は、約50億円あったが、前期は38億6000万円と約11億3000万円削減した。
前期は減収ながら大幅増益となったことで、バランスシートについても借金を減らし、資本金、剰余金共に厚くなったことから、事業再建に向けた前期の取組は成功したといえる。
■資本金を6500万円増資し、中国での事業体制を強化
今期も更に、前期に引き続き改革を継続していくが、一方で、事業の拡大にも取組む。その一つが、中国事業の強化である。前期の海外事業は不調であったが、不調だったのは欧米に限っての事。中国では、順調に推移している。日本の企業もかなり進出していて、日系の広告主からの仕事がかなり増えている状況。元々はWebを中心に事業を展開していた子会社であったが、直近ではCMの仕事もかなり増えており、急速な需要・受注の増加に現状の体制では追いつかないほどで、「かなりうれしい悲鳴を上げている状況になっています」(IR担当者)。そこで、資本金を6500万円増資して、中国での事業体制強化を決定した。
今期の連結業績予想は、売上高24,000百万円(前期比6.0%増)、営業利益1,200百万円(同1.1%減)、経常利益700百万円(同22.8%減)、純利益450百万円(同34.6%減)と増収ながら減益を見込んでいる。
「今期は、事業の発展に向けた再スタートの年度と位置づけており、売上拡大に向けて、積極的に人員を採用する方針です。但し、採用した人材の売上が全開となるのは翌期以降となる為、今期に限っては売上とコストを比較すると若干コストが増えます。」(IR担当者)とのことである。
同社では、5年間で300名程採用し、現在の約700名体制から1000名体制にしていく。
■中期経営計画では、直接営業、クロスセル、海外展開を目指す
また、同日に中期経営計画を発表している。中期経営計画では、3つのことを実施する。一つは直接営業を実施する。つまり、広告主と直接仕事をしていく。二つ目は、クロスセルを行う。元々CM単独で販売していたものを、CMとWebを組合わせ、複合的に行っていく。3つ目が海外展開。海外の新興市場に進出する日系企業にサービスを提供する事で、新たな収益を獲得する計画。中国の話もその流れに沿ったもの。
具体的な中期経営計画の業績に関する目標数値を発表している。売上高は5年後(2016年7月期)350億円、営業利益率は3年後(2014年7月期)6.4%、有利子負債は3年後実質無借金(ネット有利子負債ゼロ)、自己資本比率は3年後に30%以上を掲げている。
今後3年間(12年、13年、14年)の売上高、営業利益の推移は、12年240億円、12億円、13年250億円、15億円、14年280億円、18億円を見込んでいる。
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