2009年11月16日
京写:当初予想よりは受注の回復が早まる
片面プリント基板で世界トップの京写<6837>(JQ)は、11日に東京証券取引所のアナリスト協会で、今10年3月期第2四半期決算説明会を開催した。
10月30日に第2四半期、通期業績予想の上方修正を発表しているように、当初予想していたよりは受注の回復が早まっている。国内の自動車、家電、アミューズメントの回復が早かったことや、同業他社が海外で片面プリント基板の事業から撤退したことなどが理由として挙げられる。
しかし、前年同期の業績と比較すると、売上高23.4%減、営業利益28.0%減、経常利益57.4%減、純利益64.6%減と下期にどれだけ回復できるのかが気になる。
今期より代表取締役社長に就任した児嶋一登氏は、「デジタル家電、事務機器、自動車、アミューズメント分野をベースに片面板に資源を集中して、粉落ちしないプリント基板、放熱基板など他社では作れない基板を作り、シェアを拡大していく方針です。両面板、銀スルーホールは少量多品種で最適生産します。更に多層板は海外の各企業との提携によりシェアの拡大を図りますが、現在香港の2社と組んでいます。また、最も最先端の次世代基板であるPALAP基板は7年前からデンソーと共同開発しています。一方、実装事業は得意分野である子会社の三和電子が行います。」とグループの基本戦略を説明した。
■受注状況は10月、11月共に好調
また、これからの重点分野として、環境関連ビジネスをターゲットとしていくことも紹介した。照明機器関連では、LED照明市場に注力していく。用途としては家庭・施設用照明、自動車ライト、液晶バックライト等があり、構造上片面板の使用が多い上に、既に大手顧客を持っている。
更に、自動車関連については、今後も自動車はエレクトロニクス化が進み、更に安全設計のため、電子制御となっていることから同社のこれまでの技術で対応が可能である。既に、EV、HEVのLEDランプ関連で製品を納入している。
エコ関連では、成長が期待されている風力発電、太陽光発電等で片面・両面板の採用を開拓していく方針。
説明の終わりに、「現在中長期計画を策定中です。現在の時価総額は18億円くらいですが、3倍、4倍くらいの時価総額になるような計画をたてるつもりです」(児嶋社長)と今後の成長路線に自信を示した。
足元の受注状況の質問について「受注状況は10月、11月共に好調です。第2四半期と同じくらいです。第3四半期はこのままのペースで走ります。第4四半期については自動車関連の予測が3月までつきましたが、家電はまだハッキリしない」と答えた。
今通期連結業績予想は、売上高130億円(前期比14.3%減)、営業利益4億3000万円(同172.7%増)、経常利益4億7000万円(同2.4%増)、純利益2億8000万円(同59.2%増)と減収ながら、大幅最終増益を見込む。
児嶋社長は、大学は理学部出身で技術を得意とし、さらに、松下電工勤務、同社の香港、中国、メキシコ勤務の経験の持ち主だけあって、説明も力強さが感じられた。