2012年02月27日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

清和中央ホールディングス:前11年12月期連結決算の説明会を開催


■前11年は大震災の影響も跳ね返し、V字回復を達成

 独立系の鉄鋼商社である清和中央ホールディングス<7531>(JQS)は2月22日、東京証券会館で前11年12月期連結決算の説明会を開催した。

 前期の業積は、売上高420億19百万円(10年12月期比9.9%増)、営業利益3億64百万円(10年12月期△3億23百万円)、経常利益6億62百万円(同△41百万円)、純利益1億59百万円(同△6億30百万円)と増収大幅増益で黒字転換を達成した。

 同社グループは、清和中央ホールディングス、清和鋼業、中央鋼材、大宝鋼材、清和サービス、サンワ鋼材、北進鋼材からなる。なお、サンワ鋼材と北進鋼材は非連結子会社となっている。

 同社の業積は、08年9月15日に発生したリーマン・ショックの影響を受け、業界が大不振に陥ったこともあり、09年、10年と業績は低迷したが、前11年は、大震災の影響も跳ね返し、V字回復を達成している。

■想定より早くサプライチェーンが回復

 代表取締役社長阪上正章氏は、経営環境、東日本大震災の影響、前期業績の概要、今期の見通しについて説明を行った。

 「昨年を振り返ってみますと、3月11日に発生した大震災は、3月から6月にかけては、自動車産業を中心として、様々な製造業の生産活動に多大なる影響を与えました。すなわち生産の停滞、建設事業については中止、あるいは延期等により、需要減が見られました。しかし、想定より早くサプライチェーンが回復したことにより、自動車を除く製造業については、円高による外需の減少も懸念されたのですが、円高の上昇の割には、小幅に止まりました。また、主力の建設需要も一昨年の秋にほぼ底打ちしたことで、震災による一時的な影響はありましたが、秋口以降生産の停滞の分を取り戻し、昨年1年間は国内需要に関する限りは、ほぼ横ばいをキープできたと思われます」と昨年の事業環境を説明した。

■子会社の清和鋼業は、在庫の評価方法を変更し、利益加算が大幅に出る

 鋼材市況については、「4月から6月は鉄鋼材料が大幅に上りそうだということで、1月から3月は原料の値上がりの先取りによる上昇がありました。しかし、4月から6月以降は一進一退ながら緩やかな下落傾向にありました。結果として、一昨年末と昨年末の鋼材価格レベルはほぼ同じ水準になりました」と鋼材価格の推移を紹介した。

 東日本大震災の影響に関しては、「子会社である中央鋼材は震災による被害として、2億51百万円を特別損失として計上しました。なお、株式等の値下がりに伴います投資有価証券の評価損は、当社グループ全体でも5百万円の損失に止まりました。一方収益面につきましては、子会社の清和鋼業については、在庫の評価方法を後入先出法から移動平均法へ変更したことに伴い利益加算が大幅に出ています。一方中央鋼材に関しては、一昨年に実施しました資産の減損処理等、賃貸不動産の賃料引下げもありまして、経費の大幅削減を実施しました。この結果多額の震災特損を計上しましたが、前年の大幅な赤字決算よりは大幅に収支が改善いたしました」と大震災の影響による特別損失を計上したことと、在庫評価方式の変更により利益が出たこと、経費削減に努めたことを紹介した。

■鋼材価格は、年間を通じると若干の値下がり

 今期の見通しについては、「今年度の経済見通しについては、ヨーロッパなどの財政不安、ソブリンリスク等による欧州の景気の後退懸念があります。また、新興国の成長鈍化、アメリカ経済の停滞等により世界経済は、昨年以上に成長鈍化となるのではないか、というように見込まれています。日本については、円高、直近は少し円安に振れているようですが、現状ではまだ円高が続くと見ています。電力価格の値上げ等もありまして、国内製造系需要については輸出の減少、製造工場の海外移転、造船業界については受注の減少等により、昨年を下回る懸念が非常に高いと見ています。一方、もう一つの重要な建設需要については、大型の開発案件は少し減少するのではないかと思われるものの、底堅い住宅着工、あるいは非住宅建設、震災関連の復興需要も見込まれることから、昨年レベルは確保できるのではないかと見ています。鋼材価格につきましては、今年も原材料価格が短期で変動する状況が続くと思われます。したがって、価格については、不安定な状況が続くと見ていますが、年間を通じますと若干の値下がりをするのではと推測します」。

■今期連結業績予想は、減収ながら、最終利益は大幅増益を見込む

 このような状況での今期12年12月期の通期連結業績予想は、売上高400億円(前期比4.8%減)、営業利益1億50百万円(同58.8%減)、経常利益4億90百万円(同26.0%減)、純利益3億10百万円(同95.0%増)を見込んでいる。

 営業利益が大幅に減益となるのは、昨年は子会社の清和鋼業の在庫評価方法を後入先出法から移動平均法へ変更したことに伴い利益加算が約4億10百万円出たことによる影響である。最終利益が大幅増益となっているのは、前期あった震災特損と減損処理で約3億円の特別損失が消えた影響である。