■第2四半期(7月から9月)は34億9000万円も売上を伸ばし、第1四半期の赤字をカバー
プリント配線板最大手のメイコー<6787>(JQ)の昨年の1月は、リーマンショックの影響から、受注高が大幅に縮小し、しかも内外でそれまで継続してきた設備投資の負担が大きくのしかかり、前期09年の最終利益は、08年の最終利益56億4000万円から激減し、90.8%減の5億2200万円と散々であった。ところが、今期は株価の上昇に表れているように、急激に業績は回復してきている。
8月7日に発表された、第1四半期連結業績(4月から6月)は、売上高150億9300万円、営業利益1200万円、経常利益△1億1200万円、純利益△1億2900万円と赤字転落であったが、第2四半期(7月から9月)は売上高185億8300万円、営業利益15億4100万円、経常利益12億3000万円、純利益9億700万円と34億9000万円も売上を伸ばし、第1四半期の赤字をカバーして黒字化している。
今10年3月期連結業績予想は、11月5日に上方修正を発表しているように、売上高700億円(前期比7.7%減)、営業利益35億円(同98.8%増)、経常利益27億円(同183.3%増)、純利益18億円(同244.8%増)と減収であるが、大幅増益を見込んでいる。
株価が、最高値を更新した昨年12月25日に同社を訪問すると、「クリスマス商戦に向けて工場は9月、10月はフル稼働状態でした。更に、例年クリスマス用の受注が終わる11月から通常落ち込みますが、予想していたより落ち込み幅が少なく堅調に推移しています」とIR担当者に現況を語ってもらった。
■今後ニーズが見込める付加価値の高い基板も生産体制を整える
11月19日に行われた、第2四半期決算説明会で、代表取締役社長名屋佑一郎氏は、今後の方針を示している。まず、武漢の第一工場で生産しているTV用多層基板についてはトップクラスを維持するために、月産20万uから7月には24万uまで増産体制を整えているが、更に10年4月には28万uまでに生産能力をアップする。一方、今期より設備投資をはじめた武漢第二工場には、これまで、宮城工場で生産していたビデオカメラ、スマートフォン等に使用されるAnylayer基板専用のラインを作り、月産5000uの生産を行なう。また、今後需要が見込めるTVのバックライト用や、照明用LEDの放熱基板の設備投資を行い、月産4万5000uのラインを整える。更に、車載、太陽電池インバータ用の大電流基板を月産2万5000u、車載向け専用基板である車載貫通基板を月産2万u生産するラインを投入し、10年4月から第二工場で併せて月産9万5000uの生産を開始する計画。大量一括受注の体制を維持しながら、今後ニーズが見込める付加価値の高い基板も生産体制を整えていく方針。
リーマンショックの影響で、一時的には設備投資はストップしたかに見えたが、プリント基板の需要は旺盛で、ニーズを取り込むために、再度設備投資をスピードアップする程、同社の事業環境は回復してきた。
昨年横浜の工場を宮城工場に統合したことで、年間20億円経費を圧縮したほか、人員整理などにより固定費を大幅に削減している。
経費を切り詰めた上に、受注が回復したことで、今期の回復はもちろんであるが、今後の成長が予想される。