
19日に既に発表されているように、前08年9月期連結業績は、売上高173億9000万円(前々期比4.7%減)、経常利益2億1000万円(同28.5%減)、純利益1億3600万円(同24.6%減)と減収減益に終わっているが、中期経営計画の成果は上がったといえる。
同社は、科学研究施設と半世紀以上の歴史を持つ粉体機械の2事業が売上の主力。まず、科学研究施設では第3四半期までは順調であったものの第4四半期に入り、急激な設備投資意欲の低下により受注が減少したことで、売上高113億5700万円(同6.2%減)となり、営業利益も営業力強化のための人件費が増加したことにより、1億9400万円(同61.8%減)と大幅減益となった。
粉体機械も第4四半期になり設備投資が急減したことから食品・飲料製造関連設備の受注は減少傾向にあったが、資源の再利用等環境面で貢献できる造粒機や粉砕機の受注が医薬、食品、化学、窯業において堅調であった。なかでも特に医薬の海外市場と窯業の造粒を中心としたプラント向けの受注が共に伸びたため、売上高は60億3300万円(同1.7%減)の微減に止まった。営業利益は生産性の改善、コスト削減が奏功し6億2000万円(同63.9%増)と大幅増益を達成。
同社は、05年度に、中核事業である科学研究施設について、国立大学、官公庁研究機関の独立行政法人化に伴い市場構造が急変した影響で売上高が大きく落ち込んだため、連結業績は売上高157億1200万円と大幅減収になり、経常利益△4億1100万円、純利益△4億8300万円と赤字転落した。そこで、06年度を初年度とした向こう3年間の中期経営計画(DNA200)を策定して、この3年間経営再建に努めてきた。前08年9月期は中期経営計画の最終年度であった。
中期経営計画の取組と主な成果を振り返ると、まず北海道ダルトン、東北ダルトン、九州ダルトンを同社が吸収合併し販売チャネルを一体化した。次に受託事業部をテクノパウダルトンへ移管し一体化を行い、合理化を推進している。また、ダルトン工芸センター、テクノパダルトンの累損が消えダルトングループ各社から累損を一掃する等成果を上げている。全体として、売上高予算は苦戦したものの、粗利益予算に対しては善戦した。したがって、05年度、06年度は緊急対策として、リストラや賃金カットを行ったが、07年度、08年度は黒字回復を実現し、カットした賃金を元に戻すことができた。一方で、資本を増強するために、MSCBによる増資で資本金2億9000万円を増加。また、利益が回復したことから、借入金の圧縮を行い、単体13億8200万円減、連結11億8800万円減となった。純資産は、単体で4億4100万円増、連結で10億7000万円増となる等3年間の努力が報われる結果となる。
前08年9月期の第4四半期に急激に市場が冷え込んだものの、黒字化を達成した上に、借入金の圧縮を実現し、自己資本比率は18.5%となり、05年度と比較すると6ポイントも改善していることから中期経営戦略は成功したといえる。
次期経営計画の課題として、@売上高成長性の追及、A原価の圧縮、B販売管理費の削減、C金利の圧縮、D資産の圧縮、E自己資本の充実、F借入金の圧縮を上げている。
09年9月期通期連結業績予想は、売上高187億円(前期比7.5%増)、経常利益3億7000万円(同76.0%増)、純利益3億円(同120.6%増)と増収、大幅増益を見込んでいる。