2010年11月29日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

インフォメーションクリエーティブは前10年9月期決算の説明会を開催


■リーマンショックにより、情報に対する投資姿勢が慎重で2期連続の減収減益

インフォメーションクリエーティブのホームページ インフォメーションクリエーティブ<4769>(JQS)は、11月26日に前10年9月期決算の説明会を行った。
 10年9月期の業績は、売上高54億2500万円(前期比9.3%減)、営業利益2億4900万円(同28.2%減)、経常利益3億1300万円(同21.0%減)、純利益1億6500万円(同11.8%減)と減収減益。
 同社の業績は94年から2008年まで14期連続で最高益更新と順調に推移してきたが、08年9月のリーマンショックにより、顧客企業の情報に対する投資姿勢が慎重になったことから2期連続で減収減益となった。
 その様な状況に対応するため、採用を控え社員数は785名(09年9月末比30名減)と減少している。また、内製化を促進したため、外注費も5億1200万円(同3億9900万円減)と大幅減となっている。

■ソフトウェア、運用サービス、ネットワーク、プロダクトの4つのソリューション事業を展開

 同社の事業は、ソフトウェア・ソリューション、運用サービス・ソリューション、ネットワーク・ソリューション、プロダクト・ソリューションの4事業に分けられている。
 ソフトウェア・ソリューション事業では、業務システム開発から統合パッケージ導入支援、システム統合を行う。また、組込ソフトウェア分野も対応している。
 運用サービス・ソリューション事業は、24時間365日フルサポート体制で、システム構築、性能管理、障害監理、セキュリティ管理等、コンピュータの運営にかかわるサービスを提供。
 ネットワーク・ソリューション事業では、各種ネットワークシステムの構築からセキュリティディフェンスなどのコンサルティングサービスまで総合的なサービスを展開している。
 プロダクト・ソリューション事業では、特定業種のニーズに対応したプロダクトの開発・販売を進め、独自市場を創造している。商品としては、美容・理容業向けの総合ASPサービス「Coma」、チケット発券システム「チケット for Windows」、チケット印刷ソフト「Pure チケット」、リモート監視・運用パッケージソフト「IT Remote Solution」等がある。

■受注案件の減少、受注単価の引き下げ要請が続く

 同社の特徴は、顧客密着型でサービスを提供しているため、社員の8割近くが顧客先に常駐していることである。プロジェクトチームを作り、顧客企業のシステム担当者と一緒に仕事をしていることから、新たな仕事の受注も獲得しやすい環境にある。
 また、売上の60%以上が日立グループで占めているのも特徴であり、取引先の上位5社全て日立系の企業である。安定した取引基盤を持っているといえる。
 事業別の売上高構成比率は、ソフトウェア開発42.1%、システム運用35.9%、ネットワーク・ソリューション16.2%、その他(主にプロダクト事業)5.8%とバランスの良い事業構成となっている。
 先述しているように、14期連続の最高益更新から、一転して2期連続の減収減益となっている。同社を取り巻く事業環境は、企業の情報に対する投資姿勢は依然として慎重で、受注案件の減少、受注単価の引き下げ要請が続くなど厳しい環境といえる。
 一方で、クラウドの時代到来ともいわれ、パブリッククラウド市場の拡大が予想され、情報投資に積極的な動きもある。

■ソフトウェア開発の稼働率はアップしたが、採算性の低いものがあり減収減益

 売上高、売上総利益を事業別に見ると、ソフトウェア開発22億8300万円(同10.6%減)、4億500万円(同8.4%減)。稼働率はアップしたものの、一括受注に採算性が低いものがあったことから減収減益となった。
 システム運用19億4700万円(同13.3%減)、3億2200万円(同24.1%減)。予定を下回る受注に加え、稼働率の低下、値引き要請とトリプルパンチにより、内製化推進もカバーできず、減収減益。
 ネットワーク・ソリューション8億8100万円(同3.9%減)、1億5200万円(同3.9%減)。金融関連の受注が予想を下回ったことに加え、値引き要請もあり減収減益。
 その他3億1300万円(同17.2%増)、△2100万円(同7.0%減)。2ケタ増収ながら、リモート監視・運用のデータセンタ事業への投資を回収するまでには至らず赤字幅拡大となった。

■中長期計画を見直し、新中期経営計画として再スタート

 前期の業績を説明した後、代表取締役社長山田亨氏は、今後の戦略について説明した。
 08年10月にスタートした中長期計画(5カ年)は、09年9月に発生したリーマンショックによる影響で、見直すことになり、10年10月からスタートする新中期経営計画として再スタートすることになった。
 中期計画のコンセプトとして、「仕事の取れる事業推進」を掲げている。そのためのテーマは、新事業領域への挑戦と革新、既存事業成長へのパラダイムシフト(革命的変化)、事業を支える経営基盤のイノベーションと3つを挙げている。
 具体的な施策として、今後成長すると予想されるクラウドコンピューティングへの対応を強化するために、ネットワーク・ソリューション、プロダクト・ソリューションを包含した「クラウドソリューション部」を新設している。
 クラウドソリューション部では、新たな事業の創造により、新サービス・ASPの販売推進、中堅・中小企業向けユーザーの獲得、Google Apps導入支援サービス強化により、今期売上高2億5000万円を目標としている。

■Google Apps導入支援事業を開始

 Google Apps導入支援事業を開始するために、今年9月にGoogle Appsについて傑出した技術力を持つベイテックシステムズと業務提携している。
 Google Appsを導入することで、利便性の向上とコスト削減が実現できるため、各企業に対して、コンサルティング、導入移行、カスタマイズ、サポート、教育を展開していく。
 もう一つの施策は、人材育成を強化する目的で「人材開発グループ」を新設したことである。これまで、エンジニアの技術力向上を目的に技術部が人材育成を行ってきた。今後は、技術力向上と共に、ヒューマンスキルの向上も目指す。
 そのために、既に問題解決力、ビジネス力など「人間力」を高めるプログラムを作成している。また、段階的に、事業創造に挑戦し、積極的にチームを率先する「パイオニア型社員」を育てるとしている。

■稼働率はアップし、足元の受注も伸びる

 新中期経営計画に引き続き、受注状況、今期業績予想の説明が行われた。
 事業部別の足元の上半期(10月から3月)の受注状況は、ソフトウェア開発7億500万円(計画達成率60.8%)、システム運用6億300万円(同54.1%)、ネットワーク・ソリューション3億700万円(同98.1%)、自社製品2900万円(同120.8%)、製品その他7000万円(同46.9%)と全体では17億1600万円(同62.1%)となっている。前年同期が60.3%であることから、1.8ポイント上回っている。「稼働率はアップし、足元の受注も伸びています」(山田亨社長)と現在の状況は改善していることを示した。
 今通期業績は、売上高57億300万円(前期比5.1%増)、営業利益2億5600万円(同2.6%増)、経常利益2億8000万円(同10.5%減)、純利益1億4100万円(同14.1%減)と売上高、営業利益は前期を上回るが、経常利益、純利益は下回る見込み。
 経常利益、純利益が減益となる要因は前期あった雇用調整助成金3000万円が無くなることと人材開発費用の増加による。

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