2010年11月24日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

トーソー:今通期は増収増益で黒字転換が期待できる状況


■カーテンレール類は業界全体の約45%のシェアを有す

トーソーHP カーテンレールで国内シェアNo.1のトーソー<5956>(東2)は、22日に今11年3月期第2四半期連結決算の決算説明会を兜町平和ビルで行った。
 11月10日に第2四半期業績の上方修正を発表している。今通期は増収増益で黒字転換が期待できる状況。
 代表取締役社長大槻保人氏は、決算説明会の前に、トーソーグループの紹介と業界の現況について説明した。
 トーソーグループは、トーソーと子会社8社からなり、売上高の約90%をトーソー単体で占めている。なお、インテリア雑貨事業については黒字化が困難だと判断し、09年12月に撤退している。
 売上高の98%を占める室内装飾関連事業の内訳は、カーテンレール類約50%、ブラインド類約40%、間仕切り類約2%、その他8%となっており、中でも、カーテンレール類は業界全体の約45%のシェアを有している。

■室内装飾関連事業の現況は、力強い回復は無いものの回復傾向

 室内装飾関連事業は、新設住宅着工戸数の影響を受ける事業である。新設住宅着工戸数の推移を見ると、06年は120万戸を超えていたが、07年は建築基準法改正の影響等で約100万戸と大幅に減少した。更に、08年9月のリーマンショックの影響で、09年は80万戸弱まで減少。今期は上半期で40万戸を超えていることから年間80万戸は超えると見ているが、依然として厳しい環境にある。
 ただし、前年同月比の推移では、戸建住宅が09年11月よりプラスに転換している。戸建住宅にマンション、貸家、給与住宅を含めた新設住宅着工戸数は、10年4月にプラスに転じ、5月にマイナスとなったものの、6月から再度プラスに転じている。以上のことを踏まえると、室内装飾関連事業の現況は、力強い回復は無いものの回復傾向にあるといえる。
 売上高の2%を占めているのは、その他の事業。ステッキなどの介護用品、プラスチックチェーンなどが主力である。

■営業利益、経常利益共に4期振りの黒字

 「売上高は予想を上回り、96億9600万円と前年同期比9.9%増となりました。利益面につきましても増収効果に加え、原価率が1.3ポイント改善したことにより、営業利益、経常利益共に4期振りの黒字となりました。最終利益については、今期より適用される資産除去債務の影響を受け赤字となっています」(大槻保人社長)と決算の概況を説明した後、経理部長の森兼康博氏が第2四半期の決算説明を行った。
 第2四半期連結業績は、11月11日に発表された。売上高96億9600万円(前年同期比9.9%増)、営業利益1億6000万円(前年同期△2億4500万円)、経常利益1億900万円(同△3億2000万円)、純利益△2300万円(同△3億8200万円)と増収大幅増益で、営業・経常利益共に黒字転換しているが、先述しているように資産除去債務の影響で最終利益は赤字。

■好調な要因は、戸建住宅の回復に加え、営業活動強化による新規顧客の増加

 売上の主力であるカーテンレールは金属製装飾性レール、木製装飾性レール、機能性レールのいずれも売上が好調。ブラインド類も、横型ブラインド、縦型ブラインド、ロールスクリーン共に好調。
 一方、販売チャネル別の状況を見ると、最も売上の大きい専門店・工事店ルートは、市況の回復や営業活動の強化等により売上高が好調に推移している。
 好調な要因は、戸建住宅の完工回復に加え、営業活動強化による新規顧客の増加など。また、新製品の発売と共に全国で展示会を行うなど市場回復のチャンスを逃さず積極的な販促活動を行っている。
 また、今年は猛暑の影響も大きく、同社が開発した熱遮断ブラインドの売上高は、7月、8月、9月と好調であった。
 大型小売業ルートについては、ホームセンターのインテリア関連売上高が低位に推移するなど市場環境は総じて低調であったが、大手企業との取組強化等により、売上高は前年と同水準。

■室内装飾関連事業の売上高は95億円と前年同期比14.1%増

 海外チャネルは、中国やインド等における物件獲得活動を強化したところ、ホテル物件への商品納入等が増加し、売上高は好調に推移した。
 その結果、室内装飾関連事業の売上高は95億円(前年同期比14.1%増)、営業利益1億1200万円(前年同期△2億9100万円)と2ケタ増収大幅増益で黒字転換となった。
 その他の事業の動向については、プラスチックチェーンの販売は不振であったが、ステッキを中心とした介護用品が前期に発売した新製品等の効果により好調に推移したため、全体では増収増益となった。特に、ブランド名「アクティブ」で売り出しているステッキは、折りたたみ式で、石突きにはショックアブソーバーが付いているため好評である。
 その他の事業の売上高は、1億9600万円(同2.2%増)、営業利益4900万円(同11.8%増)とこちらも増収増益。
 大幅増益の要因となっている原価率・売上総利益の推移について前年同期と比較すると、売上総利益は42億5800万円(同5億100万円増)、原価率は56.1%と1.3ポイント改善している。要因としては、増収効果に加え、原価低減活動と操業度の向上、円高の影響等が挙げられる。

■「ビジョン2015」(長期展望)というタイトルで、3つの目標を掲げる

 第2四半期業績の説明の後、再び大槻保人社長が今後の活動について語った。
 同社の業績に最も影響を与える建設関連市場の環境について、短期、中長期のプラス要因、マイナス要因を取り上げた。
 まず、短期的に見た場合のプラス要因は、住宅取得時の税制などの行政施策、住宅取得価格の値ごろ感と低金利の持続などが挙げられる。
 一方、マイナス要因は、個人消費の減速や雇用・取得環境の回復の遅れ、住宅供給サイドの手控えなどがある。
 中長期で見たプラス要因は、住宅の質的向上、環境、省エネ需要の高まり、リフォーム需要の旺盛が挙げられる。
 マイナス要因は、世帯数の減少、住宅の長寿命化による新設住宅着工の減少などがある。
 その様な環境を踏まえ、同社では「ビジョン2015」(長期展望)というタイトルで、3つの目標を掲げている。
 まず、国内市場においては新製品開発力と販売力を強化し、販売量の拡大を図る。
 次に、世界のトップブランドメーカーとして認知される企業を目指し、海外販売比率10%超を達成する。
 更に、新規事業の継続的推進による新しい事業基盤の確立を目指す。と今後の方向性を示している。

■非住宅チャネルやリフォーム市場への活動を深耕

 「ビジョン2015」を実現するための戦略として、中期基本戦略を発表した。
 商品開発については、開発力のスピードアップ、コスト競争力の強化、インテリアトレンドにあわせた特長のある製品を連続投入する。
 国内の営業活動に関しては、基盤となっている国内住宅市場での売上確保を最優先に取り組み、その上で非住宅チャネルやリフォーム市場への活動深耕を行う。前期より発売した複層ガラスやオーニング(日除け)等のリフォーム向け商材の投入による市場開拓を推進する。
 一方、海外市場については、新興国などのハイエンド市場を獲得し、海外売上高構成比率10%超を目指すとしている。中国現地法人では、高級ホテル物件等へ電動品等の高付加価値製品を提案する。新興国に向けては、中国以外にもインド等の現地代理店を通じた販売を強化する。また、代理店網の再構築を実施し、代理店網の拡充、既存代理店への支援強化も行う。
 製造面については、製造コストの低減を図ると共に、品質管理の向上を実現する。
 財務体質については、棚卸資産の圧縮を図ることで、強化するとしている。
 今通期連結業績予想は、売上高187億円(前期比1.5%増)、営業利益6億円(同2.47倍)、経常利益5億円(同2.91倍)、純利益3億5000万円(同95.5%増)としているが、上期の状況を継続させ、一層の増収増益を目指す。

>>トーソーのMedia−IR企業情報