■ねじ節鉄筋を実物でPR

■「スクリュープレート工法」で認定取得、トマトでアニモを展開


園芸事業は前期に約12億円の売上高だったが、野菜や花用の家庭園芸用肥料を中心にホームセンターの2000店を通じて販売拡大を図っていく。
種苗事業では病気に強い野菜品種の開発に積極的に取り組んでいるが、昨年度発表したトマト「アニモ」は黄化葉巻病というトマトの生産農家を悩ませている病気に強い耐病性を持っており、今後拡大に注力していく。
■鉄鋼と肥料が2本柱、今期が設備投資のピーク
朝日工業では、09年3月期では売上高に占める比率は鉄鋼建設資材が69%、農業資材が26%、環境サービスが5%という構成だ。鉄鋼建設資材は電炉業。60トン電気炉、圧延設備などを持ち、鉄筋用棒鋼、構造用鋼、ねじ節鉄筋を生産販売している。電気炉メーカーとしては中堅の独立系で、原料のスクラップを埼玉、群馬を中心に手当てしている。この地域ではスクラップの発生量が多い割には電炉もメーカー間の競合が少なく、また安定したルートで購入していることが強み。販売面では首都圏の大市場が控えている。製品では、鉄筋用棒鋼主体に、機械用などに使われる付加価値の高い構造用鋼、高層ビル用向けなどで伸びの大きいねじ節鉄筋を生産している。
今期の設備投資計画は約80億円。埼玉工場の圧延加熱炉の新設、圧延スタンド増設、集塵装置増設などが主なもの。これらの投資でエネルギーをオイルから天然ガスへ転換させ、CO2削減を実現する。省エネ、製品品質向上なども狙い、生産設備を刷新する。今期に8割方進み、来期からは設備投資は減少に向かう見込み。
■有機肥料では3割強の業界シェア
農業資材では、09年3月期で肥料の売上高が133億円で、有機肥料が全体の6割を占める。国内の肥料市場規模は約250万トンで、うち有機肥料は1割とみられている。「朝日工業の有機肥料の生産販売約8万トンで全体の3割強を占める」(赤松清茂社長)大手。魚かすに含まれる魚タンパクやパームやし等を原料に有機肥料を生産、埼玉県と共同で生ごみから有機肥料の生産も始めている。千葉県旭市の千葉工場では脱臭機能を高めた最新工場で有機肥料の生産を行っているが、OEMでの受注も増えている。肥料以外では、種苗の売上が2億円、園芸が12億円、オーストラリアから輸入している乾牧草が16億円など。
■09年3月期は大幅増収増益、増配
朝日工業の09年3月期連結決算は売上高626億2900万円(前連結会計年度比+21.0%)、営業利益64億600万円(+125.8%)、経常利益64億800万円(+141.8%)、純利益34億9900万円(+129.5%)と大幅増収増益となり、年配当は1500円増配して7000円とした。営業利益ベースでみると、鉄鋼建設資材事業では鉄鋼が60億7400万円(+102.5%)とけん引したほか、農業資材事業も12億5600万円(+108.2%)と伸長した。鉄鋼は景気後退の影響から販売数量は減少したものの、鉄スクラップ価格の高騰に対し製品値上げを進めたことや、7月以降の鉄スクラップ価格の下落とコストダウン効果により後半に収益が改善して増益となった。農業資材事業では、肥料全体の販売数量は減少したものの、有機肥料の販売数量が増え、また7月から値上げしたことも寄与し増益となった。
■10年3月期は環境は逆風、明るさ見えるか
5月に発表した10年3月期の連結業績は、売上高435億円(前期比−30.5%)、営業利益26億円(−59.4%)、経常利益25億円(−61.0%)、純利益13億円(−62.9%)を予想、年配当は6500円を予定している。営業利益ベースでみると、鉄鋼建設資材事業で29億4000万円(前期比−51.6%)、農業資材事業で6億5000万円(−48.2%)の予想。鉄鋼では製品価格、スクラップ価格がともに下落。下げ幅もスクラップと製品がほぼ程度で、マージンは横ばいを想定している。首都圏のマンションを始めとする建設の低迷などで需要が2割程度減少すると見込んでいる。肥料では全農の今年の無機肥料の購入価格の下げは約2割の下げとなったものの、有機肥料の下げは小幅にとどまった。しかし、前期に無機肥料の値上げから有機肥料に転換した反動が今年に起こる可能性があるとみている。
鉄鋼大手では高炉の新日鉄が前3月期の営業利益3429億円から今期の営業利益はゼロを予想、また電炉最大手の東京製鉄は前期の営業利益534億円から今期は60億円(−88.8%)を予想するなど厳しい。朝日工業も減益だが、「1Qの業績は割合堅調。予想以上に健闘している」((赤松清茂社長)状況で、8月7日の1Qの決算発表の予定。
■手堅いコストオペレーション、リサイクルが事業の基点
前期決算では18期連続黒字計上となった。市況の乱高下の激しい電炉が主力の会社にしては収益力が底堅い。原料入手面の有利さ、中小型物件中心の販売で原料価格変動へのリスクを緩和していること、高付加価値品への注力、さらにもうひとつの柱の肥料部門が下支えしている。キャッシュフローなどを見ても、コストオペレーションは手堅い。ビジネスの基本は鉄鋼ではスクラップのリサイクル、有機肥料では未利用資源の利用など「何がリサイクルできるかを常に考えている」環境対応型企業。今期は厳しい中にも明るさが見え始めるかが注目されよう。