
第3四半期連結業績は、13日に発表されているように、売上高391億800万円(前年同期比7.0%増)、経常利益33億8400万円(同20.2%増)、純利益16億9500万円(同19.5%増)と増収2ケタ増益であった。
事業別に分けると検査事業(臨床検査、その他検査)、医療情報システム、その他の事業となる。各売上高を見ると、検査事業の臨床検査は354億2500万円(同6.8%増)、その他の検査は15億7700万円(同12.1%増)、検査事業全体では370億200万円(同7.0%増)となった。
医療情報システムは、18億6000万円(同9.0%増)であったが、電子カルテが売上計画を下回ったことから、期初予想20億円には達成しなかった。しかし、業務運営の効率化により、想定以上の利益を獲得し、黒字体質へ転換している。その他の事業は2億4600万円。
売上の主力である臨床検査の売上の内訳は、外注検査289億1200万円(対前年同期比13億5900万円増)、FMS/SPL(院内検査アウトソーシング)60億9100万円(同4億6200万円増)、新規連結企業(微研、ラボテック、中央微研)4億2200万円となっている。外注検査は新ユーザーの獲得が順調に進んだことで売上を伸ばした。FMS/SPL<ブランチラボ>では、採算重視策を取り、収支が改善した。
検査事業のその他検査である、食品衛生・環境検査は関心が高まっていて、食品衛生は、売上高15億1000万円(前年同期比1億6000万円増)、環境検査は6700万円(同1000万円増)と共に増収であった。
また、BML総合研究所(川越市)で構築中の次世代ラボシステムは、検査前処理工程である自動分注の新システム(新フロンティア)が8月に完成し、本格稼動を始めた。これにより、検体受付から検査処理工程さらに生化学的検査及び血液学的検査の自動化ラインである新シンフォニーケミストリー及び新シンフォニーヘマトロジーへ繋がる次世代ラボシステムの中核部分が完成し、検査受託体制の強化と更なる効率化が図られている。新フロンティアは、業界初となる検体認識装置を導入し、必要な液量があるかどうか測定する。多ノズル式による高速分注できることから、1モジュールあたりの処理能力は1.3倍から1.5倍となり高速性を達成している。また、8列のモジュールであり、増設も、故障に関してもフレキシブルに対応できる、総工費は13億円。
医療情報システム事業のなかの電子カルテ(MS)販売では、市場競争が激化したことで、新規獲得件数は140件と前年同期比で34件減少している。累計稼動数は2359件。しかし、リプレースについては、既存ユーザー310施設に対して、サーバーを中心に順調に進んでいる。リプレースの料金は1件120万円。今後も医療IT化セミナーの開催とMS販売研修を促進していくことで、新規獲得件数を増やしていく方針。なお、現在の電子カルテシステムのシェアランキングでは同社がシェア22.3%を占めていてトップである。以下、三洋電機21.7%、ダイナミクス21.6%、ラボテック13.1%、ユヤマ6.2%の順となっている。電子カルテの普及率は10%に届いている。
その他の事業である、SMO・CROの売上高は、予定していたものが延期となったことから、2億4600万円(同200万円増)と前年同期比ほぼ横ばいとなった。
下期以降の戦略として、臨床検査事業においては、@事業基盤の拡大による収益力の強化、A新フロンティアによるノンリア項目の翌日報告、B地域ラボの統廃合による合理化を実施していく。医療情報システムに関しては、販売促進強化策として、@医療専門サイト(M3.com)の活用、A販売会社とのキャンペーン、BMS研修の面展開を行うことで、普及を拡大していく。更に、リプレースは下期150台を予定している。
通期連結業績予想は、売上高770億円(前期比5.7%増)、経常利益51億8000万円(同3.5%増)、純利益25億8000万円(同8.7%増)と増収増益を見込む。
老齢化社会であることから、医療関連事業の市場は益々拡大すると思われる。したがって、同社のニーズは益々高まる。