
前10年3月期業績は、売上高260億3400万円(09年3月期比5.3%減)、営業利益8億4800万円(同7.3%減)、経常利益6億3700万円(同1.3%減)、純利益2億7000万円(同23.5%減)と減収減益。
同社代表取締役社長中川健男氏は、同業他社が設備投資の抑制を行なう中で、ピンチをチャンスと捉え、駅前の好立地への積極的な出店策を打ち出し、09年3月期には18店舗出店するなど業界の注目を浴びた。また、前10年3月期は、ネクストジャパンHDと資本・業務提携を行なう一方で、自社株の処分を実施し、ネクストジャパンHDを引き受け先としたことで、長期保有の安定株主を確保している。しかも、ネクストジャパンHDと今後、業界発展のため、互いの得意分野を取り入れることで、新規分野への進出、新規顧客の確保に繋げることにも成功し、事業の活性化が進んでいる。そのため、同社に関心を持つアナリストも多く、広い会場が満席状態となるほど盛況であった。
前期のアミューズメント業界は、リーマンショックの影響から回復しつつあったが、依然として雇用環境は厳しく、消費動向の改善は見込めないため、客単価が落ち込み、業界各社は苦戦した。そのような状況下で、大手のオペレーターの先行リストラは一巡し、中小の淘汰・再編はこれから本格化すると予想され、メーカーの撤退も始まっていた。
そのような環境の中で、同社は独自の事業基盤を作りながら、マーケットシェアの獲得戦略を推進した。そのための施策として、既存店舗の競争力向上と施設施工事業の安定化、徹底したコスト削減と効率化の推進、業界の改革を率先し、変革に取り組むの3つを掲げ、積極的に取り組んだ。
特に、話題となるのが、先述しているネクストジャパンHDとの資本業務提携である。短期的な狙いとしては、景品の一括仕入れによるシナジー効果、得意とする分野を活かした新業態店の開発、メダルとプライズゲームの相乗効果などがある。
長期的な狙いとしては、淘汰・再編を見据えて、独立系専業オペレーターの雄として業界を牽引するまでに成長することと、異業界参画同士の経営方針・考え方の共通項が多く、管理職を含む人材交流によって、原理原則に基づいた一層の経営改革を行い、両者の関係の強化にある。
■自己資本比率36.6%と3.2ポイント改善、財務内容の健全化が進む
前期は、様々な努力をしたが、厳しい環境であったことから、同社の売上高の主力であるアミューズメント施設運営事業のジャンル別売上高の増減を見ると、メダルゲーム65億5600万円(同6.9%減)、パチンコ・パチスロ機24億9300万円(同21.7%減)、プライズゲーム36億500万円(同2.4%増)、プリクラ等(AM自販機)6億3100万円(同12.1%増)、ビデオゲーム49億600万円(同15.5%減)、その他13億3400万円(同119.0%増)とプライズゲーム、プリクラなどは伸びたもののメダル、パチンコ・パチスロ機の減少でアミューズメント施設運営事業全体の売上は195億2500万円(同5.8%減)となっている。
もう一方の主力事業である施設設計・施工の売上高は51億9000万円(同8.4%減)、営業利益7億7200万円(同37.5%減)。
厳しい環境の中でも、積極的な投資を行なってきたことから、財務内容が気になるところであるが、流動負債125億3600万円(同31億6700万円増)、固定負債85億9000万円(同33億6600万円減)、純資産121億7700万円(同14億6400万円増)となり、自己資本比率は36.6%と3.2ポイント改善している。有利子負債は142億200万円(同19億4800万円減)。財務内容の健全化が進んでいる。
■今期の業績を達成するためのスローガンとして「革新」という言葉を選択
今11年3月期業績予想は、売上高270億円(前期比3.7%増)、営業利益15億円(同76.8%増)、経常利益12億円(同88.2%増)、純利益4億円(同47.9%増)と増収大幅増益を見込んでいる。
今期の業績を達成するためのスローガンとして「革新」という言葉を選択し、業界の牽引車たる「自覚と自立」の心構えを持ち、「飛躍のアドアーズの礎を築く」としている。
具体的には、「徹底したお客様視点による次世代アミューズメント施設の確立」、「景気に左右されないポートフォリオの確立」、「リーディングカンパニーたるべく全体の牽引・活性に寄与」と3つの目標を掲げている。
そのための施策として、業界や、顧客層のニーズを的確に掴み、サービスの提供力を強化し、全社一丸となったコスト削減と権限の委譲を実行する。
また、設計施工事業の営業力を強化し、全社で設計施工事業の営業の支援を行なう一方で、既存事業にとどまらず、新たな事業を見つけ、戦略的な投資を行なう。
更に独立系オペレーターの代表として、これまでの常識にとらわれない改革を行い、業界全体を牽引し、全体を活性化する。
今期のアミューズメント施設運営事業の業績予想は、売上高200億円(同2.4%増)、営業利益12億9800万円(同134.7%増)と大幅営業増益を見込んでいる。新規出店は1店舗から2店舗、閉店は2店舗から3店舗の予想。既存店売上高は102.4%を計画。設備投資は34億円(同3.7%増)、減価償却費は42億円(同8.5%増)を見込む。
中長期的な経営戦略では、重点基本方針として、アミューズメント施設運営事業の強化、設計・施工事業の強化、中長期的な企業競争力の確保と新たな収益機会の拡大を挙げている。
中長期の目標は、マーケットシェアの拡大と収益性の向上、アミューズメント専業オペレーターNo.1。経営目標としてROE10.0%の達成を掲げている。