2009年12月11日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

TDCソフト:主力の保険、クレジットカード向けが堅調に推移し増収


TDCソフト:主力の保険、クレジットカード向けが堅調に推移し増収

 リーマンショックの影響で、100年に1度という大不況の真っ只中にいることから企業の設備投資は抑制されている。IT投資もまた例外ではない、09年9月調査の日銀短観によると企業のソフトウェア投資額は、製造業、非製造業を問わず対前年同期比でマイナス。しかし、保険業、貸金業・投資業等の企業は、法的対応が必要なため対前年同期比でプラスとなっている。

TDCソフトウェアエンジニアリング TDCソフトウェアエンジニアリング<4687>(東1)の事業環境は厳しい状況にあるものの、主力の保険、クレジットカード向けが堅調に推移し、増収となった。
 今10年3月期第2四半期業績は、売上高75億100万円(前年同期比3.9%増)、営業利益1億700万円(同2.7%減)、経常利益1億2000万円(同27.1%減)、純利益5900万円(同32.1%減)と増収ながら最終大幅減益となった。
 売上高については、社会情報システム関連分野が顧客のIT投資抑制の影響を受け低迷したが、金融システム関連分野の売上が伸びてカバーしたことから増収になった。
 しかし、利益面については、SE(システムエンジニア)の稼働率が低下して原価率は1.4ポイント増加し85.0%となり、売上総利益は11億2700万円(同4.7%減)となった。しかも前期あった投資有価証券売却益3800万円が今期は無かったことで、経常利益以下が大幅減益となった。

■イベントやセミナーを通じて同社の製品を顧客に紹介

 厳しい状況のなかで、4月に日本オラクルが主催したイベントに、Oracle CRM(顧客管理)On Demandを携帯電話から利用が可能な同社製のモバイルSaaSソリューションとして出展。5月には、セールスフォース・ドットコムと付加価値再販パートナー契約を締結し、より高度なカスタマーズサービスの提供が可能となった。6月、10月には、マイクロソフトと共催で、マイクロソフトのCRMパッケージを携帯電話で活用できるソリューションに関するセミナーを開催。9月にはセールスフォース・ドットコムが開催したイベントにSalesforce CRM対応モバイルSaaSソリューションを出展。また、インフォテリアのEAIミドルウェアの活用方法を紹介するセミナーを年4回開催するなど活発に活動している。
  第2四半期の取引先別売上状況を見ると、直接ユーザー39億7900万円(前年同期比15.8%増)、NTT関連20億5800万円(同14.5%減)、富士通関連14億6400万円(同6.7%増)とNTT、富士通といった大口顧客とは別に独自で販路を拡大していることが窺える。
 各事業分野の通期見通しについて同社では、金融システム関連分野は、引き続き堅調に推移すると見ている。社会情報システム関連分野は、新規商談の減少、競争の激化など厳しい受注環境が継続すると予想しているが、一部で大型案件が立ち上がる見込みもあり、明るい材料も出てきている。ソリューション関連分野は、モバイルを活用したASPサービスのライセンス販売は順調に推移する見込みであり、商談も動き始めてきたが、時期の見直し、案件の小型化、短期化といった傾向にあり、先行きは不透明。PM関連分野(プロジェクトマネジメントビジネス)も、官公庁のIT投資動向は足踏み状態にあり、いつまでこのような状態が続くのか先が見えない状況としている。
 しかし、同社の主力である金融システム関連分野が堅調と見ていることから、今通期業績予想は、売上高160億円(前期比1.1%増)、営業利益8億円(同7.2%増)、経常利益8億円(同0.0%増)、純利益4億3000万円(同26.1%増)と増収増益を見込む。