日本エム・ディ・エム:自社製の骨接合材「MODE」を本格的に販売を開始
■米国では12カ月連続で前年同月比増収を達成
骨接合材の日本エム・ディ・エム<7600>(東1)の前13年3月期の決算説明会が、13日大手町サンケイプラザで開催された。
同社は、永い間ジョンソン&ジョンソン社の日本での骨接合材の独占販売権を持っていたが、12年6月30日で契約が終了したことで、自社製の骨接合材「MODE」を13年3月期より本格的に販売を開始している。
ところが、新規導入製品の一部に品質確保の為の慎重な対応を行ったことで、全国販売展開に遅れが生じたうえに、繁忙期に供給が間に合わなかったことなどが重なり、前13年3月期連結業績は、売上高81億34百万円、営業利益△1億52百万円、経常利益△3億95百万円、純利益△3億97百万円と当初予想を下回る結果となった。
前期のトピックスについて、代表取締役社長大川正男氏は以下のように語った。
「一昨年以来私共は矢継ぎ早に新製品の薬事承認を取得することができ、日本市場に新製品を投入してきました。昨年の1年間に限って申しますと、新製品7品目の薬事承認取得することができました。これにより、骨接合材では13品目出揃いましたので、ジョンソン&ジョンソン社製品の代替品として自社開発製品と既存他社製品でほぼ全体をカバーすることができました。また、米国については、12カ月連続で前年同月比増収を達成することができました。人工膝関節では前年比19%増、人工股関節で73%増となりました。この原因は、顧客基盤が拡充してきていることが挙げられます。使用ドクターの数が増加してきていまして、例えば人工股関節のメインの製品でありますオベーションを比較しますと使用ドクターの数は2倍になっています。次の話題としては、自社開発の骨接合材「MODE」の展開があります。一作年度の自社製品比率は40.9%でしたが、前期は60.7%まで上昇してきました。目標としては66.5%でしたが、品質確保の為の慎重な対応等で全国展開が遅れました影響で、計画を下回る結果となりました。原価率については、一昨年の39.8%から前期は34.9%まで下がってきました。12年4月に償還価格の引き下げにより、9%の減収要因となっています。従って、原価率の面では4%〜5%の上昇要因になっていますが、私共は自社製品に転換したということで原価率は下がっています。なお、13年3月期の下期は32.0%まで低減しています。更に、4番目のトピックスとして、中国での人工膝関節の薬事承認取得があります。初めて膝関節にするプライマリーと、人工関節を入れ替えるリビジョンという2つの承認を取得しています。今後、伊藤忠商事の力を借りながら販路を開拓していこうと思っています。」
■今期の取組は、拡販およびコスト削減
今期14年3月期連結業績予想は、売上高94億円(前期比15.6%増)、営業利益5億40百万円、経常利益4億40百万円、純利益2億円と2ケタ増収大幅増益で黒字転換を見込む。
今期の取組については、「一番大事なポイントでありますが、前年の反省を踏まえまして、まず拡販およびコスト削減を実施します。拡販では、自社製品を継続拡販していきます。製品としてはラディウスプレート、人工関節、特に人工関節の中でも人工股関節といったところが強い拡販対象となってきます。ラディウスプレートは残念ながら全国販売が遅れたりしましたが、お医者様からの評価は非常に高いものがあります。現在、ラディウスプレートを使うお医者様の数は順調に増え続けています。また、慢性疾患領域の人工関節、脊椎固定器具も拡販していきます。特に、脊椎固定器具は、前期の第4四半期に販売を開始したところ非常に好評で、売上も伸びています。更に、新製品の追加導入も考えています。現在新規調達先との話も進めていますので話がまとまり次第発表することになります。次に製造原価を低減するために内製化を進めます。また、サービスの質を落とさず大幅に経費を削減していきます。」と拡販とコスト削減についての取り組みを紹介した。
■今期は自社製品であるODEV社の骨接合材料製品、人工股関節製品の症例数は着実に伸びる
海外市場については、「北米市場は好調に伸びています。前期に顧客基盤が非常に拡大しています。今期は新規の顧客も獲得していきます。来期以降も売上の拡大が見込まれます。中国については先ほど申し上げましたように、伊藤忠商事と連携しまして、提携候補の絞り込み、販売方法等を決定していきます。」と語った。
サプライチェーンマネジメントについては、「前期の反省をしますと、繁忙期の時に在庫不足に陥ったことを踏まえまして、現在は、適正な在庫水準を保っています。これからはきちっとしたベンダーマネジメントをやっていくため、製造状況をレビューしていく必要があります。この様な重要施策を行うことによりまして、既に、繁忙期に向けての製造の見通しも立っていますし、また、医師の反応も良いということで、自社製品であるODEV社の骨接合材料製品、人工股関節製品の症例数は着実に伸びると見ています。」と現況のサプライチェーン等について説明した。
前期は、自社製品の全国展開が遅れたことに加え、繁忙期に供給不足とダブルパンチを食らった格好であるが、自社製品等でほぼカバーできる体制が整ったことから、原価率の低減が実現し、売上拡大とともに利益面での大幅増益が期待できる。
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