2011年12月15日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

アドアーズ:リストラクチャリングをきっかけとして新経営体制に移行


■基本コンセプトは、基本に忠実に経営に当たることとし、3つの経営方針を掲げる

アドアーズ アドアーズ<4712>(JQS)は11月30日、東京証券取引所アナリスト協会で今12年3月期第2四半期決算説明会を開催した。
 取締役社長中川健男氏は、会社概要に引き続き、第2四半期の概要、下期計画等について詳しく説明した。
 3月の東日本大震災により、今後の経済動向、不透明さを踏まえ、厳しい状況にあっても強固な収益体質へと方向転換を果たすために、不採算店舗ならびに保有不動産の評価見直しにより、減損処理を前期に行った。その結果、約42億円の特別損失を計上した。一方で、ネクストジャパンホールディングスを引き受け先とした第三者割当増資を実施した。このリストラクチャリングをきっかけとして、新しい経営体制に移行している。新体制の基本コンセプトは、基本に忠実に経営に当たることとして、3つの経営方針を掲げている。
 まず、財務体質を健全化することにより、厳しい経済環境であっても決して負けない経営体制を構築すること。2つ目は売上を伸ばし、コストを削減し、磐石な収益体質への転換を図る。3つ目は将来へ向けた布石を打つことにより、収益基盤を強化し、常勝企業となることである。

■財務体質の健全化

 まず、財務体質を健全化することで、厳しい環境にあっても負けない企業体質へ転換する。そのためには、有利子負債の削減を推進する財務戦略を実施している。有利子負債については、前期も140億円から100億円まで削減しているが、今期は、前期に大幅な特別損失を計上したことから、有利子負債の削減を実施しながら、手元資金も確保する必要があった。そのため、ネクストジャパンホールディングスを引き受け先とした第三者割当増資を実施した。この増資により一層の企業価値を向上し、業界内外の厳しい環境を耐え抜き、業績のV字回復につなぐことの出来る強固な経営体制への転換を図る。

■磐石な収益体質へと転換を図り、勝てる企業体質へ

 2番目は、磐石な収益体質へと転換を図り、勝てる企業体質へ転換することである。そのために、年俸制度導入による人事制度刷新を行い、不要不急の制度・設備の合理化を推進した。また、稟議決済の仕組みを変更してスピーディな意思決定を行うと共に、全社的な意識改革によるコスト削減を各部門で実施した。加えて営業体制強化のために、エリア体制を見直し、若手の抜擢登用も含むエリアマネージャー体制の変更も行い、権限を委譲し、地域ごと、店舗ごとの顧客のニーズに合わせた肌理の細かいサービスの提供を推進。また、新事業・コーポレートアクションを矢継ぎ早に展開できる軽快な企業体質の構築を目指している。

■将来への布石を打ち、将来的収益体制を構築

 3番目の将来への布石については、ゲオが運営する店舗への「カプセル自販機設置・運営事業」といった新事業を開始している。また、同社にとって初の海外ビジネスとなる、カジノ併設店舗「アドアーズサンズ・マカオ店」を開設している。更に、「複合介護施設ユニマットそよ風」へのAM(アミューズメント)マシンの導入を開始し、シニア施設での展開を図ると共に、国民娯楽への布石として推進している。以上のように、将来を見据えた新規事業を推進する一方で、新サービスの研究・開発による、将来的収益体制の構築にも着手している。

■第2四半期業績は減収ながら大幅増益

 3つの取組を行った結果、第2四半期業績は、売上高122億76百万円(前年同期比2.9%減)、営業利益8億43百万円(同46.5%増)、経常利益7億82百万円(同67.1%増)、純利益8億73百万円(同371.0%増)と減収ながら大幅増益となった。
 売上高に関しては、主にアミューズメント施設の閉店に加え、レンタル事業や不動産事業の計画的な規模縮小の影響により、減収となった。
 利益面については、前期特別損失により計上した不採算資産の評価見直し・廃棄による償却負担の減少に加え、全社的コスト削減、さらに有利子負債の圧縮に伴う支払い利息負担の減少により大幅増益となった。
 期初予想との差異は、売上高2億23百万円減と計画を下回ったものの、利益面では、営業利益3億43百万円増、経常利益3億82百万円増、純利益6億23百万円増と大幅に上回った。
 売上高が期初予想を下回った要因は、設計・施行案件の一部完工案件が10月度にズレ込んだことによる。他事業は概ね計画通りであった。
 営業利益については、設計施工部門の月ズレ等による利益ショートはあったものの、AM事業での効率投資や光熱費抑制による原価削減に加え、コスト削減により販管費が対前年度比で2億28百万円削減したこともあり期初予想を大幅に上回った。更に経常利益についても、有利子負債の圧縮により金利負担が47百万円減少したことも大きな要因となった。
 純利益については、人事制度変更に伴う特別利益の計上に加え、期初見込んでいた閉店に伴う追加コストが想定を下回ったこともあり期初予想を大幅に上回った。

■有利子負債の削減が進む、今期は6ヶ月で22億65百万円圧縮

 コスト削減策として、主な施策は4項目挙げられる。まず、年俸制移行に合わせ、利用頻度の低い福利厚生に焦点を当てた。その結果、保養所の解約を含み、労務費を順次見直すことになった。マシンについては、個店毎のニーズに合わせた効率的なマシンの設置・運用を推進することで、非効率なマシンの設置・運用が無くなり、コストの削減に繋がった。また、これまで2フロアあった本社を1フロアに統合・集約し、本社別館を解約した。更に機器保管倉庫も統合し、一方を解約。電気料金のコスト削減については、店舗内は快適さを保ちながら、外部照明や空調の見直しを行った。今後、照明はLEDに転換する方向。本社の照明は削減している。
 貸借対照表では、総資産は226億52百万円(前期末比19億77百万円減)となっている。内訳は流動資産75億48百万円(同7億77百万円減)、固定資産151億4百万円(同11億99百万円減)。負債は134億35百万円(同36億3百万円減)と大幅な削減が進んでいる。内訳は流動負債104億43百万円(同16億56百万円減)、固定負債29億91百万円(同19億47百万円減)。自己資本は、92億11百万円(同16億84百万円増)と第三者割当増資と純利益の増加により大幅に増加している。自己資本比率は前期末より9.9ポイントと大幅に改善し、40.7%となっている。
 有利子負債の推移は、10年3月期142億2百万円、11年3月期101億75百万円、12年3月期第2四半期79億10百万円と有利子負債の削減は進んでいる。前期は大震災の影響を受けながらも40億27百万円削減している。今期は6ヶ月で22億65百万円圧縮している。

■アミューズメントの第2四半期営業利益率は10.8%と急回復

 セグメント別の売上高、営業利益を前年同期と比較すると、アミューズメント施設運営事業95億5百万円(同2.2%減)、10億30百万円(同88.3%増)と減収ながら大幅増益。設計・施工事業23億10百万円(同3.8%増)、1億5百万円(同53.8%減)と増収ながら、大幅減益であった。
 アミューズメント施設運営事業の第2四半期営業利益率の過去4年を見ると、08年の17.0%が最も高く、09年7.3%、10年5.7%、11年5.6%と悪化したが、今12年には10.8%と急回復している。
 今期のアミュージメント施設運営事業における取組は、新規顧客獲得の継続に加え、節電対策をはじめとした社会要請に対応しながら、収益を確保できる運営体制の確立を推進している。
 その様な状況の中で、集客施策強化では、提携先であるネクストジャパンホールディングス社とオリジナル景品の研究・開発を含む、プライズ・プリクラ等の強化により他店との差別化を図っている。また、地域性を踏まえたマシンラインナップの充実により、集客力を高めている。
 新規顧客層であるシニア層への具体的なアプローチについては、ユニマットそよ風が運営する複合介護施設へのアミューズメント機器の試験的導入により、具体的かつ感覚的なニーズに向けたダイレクトマーケティングを開始している。また、メダルゲーム設置店舗では、敬老の日イベントを展開している。

■アミューズメントのプライズゲーム、アーケードゲームの売上が伸びる

 更に、次世代アミューズメント施設に向けたサービス力を向上させるために、接客力、提案力に加え、アプローチの仕方と共におもてなしの心を機軸とした、他の余暇産業にも太刀打ちできるサービス力の強化と店内環境の改善を進める。また、ゲームに関する奥深い知識を持つ専門スタッフの育成を開始している。
 アミューズメント施設運営事業のジャンル別売上高の状況は、メダルゲームはパチンコ・パチスロの伸び悩みにより40億27百万円(同8.8%減)。プライズゲームは人気キャラクター商品の一巡によって、20億63百万円(同6.2%増)と増収。アーケードゲーム(ビデオゲーム)は人気ゲームのVer.upが大きく牽引したことで27億34百万円(同10.3%増)であった。
 設計・施工事業の概況は、売上高23億10百万円(同3.8%増)、営業利益1億5百万円(同53.8%減)であった。
 増収要因は、震災影響による工期延長案件をはじめ、中・大型ホールの内外装工事を複数完工した他、各種飲食及び娯楽施設などへの積極的な営業活動により、前年を上回る売上高となった。
 利益面については、業界全体の競争激化による利益率の低下が収益面を圧迫したことで減益となった。

■今通期業績予想は、第2四半期の大幅増益を受け、利益面を上方修正

 今通期業績予想は、第2四半期の大幅増益を受け、期初予想を修正した。売上高は前回予想を4億円下方修正したものの、利益面では営業利益を1億50百万円、経常利益を2億円、純利益を4億50百万円上方修正し、売上高236億円(前期比9.0%減)、営業利益10億50百万円(同298.2%増)、経常利益9億円(同1,100.3%増)、純利益9億円(前期△41億97百万円)と減収ながら大幅増益で黒字転換を見込んでいる。
 下半期の経営戦略としては、アミューズメント施設運営事業においては、集客力の向上、既存店舗の集中強化、将来の差別化に向けた取組みの3つを取り上げている。
 設計・施工事業については、不動産、営業力の効果による新規顧客獲得に注力している。具体的には、パチンコホール、カラオケをはじめ、飲食等近年の多岐にわたる設計・施工のノウハウを活かし、営業力を強化する。また、設計・施工事業と不動産事業の垣根を越えた情報の共有を図ることで、より確実な案件獲得の体制を構築するとしている。
 その他の施策としては、新規ベンディング事業の推進、マカオ店を軸にした海外マーケットでの安定化・情報収集を掲げている。
 ベンディング事業については、ゲオ店舗におけるベンディングマシン運営の推進により、約600店舗・6,000台の設置を完了している。今後は、売上高10億円、営業利益10%を目標としている。
 海外マーケットに関しては、11年9月に「Adores Sands Macao」を起点に、収益の貢献が出来るサービスノウハウの創造を確立することを目指している。
 同業・異業を問わず、開拓姿勢を断行し続けることで、新のリーディングカンパニーたるべく、積極的な経営を展開する方針。

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