2012年02月27日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

アイ・エム・アイ:前11年12月期業績の決算説明会を開催


■11年12月期は、営業・経常・純利益ともに過去最高益を更新

 医療機器輸入・販売のアイ・エム・アイ<7503>(JQS)は21日、前11年12月期業績の決算説明会を行った。

 前11年12月期業積は、売上高78億62百万円(10年12月期比0.6%減)、営業利益16億55百万円(同11.2%増)、経常利益17億1百万円(同10.7%増)、純利益9億34百万円(同8.0%増)と減収ながら利益面では営業・経常・純利益ともに過去最高益を更新した。

 代表取締役社長積賀一正氏は、前期の業績概要、今期の業績予想、基本戦略、新商品について詳しく語った。

 前期業績については、「売上は微減となりました。これは特に旧子会社の商品、利益貢献度の低い商品の売上が減少したためです。我が社では2、3年前から利益率の低い商品から撤退して、利益率の高い商品に経営資源を集中しています。その効果が出てきて、逆に営業利益のほうは最高益を更新しています。事業別の売上を見ますと、体温管理機器とか脳機能モニタ、あるいは高機能患者シュミレータ等で売上を伸ばしています。レンタルは2009年のパンデミック予算ということで、大量に人工呼吸器が配備されたということで、この3年間レンタルの伸びも止まっています。メンテナンスに関しては新しい商品は順調に成長しているのですが、昔の商品のオーバーホールがなくなったことで減収となっています。それから旧子会社で、かって我々のディーラーさん2社をM&Aしているんですが、この中で、アイ・エム・アイに関係の無い商品を売っていたディーラー部門に、雇用の関係で、赤字にならない限りは事業を継続してよいということで、ほとんど利益は無く、雇用のために継続しているところがございます。そのため、売上は減収となりましたが、利益には全く影響はございません」と前期の業績について語った。

■今期業績予想は、増収増益で最高益更新を見込む

 今期業績予想は、売上高82億円(前期比4.3%増)、営業利益17億20百万円(同3.9%増)、経常利益17億40百万円(同2.3%増)、純利益9億70百万円(同3.8%増)と増収増益で最高益更新を見込んでいる。

 今期の売上予想については、「生体機能補助・代行機器が前期に比較して2.2%の増収、生体現象計測・生体情報モニタが11.1%の増収、その他の商品が6.9%増の成長を予測しています。旧子会社の売上高は、6.1%の減収と見ています。レンタルが5.5%の増収、メンテナンスサービスが2.8%の増収で、合計82億円となり前年度比4.3%の成長を予想しています。配当については、今期も60円を見込んでいます。我が社は1996年に株式を公開して以来、配当性向30%以上を基本方針としてやってきています。2009年からずっと60円配当を行っています。09年の配当性向は39.7%でしたがこの3年間で配当性向は下がり、今期は32.3%になると見込んでいます。ということは、配当金額は変わらないけれどネットプロフィットが順調に伸びていることをあらわしています」と今期も事業別の売上は順調に推移することで、利益も過去最高を見込んでいることを紹介した。

■薬価を5,500億円削減した財源で、診療報酬を増やす

 更に、同社の事業環境を語るために、12年度の診療報酬改定の概要について説明が行われた。

 「医療業界では、今年は2年に1回の診療報酬の改定に加え、市場環境の変化があります。最初は、診療報酬の改定ということで、予算の増加が予想されましたが、社会保障と税の一体改革で、予算に余裕は無いということで、最終では、ほとんど真水で増えることはありませんでした。しかし、薬価で5,500億円削減しました。薬価は、薬とペースメーカー、カテーテル等特定材料と合算したものですが、市場価格と実際の償還価格とギャップがあるから、5,500億円下げるようにしました。その下げた財源で、診療報酬を増やしています。内訳は、医科で約4,700億円、歯科で約500億円、調剤で約300億円増加しています。これが今回の診療報酬の改訂の骨子でございます」。

■急性期医療に重点予算配分により、同社にとってビジネスチャンスが拡大

 医科の重点項目については、「医科の4,700億円について3分野に分けています。一つは、救急、産科、小児、外科等の急性期医療に対して約1,200億円投下しています。それから在宅医療の充実に約1,500億円、医療技術の進歩と促進に約2,000億円を振り分けています。我が社が使っている商品の大半が、救急、産科、小児、外科等の急性期医療です。我々にとっては良いことといえます。特に今回目玉として、PICU小児特定集中治療が挙げられます。日本は新生児の救命率は世界でトップクラスですけれども、逆に、小児の死亡率はものすごく高いのです。それは何故かというと、小児の救急ICUがないからです。大学病院でもないということで、以前から社会問題となっていました。救急車でたらい回しになった子供がなくなるという例があります。今回は目玉として、重点的に行うということで、新しくPICUで7日間以内の場合、1日当り15万5,000円医療費に新しくつけるという大胆な新しい診療報酬が付けられました。前回と同じように、急性期医療に重点的に予算配分されるので、我が社にとっても充分ビジネスチャンスがあります。在宅については、在宅の人工呼吸器がマスクで行う人工呼吸器は月6万円から6万4,800円、挿管式のものは7万円から7万4,800円と全部7%アップしていますし、これも我々にとってはプラス要因といえます。医療技術についてはまだ詳細は分かりませんが、今手術というのは1,200種類あります。厚生労働省の発表によりますと1番高いものは5割アップするといわれています。まだ詳細は分かりませんが、これからどういう手術が点数が上るか発表されます。我が社としては、ザックリとは分かるのですが、具体的にどういう技術が点数が上るかまだ詳細には分かりません。これが4月1日に施行されますので、そのうちに明確となります。その時点で、2012年の我が社の基本戦略について見直しを図っていきたいと思っています」。

■10年度の病院市場人工呼吸器予測台数の16.3%とトップシェアを誇る

 「我が社が一番中核となすビジネスは、人工呼吸器なのですが、矢野経済が発表した病院市場の10年度の予測台数は全体で5,116台です。その中で、当社が16.3%、A社が15.9%です。当社の人工呼吸器の売上高は、販売売上高よりも、レンタル売上高のほうが大きく、11年12月期の人工呼吸器の売上高は42億79百万円となっています。多分、販売、レンタル、メンテの売上で比較すると、我が社のシェアが圧倒的に大きいと思います」と人工呼吸器の売上高について語った。

■小児用イントロックが加わり、小児科領域での新たな需要が見込まれる

 最後に、新商品の紹介となった。経験の少ない人でも手元のモニタ画面で確認しながら確実に迅速に気管内挿管ができるビデオ喉頭鏡エアーウェイスコープ、人気が高く、既に3000台以上普及している。このエアーウェイスコープの使用範囲を更に拡大する小児用イントロックが加わり、挿管困難症や食道への誤挿管リスクの高い小児科領域での新たな需要が見込まれる。更に、念願であった救急救命士のビデオ喉頭鏡の使用が許可され、早期予算化も始まったことで、エアーウェイスコープの売上拡大が期待される。

 次の商品は、電動骨髄ニードル穿刺システムEZ−IOである。蘇生ガイドラインでは、静脈からの輸液が困難な場合は皮下から直接骨髄へ針を刺し骨髄から輸液・薬剤投与することを推奨している。電動骨髄ニードル穿刺システムEZ−IOを使用することで、より確実に、安全に、迅速に、緊急時の輸液・薬剤投与を可能とすることから、小児新生児科、救命救急センターなどからの需要が見込まれる。

 もう一つの新商品は、周術期患者加温装置ユニークテンプ。全身麻酔中の患者が低体温に陥るリスクを予防する為に、軽量なブランケット内部から患者の側だけに発熱して加温効果を発揮した体温低下を防止する加温装置。

 今期業績は最高益更新を見込むように、事業環境は順調で、更に新商品も売上拡大が予想されていることから、今後も事業の拡大が予想される。