2012年01月06日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

早稲田アカデミー:リーマン・ショックの影響を克服し、再度急成長路線へ


■業績回復を反映した株価とは程遠く、出遅れ歴然


早稲田アカデミー 早稲田アカデミー<4718>(東2)の今期業績は、10月24日に第2四半期連結業績予想の上方修正を発表しているように、リーマン・ショックの影響を克服し、再度急成長路線に戻っている。しかし、株価は、上方修正の翌日に大震災の影響で付けた3月15日の年初来最安値671円に迫る673円まで下げるなど、業績回復を反映した株価とは程遠く、出遅れ歴然といえる。
 今12年3月期第2四半期連結業積は、売上高84億35百万円(前年同期比6.4%増)、営業利益4億42百万円(同3.35倍)、経常利益4億34百万円(同3.84倍)、純利益4億73百万円(前年同期△15百万円)と増収大幅増益で黒字転換となった。
 最終利益が経常利益を上回っている要因は、子会社である野田学園所有の市谷の自社ビルを売却したことで特別利益を計上したことによる。
 今期の好業績の要因は、リーマン・ショックの影響で減少していた塾生数が回復してきたことと、子会社である野田学園の黒字転換が挙げられる。
 第2四半期塾生数の過去4年間の推移を見ると、08年9月期27,204人、09年9月期26,524人、10年9月期26,582人、11年9月期27,177人とリーマン・ショックの影響で09年は前年同期比680名減少したが、今期は08年の27,000台を回復している。
 子会社である野田学園の第2四半期業積は、売上高2億31百万円(同12.7%増)、営業利益14百万円(前年同期△9百万円)、経常利益9百万円(同△5百万円)、純利益2億49百万円(前年同期15百万円)と増収増益。純利益が営業利益、経常利益を大幅に上回っているのは、先述している自社ビルの売却益による。

■開成高合格者数全国bPをはじめ難関高校の合格実績が業界のトップ

 早稲田アカデミーは、開成高合格者数4年連続全国bPをはじめ、早慶高11年連続全国bPなど難関高校の合格実績が業界のトップであるため、難関高校を目指す中学生に人気がある。そのため、今第2四半期の中学部の売上高は前年同期比8.0%増となっている。
 また、高校部門でも「5年で東大1名→100名合格プロジェクト」を5年前から立ち上げて、5年前は1名であった東大合格者数が、昨年は93名と結果を出しているため、高校部門の売上高も前年同期比で9.3%増となっている。
 以上のように、具体的に成果を上げていることから、早稲田アカデミーの人気は高く、リーマン・ショックの影響で一時的に塾生数は減少したが、今期は過去最高の28,062人を見込んでいる。また、今期末の校舎数は133校と前期比6校増を予定している。将来的には関東圏で250校を見込んでいることから、今後も当分の間、年間5校から6校のペースで開校する計画で、売上の拡大が継続すると予想される。

■株価は08年9月上旬に付けている1200円台への回帰が期待される

 今12年3月期連結業績予想は、売上高172億72百万円(前期比5.7%増)、営業利益8億15百万円(同49.0%増)、経常利益7億69百万円(同50.9%増)、純利益6億44百万円(同3.39倍)と増収大幅増益を見込む。
 入塾のピークは1月〜3月と9月であるため、下期偏重といえるが、第2四半期の進捗率は、売上高48.8%、営業利益54.2%、経常利益56.4%であることから、利益面での上方修正も期待できる。
 4日の株価は750円と直近の引け値である12月28日の720円より30円高で引けたが、まだ、予想PER7.75倍と割負け感が強く、今期の好業績を織り込んだとはいえない。しかも業績はリーマン・ショック以前の成長路線への回復してきたことから、08年9月上旬に付けている1200円台への回帰が期待される。