2009年12月01日
うかい:11月6日に今10年3月期第2四半期連結業績予想の上方修正
■売上高が若干予想を上回り、加えて経費の削減を実践
高級和風・洋食レストラン経営のするうかい<7621>(JQ)は、26日に「GRILLうかい」で今10年3月期第2四半期決算説明会を開催した。
「GRILLうかい」は9月3日のオープンから3ヶ月経った今でも予約の電話がつながらないと苦情が寄せられるほど、人気化していて、ウィークデイはもちろん、土曜・日曜も予約で一杯という状況である。そこで、「GRILLうかい」の内覧会も兼ねての決算説明会となった。
説明会では、今期より代表取締役社長に就任した大工原正伸氏が第2四半期まで決算概要を説明した後で、今後の取り組みを詳しく説明した。
11月6日に今10年3月期第2四半期連結業績予想の上方修正と第2四半期連結業績を同時に発表しているように、連結売上高は前回予想を1800万円上回る61億7800万円(前回予想比0.3%増)、営業利益は3200万円上回る1億4200万円(同30.0%増)、経常利益は4900万円上回る5900万円(同494.7%増)、純利益は8700万円上回る△3300万円と当初予想を大幅に上回る営業・経常利益を確保した。しかし、最終利益については、日本橋への出店計画を中止したことから出店計画中止損失7700万円を含む特別損失8700万円を計上し、赤字転落となっている。
上方修正となったのは、売上高が若干予想を上回り、加えて経費の削減を実践したことによる。
しかし、前年同期と比較すると売上高8.5%減、営業利益64.3%減、経常利益80.4%減、最終損失3300万円と減収大幅減益で最終赤字転落と現況は厳しい。
■GRILLうかいは1ヶ月だが売上高2800万円(計画比7.8%増)
事業別の売上高を見ると、和食事業27億2400万円(前期比4.4%減)、洋食事業23億2600万円(同13.4%減)、文化事業11億2700万円(同7.1%減)となっている。
店舗別では、東京芝とうふ屋うかいの売上高は11億1800万円(同1.5%増)、来客数も9万5594人(同2.1%増)と前年同期比でプラスとなっている。また、GRILLうかいは1ヶ月だが売上高2800万円(計画比7.8%増)、来客数3157人と好調な出足である。しかし、旗艦店鳥山の売上高は6億3200万円(前年同期比10.2%減)、来客数7万4248人(同7.6%減)と前年同期を割り込んでいるように、その他の既存店の売上高は、落ち込んでいる。
原因は、昨年発生したリーマンショックの影響といえる。これまでの飲食事業全店の売上高推移を見ると、昨年11月がピークでその後3月まで急落してから、横ばいで推移していたが、7月に更に落ち込んで、底をつけて、8月、9月と切り返していることから、下げ止まり、回復局面にあるといえる。
文化事業は、第1四半期に引き続き「箱根ガラスの森」で『黄金時代のヴェネチアン・グラス展』、「河口湖オルゴールの森」で『河口湖オルゴールの森コンサート』の特別企画を軸に四季をからめたイベントの充実に力を入れ、更にTV・新聞等の媒体を活用した宣伝活動が功を奏し、第2四半期(7月〜9月)の売上高は前年同四半期比2.5%減まで回復、第2四半期累計(4月〜9月)では売上高11億2700万円、前年同四半期比7.1%の減収。
■事業拡大策を改め、地盤の足固めのため、改善策、中期経営計画を発表
うかいは、奥高尾の旗艦店鳥山からスタートし、店頭市場に上場する程業績を伸ばしたが、さらに事業規模を拡大するために、都心の銀座うかい亭、東京芝とうふ屋うかい、表参道うかい亭を出店し、大成功を収めた。ところが、08年9月に発生したリーマンショックにより、100年に1度と言われる不況に突入している。同社もその影響を受け、事業計画の見直しが余儀なくされた。
今期より新社長に就任している大工原氏は、次に予定されていた日本橋の店舗出店を取り止めるという決断を下したことで、これまで進めてきた事業拡大策を改め、地盤の足固めをするため、改善策と中期経営計画を発表した。
今後はコスト管理を一層徹底する方針である。まず、原価率の徹底管理、人件費の適正化、経費の見直しを実施する。一方で、既存店の営業強化策として、継続的なイベントや食を中心とした企画を開催すると共に、ホームページやDM(ダイレクトメール)などを活用した販売促進を強化する。また、通販事業として新たに「オンラインショップ」を開始する。更に、人材の育成・人材確保を実践する方針。
既に、コスト管理は実施されていて、今第2四半期の上方修正の一因となっている。また、営業強化策として、世界で注目を浴びているシェフを招いて、横浜と東京でイベントを開催し、大盛況のうちに閉幕を迎えている。一方、顧客の要望に応えるために、とうふ、厚揚げのオンラインショップを立ち上げるなど、計画は次々と実行に移されている。
これらのことを実行することで、既存店の売上回復を図り、3年後の12年3月期には、売上高131億9000万円、営業利益6億7000万円(対売上高比率5.0%)、有利子負債80億5000万円(対売上高比率61.0%)の達成を目指す。
今通期業績予想については、9月4日の修正通り、売上高123億8000万円(前期比6.2%減)、営業利益3億3000万円(同45.5%減)、経常利益1億4000万円(同67.9%減)、純利益0(同100.0%減)を見込んでいる。
事業別売上高予想は、和食事業54億2000万円(前期比3.8%減)、洋食事業47億6000万円(同9.9%減)、そのうちのGRILLうかいは7ヶ月で1億6000万円、今期より開始するオンラインショップ1500万円、文化事業21億8500万円(同4.1%減)を見込んでいる。
大工原社長は、うかいで育ってきた人で、前社長大久保氏の信頼は厚く、期待通りこの難局の中でも次々と決断を下し、改善策を実行していることが窺える。