■今期はコスト削減を徹底して最終黒字回復を見込む
双信電機<6938>(東1)の前09年3月期連結業績は、リーマンショック以降第3四半期、第4四半期の業績が大きく低迷した影響で大幅減収減益となった。売上高は112億7200万円(前々期比23.3%減)、営業利益△6億8700万円(前々期13億3600万円)、経常利益△5億6900万円(同13億4100万円)、純利益△22億2200万円(同7億8900万円)と上場以来最悪の結果で終わっている。
各メーカーの在庫調整により、同社も生産調整を余儀なくされ、前下期には余剰人員となった派遣社員約120名の契約を見直すと共に、宮崎の子会社の合併などコスト削減に向けてあらゆる施策を実践している。
同社は、情報通信端末向け積層誘電体フィルタや産業用のノイズフィルタ、自動車電装向け厚膜印刷基板を製造している。製造部品を大きく分けると複合回路部品(積層誘電体フィルタ、LCフィルタ、ノイズフィルタ)、コンデンサ(マイカコンデンサ、プラスチックフィルムコンデンサ)、集積回路(厚膜印刷基板)など。
前期の各部品の売上高は、複合回路部品66億5800万円(前々期比29.1%減)、コンデンサ16億1000万円(同12.1%減)、集積回路30億300万円(同13.6%減)と2ケタ減収であるが、今期も売上は回復せず、前期の売上とほぼ変わらないと見ている。
今期連結業績予想は、売上高110億円(前期比2.4%減)、営業利益0(前期△6億8700万円)、経常利益8000万円(同△5億6900万円)、純利益4000万円(同△22億2200万円)と減収ながらコスト削減を徹底して最終黒字回復を見込む。
前期の第4四半期の1、2、3月の受注は50%減とこれまでに無い、急激な落ち込みであったが、直近の4月、5月になるとノート型パソコン・携帯電話・鉄道・自動車関連で明るさが見えてきている。特に、ノート型パソコンの回復は早く、7、8月には前年同期の90%までには戻りそうな状況。しかし、まだ全体の本格的な受注回復は第2四半期以降と見ている。
そこで、同社では受注が減少している期間を生産体制の見直しのチャンスと捉え、前期に引き続き、生産性の向上に向けた積極的な取り組みを継続し、売上原価の低減、販売管理費の削減、減価償却費の低減等で、3億円のコスト削減を目指している。
今期は、鉄道向けのノイズフィルタの売上が拡大する等業績回復の話題があるが、今後を見据えた場合、同社の技術力は業界トップであることから、最先端のハイブリッドカー、次世代の電気自動車の時代到来と共に、同社のコンデンサ、フィルタ、セラミック製の耐熱基板の需要が高まるのは確実で、業績の回復は近いものと期待される。しかも財務面においても有利子負債は全くゼロの状態であることから、受注が戻り次第、早期の利益回復が期待できる。