2011年06月06日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

フォーカスシステムズの前11年3月期連結業績は減収ながら大幅増益で黒字転換


■売上原価が372百万円減少、特別損失も大幅に減少

フォーカスシステムズのホームページ フォーカスシステムズ<4662>(JQS)は、6月2日グラントウキョウノースタワーの18階で前11年3月期決算説明会を開催した。今年新社長に就任した森啓一氏にとっては初めての決算説明会であった。
 前11年3月期連結業績は、売上高11,401百万円(前年比2.6%減)、営業利益187百万円(同47.5%増)、経常利益145百万円(同64.5%増)、純利益86百万円(前年△157百万円)と減収ながら大幅増益で黒字転換となった。
 前期の事業環境は、依然として企業のIT投資に対する姿勢は慎重で、なかにはコスト削減のために内製化、オフショア化するところも出てきた。また、プロジェクトの延期、中止もあり、開発案件は減少した。その様な状況で、受注できてもコスト削減要求があり、厳しい環境であった。
 同社の事業は、公共関連、民間関連、セキュリティ機器関連の3つに分けられる。前期の事業別の売上高は、公共関連5,082百万円(同1.5%減)、民間関連5,905百万円(同2.6%増)、セキュリティ機器関連414百万円(同47.6%減)となり、当初計画の数値は達成できなかったものの、民間関連は増収であり、公共関連も厳しい環境を考慮すると健闘したといえる。
 減収ながら大幅増益となった要因は、売上原価が10,075百万円(同372百万円減)と減少したことで、売上総利益は1,325百万円(同70百万円増)と増益となったことにより、営業利益は大幅増益。更に、前年231百万円あった特別損失が90百万円と大幅に減少したことから経常利益、最終利益も大幅増益となった。

■有利子負債は05年3月期の59億円から前期31億円までに削減

 売上高の過去3年間の推移を見ると、09年3月期12,041百万円、10年3月期11,702百万円、11年3月期11,401百万円と年々減少している。
 一方、経常利益は、09年13百万円、10年88百万円、11年145百万円と上昇している。「売上拡大より、利益を出すように取り組んできました」(森啓一社長)とこれまでの経営方針を紹介した。
 その結果、有利子負債は、年々減少している。05年3月期には59億円あったが、前期は31億円まで削減している。
 同社の主要顧客別売上高は、NTTデータ関連5,023百万円(同4.9%減)、NTT関連551百万円(同7.0%増)、日本IBM関連1,261百万円(同4.7%増)、沖電気関連476百万円(同28.1%減)、CTC関連372百万円(同20.0%増)、その他3,718百万円(同0.4%減)とNTTデータ関連の売上が全売上高の44.1%を、上位5社で約70%を占めている。

■海外ベンダーとの連携を強化しつつ国内bPのフォレンジックベンダーを目指す

 前期の決算説明に引き続き、今後の経営方針と今期業績予想についても語られた。
 「当社のビジョンは、社会貢献する会社になることです。官公庁の仕事をしているからというだけでなく、社員一人一人が技術を磨き、立派な仕事を行うことで、顧客満足度を高めます。その結果として売上が伸び、税金を納めることで企業として社会に貢献するといえます」(森啓一社長)と企業のビジョンを明確に語った。
 経営方針は、営業活動の強化、各組織間の連携強化、事業の優先順位の明確化、環境変化への対応、人材育成及びブランドイメージの向上の5つを掲げ今後の事業拡大に取り組む。
 具体的な経営戦略について、各事業の施策も発表した。
 公共関連事業では、NTTデータ関連業務は、現状の業務量を維持しつつ、更に顧客の信頼度の向上を図ると共に、外国をユーザーとするNTTデータの海外展開に参入することを目指す。また、元請けになるための営業を推進する。
 民間関連事業については、独立系の強みを活かし、元請け業務の拡大を目指す。一方で、他社との連携も視野に入れた、自社製品の開発を行う。
 セキュリティ機器関連事業は、海外ベンダーとの連携を強化しつつ国内bPのフォレンジックベンダーを目指す。更に、新規分野の情報収集と、各本部、各室との連携強化による新規事業への展開を図る。
 全社的には、特化した技術、先端技術を持つ社員の育成、及びそれに伴う投資を行うとしている。

■今期業績予想は増収増益を見込む、自己株式の取得にも積極的

 その結果今12年3月期連結業績予想は、売上高11,800百万円(前期比3.5%増)、営業利益250百万円(同33.1%増)、経常利益200百万円(同37.3%増)、純利益90百万円(同3.6%増)と増収増益を見込む。
 説明の後で、出席者から売上高が3.5%増収であるのに営業利益の増益幅が33.1%増となる根拠についての質問が出たが、「営業利益が売上高の5.0%あって普通と思いますので、今期の営業利益の数値が特別に高いとは思いません」(森啓一社長)と今期の数値達成に自信を示した。
 同社は自己株式の取得に積極的である。5月30日には取得価額、取得株式総数が上限に近づいたため、取得価額の上限を1億円から2億円に変更、取得株式総数の上限を25万株から40万株に変更している。取得期間は7月31日までとこちらは変わりない。
 今期予想は増収増益を見込み、自己株式の取得にも積極的であることから、株価の上昇に期待が持てる。

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