2010年01月25日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

日本エム・ディ・エム:卸評価損35億円を2年6ヶ月前倒しで今期に計上


■ジョンソン・エンド・ジョンソン社と新に12年6月30日まで販売契約を結ぶ

日本エム・ディ・エムホームページ 骨接合材の日本エム・ディ・エム<7600>(東1)は、1月20日にサンケイプラザで今第2四半期決算説明会を開催した。
 今第2四半期決算の説明に入る前に、代表取締役社長大川正男氏より、新しい契約について、詳しい説明が行なわれた。
 同社は、08年12月にジョンソン・エンド・ジョンソン社から日本での独占販売権を打ち切るとの通告を受けたことから、ジョンソン・エンド・ジョンソン社との協議を継続していたが、新たな販売契約を締結すると共に、そのほかの企業との新たな契約を結ぶなど動きが活発化している。
 まず、ジョンソン・エンド・ジョンソン社と新に2010年1月1日から2012年6月30日まで販売契約を結んだ。しかし、今後2年6ヶ月で現在のジョンソン・エンド・ジョンソン社の在庫を完売できないことから、在庫として残るであろう棚卸評価損35億円を2年6ヶ月前倒しで今期に計上した。一方、ジョンソン社は、販売促進のチームを組み、日本での販促活動を同社と共同で行い、その販促活動による現在取扱商品の売上は、同社の売上として計上することになった。

■大腿骨近位部骨折用髄内釘、脊椎固定器具、人工股関節が揃ったことで、営業力は更にアップ

 また、オーミック社と2010年1月1日から15年12月31日までの6年間の販売契約を結んだ。今後最も成長が見込まれる大腿骨近位部骨折用髄内釘関連商品の販売契約であることから、同社の売上拡大が予想される。オーミック社の商品は日本人向けに作られた商品で、現場のニーズにマッチしていることから評判が良い。
 次に、ジンマー社との共同販売提携契約を結んだ。契約期間は09年12月1日から14年11月30日までの5年契約となる。ジンマー社の脊椎固定器具製品の共同販売を行なう。脊椎固定器具も市場の成長が見込まれている。また、薬事権をジンマー社が継承することから譲渡益2億円が特別益として今期中に計上される見込み。
 更に、日本メディカルマテリアル社との新たなOEM契約を結んでいる。契約期間は09年12月15日から12年12月14日までの3年契約。契約内容は、国内向け人工股関節製品の製造契約(OEM契約)。そのため、現在取り扱い中の商品、医療工具の将来予想される除却損失、売却損失見積もり相当額の棚卸資産評価損2億4000万円、固定資産除却損1000万円を2年6ヶ月前倒しで計上した。
 以上のように、ジョンソン社との契約を継続し、その他のオーミック社、ジンマー社、日本メディカルマテリアル社と新たな契約を行なったことで、今後の経営戦略は更に具体化している。しかも、今後の成長が見込める、大腿骨近位部骨折用髄内釘、脊椎固定器具、人工股関節が揃ったことで、営業力は更にアップしたといえる。また、棚卸評価損を前倒しで計上したため、「不確定な事は一掃できたと思う」(大川正男社長)の言葉どおり、今後の展望も開けてきた。

■既に同社の業績改善は着々と実を結んでいる

 将来起こるであろう評価損を数年前倒しで今期計上したことから、今期10年5月期連結業績は最終利益が△23億1000万円の赤字となるが、既に同社の業績改善は着々と実を結んでいる。
 具体的な例として、前期の第1、第2四半期と今期の第1、第2四半期の売上高、営業利益を比較すると、前09年第1四半期は24億9900万円、△4800万円、前第2四半期は26億6500万円、1億2900万円。今10年第1四半期は22億8900万円、7600万円、第2四半期は24億9300万円、3億2500万円となっている。売上高を比較すると今期は減収であるが、利益面では大幅増益となっている。前期より業務の低コスト推進努力の結果が表れてきたといえる。
 また、今後の再成長のための布石は打ったことから、中期経営計画を発表している。業績目標として、11年5月期連結業績予想は、売上高109億1000万円(対10年5月期比7.8%増)、営業利益10億4000万円(同22.3%増)、経常利益8億7000万円(同42.6%増)。12年5月期は、売上高123億5000万円(同22.0%増)、営業利益12億9000万円(同51.7%増)、経常利益11億8000万円(同93.4%増)を見込んでいる。
 尚、薬事権の譲渡益2億円はまだ計上されていないが、今期中に計上する見込みである。

提供 日本インタビュ新聞 Media-IR 2010.01 |特集