2010年03月09日
共和電業:修正計画の売上高115億円ほぼ達成、決算と展望を高木社長が語る
■前09年12月期業績と今後について代表取締役社長高木瑞夫氏語る
ひずみゲージを応用した応力計測のリーディングカンパニーである共和電業<6853>(東
1)は、5日に兜町平和ビルで前09年12月期決算説明会を開催した。
前期の業績は、2月9日に発表されているように、売上高114億2100万円(前々期比22.9%減)、営業利益2億7300万円(同82.0%減)、経常利益2億3600万円(同81.1%減)、純利益1億4900万円(同74.3%減)と大幅減収減益であった。
決算説明会場で代表取締役社長高木瑞夫氏は、会社の事業内容を動画を交えながら詳しく説明した後で、「売上高については、景気後退の影響が大きく減収となりましたが、修正計画の115億円はほぼ達成しました。利益面については、固定費の削減に取り組んだものの減収幅が大きく、しかも原価率が上昇したことから減益となりましたが、同じく修正計画は上回る利益を確保しました」と前期業績について語り始めた。
■ 自己資本比率は4.1ポイント改善し、47.1%
前期の業種別売上高は、官公庁・学校22億5500万円(08年度比23.2%増)、自動車・自動車部品17億500万円(同49.0%減)となり、官公庁・学校は好調であった。なかでもダム関連の売上が伸びたことが大きい。反面、自動車・自動車部品は大幅な設備投資の抑制の影響で半減している。なお、電機・機械・鉄道・航空宇宙など上記以外の業種で全体の65%を占めるが、これは同社の事業領域が幅広く、特定業種に偏らないことを示している。
キャッシュ・フローを見ると、営業キャッシュ・フロー8億2500万円、投資キャッシュ・フロー4700万円、財務キャッシュ・フロー△3億1000万円であり、期末の現金及び現金同等物の残高は24億5500万円と5億6000万円増加している。従って、自己資本比率は4.1ポイント改善し、47.1%となっている。
■逆風の中でも利益を確保できる強固な経営基盤を証明
04年から取り組み続けてきた営業・生産・開発の3つの革新活動、自動車機器部の新設、前半重点主義・汎用製品拡販・粗利志向の徹底を実践してきたことにより、逆風の中でも利益を確保できる強固な経営基盤となっていることを証明したといえる。
高木瑞夫社長は、前期の苦境を乗り越え、今期より始まる第3次中期経営計画については、まず初年度の計数目標および緊急性の高い施策について確定させ、2・3年目の計画については今年度中に策定を完了する、としている。基本戦略としては、変化の激しい市場環境に耐えうる企業体質を確立するために、成長戦略、収益戦略、企業価値向上への取り組みを徹底する方針。更に、海外市場における販売力を強化する。具体的には中国市場の開拓、アメリカ市場の深耕を掲げている。また今後を見据え、社会ニーズの変化を捉えた新規需要の開拓と創出を目指している。
今10年12月期連結業績予想は、新中期計画の初年度として、売上高130億円(前期比13.8%増)、営業利益7億5000万円(同173.8%増)、経常利益6億5000万円(同174.0%増)、純利益3億5000万円(同134.7%増)と2ケタ増収3ケタ増益を見込む。
■画期的な新製品「スタンパー」を紹介
09年度末の受注残高は30億2800万円(08年度末比7億6100万円増)であり、1月、2月の受注も計画通りに推移している。
説明会の最後に、高木瑞夫社長は、「前期の厳しい環境の中で、2度に亘る下方修正となりましたが、何とか黒字を確保できたのは、同業他社が30%以上の減収であったのに、22%にとどめることが出来たからです。特定の業種に依存しない、総合メーカーの強みを発揮したことによります。また、革新運動を続けてきたことで、生産の効率化が実現していることも挙げられます」と締めくくった。
説明会の中で、同社ならではの画期的な新製品「スタンパー」の紹介があった。この装置は、IRI(国際ラフネス指数)と呼ばれる数値を測定し、高速道路の平坦性を評価するためのもので、従来は交通規制して人間の手で測量を行なうか、専用の路面測定者を用いるしかなかったが、専用車は非常に高価かつ台数が少ないため、測定のタイミングに制約があった。
同社のスタンパーは、加速度計を用い、一般車両に装着することで、安価にIRI値を測定することができる機器で、測定したデータをリアルタイムでグラフに表すことも可能。今後、一般道路、鉄道にも応用できる。