2009年12月08日
フコク:当初予想よりは事業環境は改善
■乗用車向けの売上が徐々に戻り当初50%から70%に
自動車向け防振機能製品等を製造するフコク<5185>(東1)は、12月7日に第2四半期決算説明会を東京証券会館で開催した。
10月23日に上方修正を発表しているように、当初予想よりは事業環境は改善してきている。昨年9月15日のリーマンショックの影響で、自動車メーカが生産調整を行ったことで、昨年11月から急激に売上が落ち込み、3月までは通常の40%で推移した。そのため、派遣・契約社員約400名の採用を見直し、会社都合の休日を設け、約80名の一時帰休を実施したうえに、ホワイトカラーも工場で働くなどの緊急処置をとった。また、経費はシビアに見てできるだけ切り詰めた。
ところが、乗用車向けの売上が徐々に戻り、当初50%を想定していたが、7月頃から70%に戻ってきて上方修正の発表となっている。しかし、トラック向け製品の売上は乗用車程回復してはいない。建設機械に至ってはいまだ回復してないのが実情。
同社は、ブレーキ、エンジン、排気部品等のシール機能製品、ダンパー、サスペンション等の防振機能製品、ワイパーブレード、トラック・建設機械用燃料タンク等の乗用車、トラック、建設機械向けの製品を製造している。
■現状はまだ厳しく、不透明で、先の見通しが出来ない状況
今第2四半期連結業績は、当初最終赤字を予想していたが、乗用車向けの売上が当初予想を上回るペースで回復してきていることから、売上高169億2400万円(前年同期比42.5%減)、営業利益2億7900万円(同76.7%減)、経常利益3億1100万円(同72.6%減)、純利益3億1400万円(同60.3%減)と大幅減収減益だが、最終黒字を確保している。
今通期業績予想は、売上高370億円(前期比28.9%減)、営業利益16億円(同328.0%増)、経常利益16億円、純利益13億円と大幅増益で黒字転換を予想している。
来期の業績予想について「下半期の業績を2倍した数字が来期の業績となるのか」との会場からの質問に、会社側では、昨年のリーマンショックのトラウマではないが、売上が急落したことを経験していることから楽観的判断はしていない。現状はまだ厳しく、不透明で、先の見通しが出来ない状況だとの認識を示している。
一方、新しい動きとしては、中華人民共和国河北省辛集市に、河北辛集騰躍実業有限公司と共同出資して中国鉄道用ゴム部品を製造する合弁会社を設立したことが挙げられる。同社では新幹線で培った技術を活かし、鉄道用ゴム部品の開発、生産、販売を行うと共に、鉄道用ゴム部品の技術コンサル、技術サービスを行う計画。
自動車メーカの生産も上向いてきたとはいえ、予断は許されない状況であるが、中国の鉄道事業に乗り出すという明るい話題も出てきた。厳しい中にも明かりが見えてきたといえる。