2009年11月27日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

OBARA:リーマンショックの影響を断ち、回復へ


■大幅な減収減益となったものの、事業構造改革を完遂し、体質強化へ

OBARAのホームページ 自動車向けの溶接事業とエレクトロニクス業界向けの平面研磨事業を行うOBARA<6877>(東1)は、前09年9月期の決算説明会を11月17日に開催した。
 昨年9月15日のリーマンショック以降、自動車・エレクトロニクス業界の需要が激減したことに伴い、同社の事業も売上が減少、前09年9月期連結業績は、売上高224億51百万円(前年同期比51.4%減)、営業損失15億16百万円(前年同期は57億12百万円の営業利益)、経常損失15億93百万円(前年同期は58億51百万円の経常利益)、当期純損失については、特別損失9億15百万円などを計上した結果、29億90百万円(前年同期は31億9百万円の当期純利益)の赤字決算となった。
 セグメント別の売上高を見ると、溶接事業の売上高は132億80百万円(前年同期比33.9%減)、平面研磨事業は91億71百万円(前年同期比65.0%減)と両事業とも大幅な減収を余儀なくされた。
このような状況の下、同社は、徹底した固定費の削減に着手し、販売費及び一般管理費については、人件費を中心に前年同期に比べ、19億15百万円を削減した。
一方、研究開発費は、前年同期比11.7%増の8億29百万円と景気回復後を見据えた活動は全力で行った模様だ。
 また、溶接事業においては、今後、市場環境が好転する際にも、その復調規模は限定的と想定されることから、長期的な収益力向上、経営基盤強化の観点から工場の統合と人員調整を柱とした事業構造改革を実施し、9億15百万円の特別損失を計上した。
前期、創業以来最大の赤字決算となった同社。今回、思い切った事業構造改革を完遂したことで、リーマンショックの影響を断ち、回復・発展に向けて動き出したといえる。

■今後は、アジア重視の戦略で、大幅な収益改善を図る

 今10年9月期連結業績予想は、売上高225億円(前年同期比0.2%増)、営業利益1億55百万円(前年同期は15億16百万円の営業損失)、経常利益2億75百万円(前年同期は15億93百万円の経常損失)、当期純損失1億円(前年同期は29億90百万円の当期純損失)と売上は前期水準ながらも事業構造改革を完遂したことにより収益は大幅に改善する計画だ。
 セグメント別の業績予想では、溶接事業の売上高は145億円(前年同期比9.2%増)、営業利益8億9百万円(前年同期は7億38百万円の営業損失)、平面研磨事業の売上高は80億円(前年同期比12.8%減)、営業損失6億54百万円(前年同期は7億78百万円の営業損失)を見込んでいる。溶接事業は、日本を含めたアジア地域を中心に前期より回復を予想するが、平面研磨事業は、消耗品販売が改善傾向にあるものの、装置需要の本格回復に時間を要する見通しから減収を予想している。
 グループ全体での研究開発費は9億円と前年同期比8.6%増と引き続き開発には積極的だ。
自動車、エレクトロニクス業界は、回復傾向にあるが未だ力強さは見えない。同社の短期的な経営環境は引き続き厳しいものの、経営体質を強化した同社は、アジア地域へ注力することにより事業拡大を図るものと思われる。アジア地域は急速に成長している。今後の事業展開次第では事業拡大のチャンスといえる。