2011年2月22日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

アライドテレシスホールディングス:前10年12月期の決算説明会を開催


■増収大幅増益で、4期連続の黒字を達成

アライドテレシスホームページ インターネット機器の製造・販売をグローバル展開するアライドテレシスホールディングス<6835>(東2)は、2月16日に東証アローズで前10年12月期の決算説明会を行った。
 前10年12月期連結業績は、増収大幅増益で、4期連続の黒字を達成し、2期連続の配当を実施することから順調であったといえる。
 前期の地域別の売上高は、日本210億3600万円(09年期比10.7%増)、北米59億7700万円(同1.6%増)、欧州70億4000万円(同5.0%減)、アジア・オセアニア17億7200万円(同6.7%減)となり、合計では358億2600万円(同4.8%増)と増収。
 急激な円高により、欧州、アジア・オセアニアは減収であったが、ドル建ての売上高では、北米6万8251ドル(同8.7%増)、欧州8万232ドル(同1.1%増)、アジア・オセアニア1万9882ドル(同6.8%増)と北米の伸び率は拡大し、欧州、アジア・オセアニアは減収から増収に転換している。

■茨城、熊本、呉等の病院院内ネットワーク構築を受注

 前期の主な取組と実績を見ると、日本では、医療機関へ「止まらないネットワーク」システムの提供を推進。教育機関向けには、「学校ICTキャンペーン」を期間延長して、学校ICT環境整備事業を支援した。更に、国内における営業拠点を09年の14拠点から30拠点まで増やし、地域のサービス体制を拡充。また、日本医療情報学会が主催する医療情報学連合大会における機器の提供等積極的に協力し、製品をアッピールした。
 その結果、茨城、熊本、呉等の病院院内ネットワーク構築を受注。その他には、福井鉄道にSwitchBlade x908を活用してリング型光ネットワークの整備等を行なった。

■米農務省の農村開発プログラムの通信ネットワーク使用機器に選定

 欧米においては、ヘルスケア、IP監視の市場をターゲットとして、州政府や軍関係にアプローチし、ネットワーク・ソリューション営業を積極的に展開した。また、ヘルスケア市場をターゲットとしたブランド訴求や顧客獲得のため、大型イベントに積極的に出展。更に、地域密着型の営業活動やサービスやサポートを強化するために営業拠点を各国で新設した。
 その成果として、オハイオ州の独立系通信会社大手のCT Comunication社が次世代ブロードバンドネットワーク展開用のベンダーとして同社を選定した。また、オハイオ州バトラー郡がネットワーク機器の標準ベンダーとして認定すると共に、米農務省の農村開発プログラムの通信ネットワーク使用機器に選定されている。一方欧州では、イタリア空軍へ統合ネットワーク・ソリューションを提供、トルコでは、軍医療施設34カ所にネットワークインフラを提供している。

■ニュージーランド政府が推進する大型学校ネットワークの更新プロジェクトを獲得

 アジア・オセアニアでは、文教、公共交通など政府主導のプロジェクト案件獲得のため、営業を強化すると共に、大型案件受注拡大のために、SwitchBlade x908などのコア・スイッチを中心にネットワーク・ソリューションを提供。また、今後も市場として伸びることが予想される事から、防犯・防災のためのIP監視ソリューション市場に積極的に進出した。
 その結果、ニュージーランド政府が推進する大型学校ネットワークの更新プロジェクトを獲得、また、同じくニュージーランドで公共交通機関のネットワークインフラを構築した。インド、タイ、フィリピンでは、IP監視ソリューションネットワークの受注が増加している。

■営業利益は22億3000万円(同4.25倍)と大幅増益

 世界各地域での積極的な営業活動により、売上総利益は210億400万円(同16.9%増)と利益率の高い付加価値サービスやコア・スイッチなどの高収益製品の販売が増加したうえに、国内販売の仕入原価が円高により低下したことで、売上の伸び率を更に上回った。そのため、売上総利益率は58.6%と09年期より6.1%アップした。
 研究開発費は36億7800万円(同2.9%増)、その他販管費150億9400万円(同8.9%増)と共に増加している。
 営業利益は22億3000万円(同4.25倍)と大幅増益。しかし、為替は、09年の1ドル92.10円に比較し、10年は81.49円と円高になったことから、為替差損11億7100万円が発生したことから経常利益は9億9100万円(同64.4%増)と伸び率が減少した。更に欧州子会社の部門縮小など、事業再編損として1億600万円を計上したことから純利益は6億300万円(同24.0%増)と伸び率は更に減少した。しかし、09年期に比較すると大幅増益を達成。

■業績が拡大すると共に販管費も上昇

 業績が拡大すると共に販管費も上昇している。10年期の販管費は187億7300万円(09年期比13億3200万円増)となっている。その内訳は、給料手当て58億9400万円(同1億4300万円増)、研究開発費36億7800万円(同1億500万円増)、その他費用(主にインフラの投資)92億円(同10億8400万円増)。
 資産の状況は、現金および預金62億9000万円(同9億5600万円減)、売上債権83億1100万円(同3億9500万円増)、棚卸資産45億4800万円(同1億2600万円減)、その他流動資産13億400万円(同1億9400万円減)、有形固定資産22億6900万円(同4900万円増)、無形固定資産6億6700万円(同4億6900万円増)、投資その他の資産合計14億2900万円(同4億6000万円増)となり、総資産は248億2200万円(同9700万円増)となった。
 負債・資本の状況は、流動負債97億4800万円(同1億4700万円増)、固定負債24億7000万円(同14億2300万円増)、純資産126億300万円(同14億7300万円減)となり、自己資本比率は49.6%。

■今期はメーカーならではの提案を行い、顧客への直接営業を拡大

 今期については、前期までに日本全国に30拠点の営業拠点を設け、更に今期1拠点新設したことから、31拠点となり、サポートサービス体制が拡充していることから、システムの提案から構築までのソリューション・サービスビジネスを積極的に推進する。IP監視、クラウド等、市場拡大が見込める分野には、具体的なモデルを提案すると共に、これまで導入事例が多い医療、教育、製造業等の業種に注力した市場開拓を進める。メーカーならではの提案を行い、顧客への直接営業を拡大していく。
 また、海外に進出している日系企業に、海外の事業所とのビジネス連携を可能とするソリューション提案を強化する。
 一方で、大規模コアシステム製品やネットワーク管理システムの開発を行うために、グローバル規模の研究開発の連携を行い、製品群を取り揃えていく。
 更に、グローバル会計、原価管理、在庫コントロール、サプライチェーン・マネジメント、顧客情報管理の強化を実現するために、社内インフラとしてグローバル情報システムを構築する。また、人材育成の強化を行い、ソリューション技術者などの海外派遣や、海外人材の日本駐在も実現する方針。
 以上のような取組を進めることで、今通期連結業績予想は、売上高361億円(前期比0.8%増)、営業利益16億5000万円(同26.0%減)、経常利益14億円(同41.3%増)、純利益8億円(同32.7%増)と微増収ながら、経常・最終利益は大幅増益を見込む。
 尚、今期の為替レートは1ドル80円としているため、為替の評価損は見込んでいない。

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