
同社の前期業績は、最大の顧客である、百貨店、流通大手の新築、改装が抑制されたうえに、照明業界にLED照明が登場したことで、これまで、ニッポ電機とダイア蛍光の2社でほぼ独占していた業界に新手が新規参入したため、競争が激化し、大幅減収減益で赤字転落と上場来初めての大きな躓きとなった。
前期連結業績は、売上高77億300万円(09年3月期比8.6%減)、営業利益900万円(同97.7%減)、経常利益3100万円(同90.9%減)、純利益△8400万円(09年3月期1億8300万円)。
代表取締役社長加藤勇氏は説明会の冒頭の挨拶で、「前期の業績の悪化は、私の責任であります。それを否定する気持ちは全くございません。しかし、前期業績、今期業績予想の説明には、今期より新社長に就任する予定の専務の金子より紹介をさせて頂きます」と語り、決算説明会を金子専務に任せた。
同社の今後の業績回復への布石は打たれつつあり、今期業績の回復が期待される。
■これまでのライバル会社と業務提携し、合弁で販売子会社を設立
金子専務の説明によると「これまでライバル会社であったダイア蛍光と合弁で販売子会社DNライティングを設立し、経営の合理化を実施したことにより、前期の上半期と下半期は継続性のある企業とはいえなくなりました」と、ニッポ電機の経営体質が以前とは大きく異なっていることを紹介した。
具体的には、同社の親会社の大日本塗料がダイア蛍光の株式の67.0%を取得したことで、ダイア蛍光は同社の兄弟会社となったことから、協力体制を構築し、更なる生産性の効率化を実施。ダイア蛍光が他社より購入していた安定器を同社の子会社のニッポ電工が供給する一方、同社は一部蛍光ランプの生産をダイア蛍光に委託することでコストを削減している。更に、原材料の仕入れを共同で行うことで、仕入れコストの削減を実現すると共に研究開発も共同で行うことで、開発費の低減を図っている。
また、7月23日の取締役会でダイア蛍光との共同出資による販売合弁会社であるDNライティングを設立し、同社の販売部門をDNライティングに譲渡すると共に、ダイア蛍光の販売部門もDNライティングが譲り受ける事を決定している。このことで、従来より重複していたダイア蛍光との取扱製品・販売網をDNライティングに一本化することで販売面での効率化を実現している。
そのため、前期の上半期の業績とDNライティングを販売会社とした下半期の業績を比較すると、下半期売上高44億6200万円(上半期比12億2100万円増)、営業利益1億3500万円(同2億6100万円増)、経常利益1億5500万円(同2億7800万円増)、純利益△2000万円(同4400万円増)と最終利益は赤字であったが、大幅な増収増益と明らかに合理化策が反映された数字となっている。なお、売上高は、ダイア蛍光の商品を扱ったことから、大幅な増収となっている。
■シナジー効果で年間3億円の経費削減
販売会社を設立したことのシナジー効果(経費面限定)は、生産面のコスト削減効果を除いても、半年間で顕在化してきた効果をもとに算出した確実となった経費削減の年間効果は、不動産賃貸料4000万円、運送費4000万円、業務委託費(派遣社員等)1億2000万円、人件費(正社員)5000万円、販売店に保証金を返却したことで、値引き等の改善費5000万円が削減されて、合計3億円の経費削減効果が出てきた。
前期で、大胆な合理化策を実行し、期待される今期連結業績予想は、売上高85億円(前期比10.3%増)、営業利益1億9000万円(同21.1倍)、経常利益1億4000万円(同4.5倍)、純利益8000万円(前期△8400万円)と増収大幅増益で黒字転換を見込む。
部門別の売上高は、店舗照明部門50億2700万円(前期比3.5%増)、建築化照明部門24億5600万円(同4.1%増)、紫外線(UVランプ)3億3700万円(同9.9%減)、その他(海外)8000万円(同23.1%増)、LED6億円となっている。LEDについては新たに売上が加わるというより、蛍光灯からLEDにシフトすると見ている。
■今期の主要施策としてLED照明へのより積極的取り組みを挙げる
今期増収を見込んでいるが、市場の環境は市場規模が縮小しているうえに、新規参入企業が出てきたことで、厳しい環境は今期も継続すると見ている。
先述しているように、店舗照明、建築化照明の業界は同社とダイア蛍光でほぼ独占していたので、業界の市場規模は2社の売上を併せた金額といえる。過去3年2社の売上を合わせると、08年136億7500万円、09年121億9400万円、10年91億3900万円。09年は建築基準法の改正の影響を受けている。前期はリーマンショックの上に、LEDに売上を持っていかれたことから、2社の売上が急減している。
今期の主要施策として、生産体制見直しによる更なる生産コスト削減、営業力の強化、LED照明へのより積極的取り組み、業務体制の見直しによるコスト削減の4点を挙げている。
■「シームレスタイプ」のLED器具も近々上梓
中でも最も気になるのが、LED照明の登場により、新規参入者の市場蚕食である。光の質にこだわらないドラッグストアを中心に一部百貨店にも進出している。棚下照明の分野にも1割弱は採用すると見ている。
同社では、昨年秋に「LED開発グループ」「LED推進部」を立上げて、新規参入企業の製品とは差別化できる新製品の開発にめどをつけている。
例えば、海外製部品の採用も含め製造コストカットもほぼ可能となっているうえに、「光のプロ」としてのLEDの光の「つぶつぶ」の全く見えない製品や、「シームレスタイプ」のLED器具も近々上梓する。
前期はリーマンショック、LED照明の急速な普及というダブルパンチで、赤字決算となったが、その間今後を見据えた事業体制を構築し、LED市場にも技術力を活かし、競合他社製品と差別化できる高性能LED製品を開発していることから、今期業績の回復は期待できる。
決算説明会の会場には同社のLED照明器具を展示していた。元々シームレスランプなど他社ではまねのできない製品を開発していることから、本格的に同社がLED照明に取り組み始めたら、他社の追随は許さないと思われる。