星光PMC:第2四半期は、減収ながら利益面では計画を上回り、経常・純利益共に大幅増益
■収益改善策、製造費・販管費の削減、海外事業の赤字幅縮小等により増益となる
星光PMC<4963>(東1)は21日、今期13年12月期第2四半期決算説明会を開催した。なお、今期は決算期変更のため、4月から12月の9か月の変則決算となる。
事業内容、当期の事業環境、第2四半期決算概要、通期業績見通し、事業別動向、経営戦略の順で説明が行われた。
同社は、製紙用薬品事業と樹脂事業を展開している。製紙用薬品は、サイズ剤、紙力増強剤、印刷適性向上剤など、新聞用紙、印刷・情報用紙などに使われる薬品を開発・製造している。樹脂事業では、オフセットインキ、グラビアインキ、新聞インキ、トナー等に用いられる樹脂の開発・製造を行っている。
過去数年間国内の紙・板紙の生産量は、ほぼ横ばいで推移している。今期第2四半期(4月から9月)の紙・板紙生産量は前年比1.7%増であった。国内印刷インキ生産量は0.1%増と微増であった。このように、生産量の大幅な拡大は見込めないものの、事業環境は安定しているといえる。
そのような状況の中での今期13年12月期第2四半期連結業績は、売上高106億16百万円(前年同期比1.1%減)、営業利益5億17百万円(同3.4%増)、経常利益6億72百万円(同27.9%増)、純利益4億58百万円(同37.0%増)と減収ながら利益面では計画を上回り、経常・純利益共に大幅増益となった。
営業利益に関しては、減収要因により1億48百万円の減益となったが、収益改善策により82百万円の増益、製造費経費の削減により51百万円の増益、販管費の削減により12百万円の増益、海外事業で20百万円の赤字を削減した結果、前年同期の5億円を17百万円上回る5億17百万円となった。
■製紙用薬品事業は減収減益、樹脂事業は増収大幅増益
事業別の売上高、営業利益は、製紙用薬品事業75億29百万円(同2.8%減)、3億82百万円(同3.4%減)と減収減益。樹脂事業は30億86百万円(同3.2%増)、1億34百万円(同29.1%増)と増収大幅増益であった。
製紙用薬品事業では、紙・板紙の国内生産は堅調であった。同社は差別化商品の投入で売上の増加を図ったが、ユーザーの設備統廃合や薬品節約の流れの影響を受け減収となり、利益面でも減益となった。
樹脂事業では、欧州を中心とした事務機器需要減退に伴い記録材料用樹脂の販売は減少したが、オフセットインキ用樹脂、水性インク用樹脂が堅調であったことから増収となった。利益に関しては、増収効果と収益改善策、コスト削減策により大幅増益を確保。
今期通期連結業績予想は、売上高168億70百万円、営業利益7億50百万円、経常利益9億60百万円、純利益5億90百万円を見込む。今期は決算期変更に伴う9か月の変則決算となるため、前期の4月から12月までの9カ月間の業績と比較すると、売上高4.9%増、営業利益14.9%減、経常利益3.2%増、純利益3.0%増と増収ながら、営業利益は2ケタの減益を見込むが、経常・最終利益は増益を見込む。
営業利益の2ケタ減益の要因は、原料である中国ガムロジンの高騰、円安による石油化学品などの原材料価格の上昇が挙げられる。
■2018年には連結売上高350億円、営業利益率10%を目指す
今期は、円安、中国ガムロジンの高騰等で厳しい環境であるが、設立50周年にあたる2018年には連結売上高350億円、営業利益率10%を目標数値として掲げ、事業の拡大を推進している。
目標達成のための第1ステージとして「CS VISION―1」(2012年度から2014年度)を発表している。
最終年度である2014年度業績予想は、売上高270億80百万円、営業利益26億20百万円とし、売上の内訳は、既存事業228億80百万円、海外事業30億80百万円、新規事業11億20百万円を計画している。
既存事業では、円安で、輸入紙が減少した影響で、国内の大手はフル生産で、輸出も出来る状況となっている。その様な環境で、同社の板紙アルカリ抄紙システムの推進、紙、板紙の軽量化、高灰分化に適合した薬品システムの開発、ロジンサイズ剤からASAサイジングシステムへの置き換え等で売上の拡大を図っていく方針、
海外事業については、中国は現地で中国人責任者を採用したことで、販路の拡大が図られ、売上、利益ともに改善してきている。来期には黒字化が実現すると見ている。
■新規事業ではセルロースナノファイバー、導電性ナノ材料(銀ナノワイヤ)に注目
新規事業では、セルロースナノファイバー、導電性ナノ材料(銀ナノワイヤ)が注目を浴びている。セルロースナノファイバーは、竜ヶ崎工場にパイロットプラントを建設中、2014年度よりサンプルを供給開始する予定。自動車関連部品のほか、家電、モバイル機器などの軽量化の実現を目指す。特に自動車に関しては、使用されている樹脂部材の代替だけで20キログラムの軽量化が実現すると予測されていて、今後同社の業績を牽引する可能性が高い。
銀ナノワイヤは、ガラスや透明器材に均一に並べるとワイヤを伝わり電気が流れると共に、ワイヤ間の隙間から光が透過するため透明伝導性電極を形成することができる。スマートフォンやタブレット端末にタッチパネルが組み込まれているが、このタッチパネルに透明伝導性電極が使われている。現在はインジウムが使用されている。しかしインジウムはレアアースで、資源の安定調達に不安があることから、各メーカーでは、代替品を求めている。このため、同社の開発した銀ナノワイヤの需要が拡大することが予想される。
以上のように、今後の需要が見込まれる製紙用薬品をはじめ、新規事業分野でも画期的な新製品の販売が控えていることから、同社の事業展望は明るいといえる。
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