
売上高に関しては、今年4月の保険償還価格引き下げにより、全体の売上が約8%下落する影響を受け、減収となった。なかでも主力であるペースメーカーの価格は13.0%強の引き下げとなっており、影響が大きかった。
利益面では、利益率の高いエラ・メディカル社の製品と自社製品の売上構成比が上昇し、原価率が2.9ポイント低下したことで、粗利率も改善した。しかし、販売管理費は、原価償却費9200万円に加え、人件費増2億8600万円により、前期より4億500万円増えた。さらに、前期あった保険解約による2億2400万円の営業外収益が今期は無くなったため、大幅減益となった。
主力であるCRM(リズムディバイス)事業の売上高は第1四半期21億4600万円(前年同期比20.8%減)、第2四半期23億3500万円(同1.0%減)と第2四半期で盛り返しているが、第2四半期累計では第1四半期の落ち込みをカバーできず44億8100万円(同11.6%減)となった。しかし、ペースメーカ売上数量は前期より17.7%増と好調であった。その売上数量増の効果も飲み込んでしまう保険償還価格改定による値下げが響いている。
ガイダント社との契約が終り、エラ・メディカル社の製品が売上の中心となっていることから、粗利益率は前年通期比で5.1ポイントアップして大幅改善となった。エラ・メディカル社の製品構成比率は、ペースメーカ96%、ICD(植込み型除細動器)100%となっている。
更に、当初予定を1ヶ月前倒しして、高機能の新型ペースメーカ「リプライ」を9月から販売開始した。世界最小クラスの8cc、20g(同社旧製品10.5cc、24g)で11.6年間使用できる長寿命の製品であり、不要な心室への刺激を抑制する機能を持つ。保険償還価格133万円で最上位の値段。
CRM事業においては、エラ・メディカル社との取引開始により、通期予想では、ペースメーカの売上数量は17.9%の伸び、リズムディバイスの粗利益率が8.5%の改善が見込める程で、早くも顕著な効果が表れている。
その他の品目別の第2四半期累計の売上高を見ると、EP/アブレーション16億6000万円(同6.7%増)、外科関連17億7300万円(同7.0%減)、インターベンション12億100万円(同0.4%増)であった。
同社では、自社製品の開発、販売も行っている。自社製品の第2四半期累計の売上高は、18億6100万円で全売上の構成比率20%、粗利益は10億600万円で24%となっている。通期売上予想は、36億7200万円を見込んでいる。
自社製品のEPカテーテルの第2四半期累計売上高は7億1100万円(同11.3%増)、ABLカテーテル8億8400万円(同3.8%増)と順調に伸びている。EPカテーテルに関しては韓国・香港向けに輸出を開始している。今後、輸出先の拡大も視野に入れている。
外科関連事業に関しては、血液浄化装置・回路、人工心肺回路、人工血管などの製造、輸入、販売を行っているウベ循研(宇部興産の100%子会社)の買収へ向けて8月4日基本合意を取り付けている。年内の最終合意に向けて交渉中である。また、現在販売しているバスクテック社製の人工血管は09年3月末に販売を終了する。
通期業績予想は、売上高196億9300万円(前期比0.7%減)、経常利益5億6700万円(同4.0%減)、純利益2億1900万円(同7.1%減)と減収減益を見込む。
保険償還価格の改定という逆風にも負けず、エラ・メディカル社製品への切替、利益率の高い自社製品の開発・販売の促進、M&Aと積極策を打ち出し、成果が現れてきている。今後の市場拡大も予想されることから、同社の将来は明るいといえる。
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