■グリーンITラックは低価格品投入で攻勢をかける
日本フォームサービス<7869>(JQ)の山下岳英社長はこのほど行った日本インタビュ新聞社との会見で、「09年9月期の業績予想達成をあきらめていない。グリーンITラックは低価格品も投入して販売を強化する」と語った。
日本フォームサービスの09年9月期第3四半期(08年10月―09年6月)連結業績は売上高が前年同期比17.2%減の16億3700万円、営業損益は2400万円の赤字(前年同期は800万円の黒字)、経常損益は1200万円の赤字(同2300万円の黒字)、最終損益は1000万円の赤字(同200万円の黒字)だった。函物及び機械設備関連事業では、ラック関連製品の大型案件の出荷が4Qにずれ込み、またアーム関連製品も設備投資の抑制により、予想以上の売上減となったことから、売上は12億2900万円(前年同期比20.2%減)、営業利益は1700万円となった。
介護関連事業では、通所介護が認知度の定着により前年同期同様の収益を確保したが、それ以外のサービス(介護支援・訪問介護・訪問入浴等)については、十分な顧客を確保できず、売上は4億700万円(前年同期比6.7%減)、営業損益は3300万円の赤字となった。
09年9月期通期の業績予想は、売上高28億2500万円(前年同期比4.7%増)、営業利益1億2100万円(同33.7%増)、経常利益1億4100万円(同27.8%増)、純利益6200万円(同19.4%増)で、予想を修正していない。
山下岳英社長は「当初の業績予想達成をあきらめていない。8、9月に大型物件が入っているので、製造体制に問題がなければ、納期に間に合わせ業績を達成させたい」としている。3月末に官公庁関係など駆け込み発注的な受注はあったが、4−6月は民間設備投資も少なく、受注は低調だった。7−9月は大型物件が見込め、業績の復調を見込んでいる。
■データセンターの電力使用量を25%削減
今後の戦略商品はグリーンITラック。データセンターの床下に流れている冷風を吸い上げてラック内のサーバーを冷やす。データセンターで使う冷房は、部屋全体で3分の2、床下で3分の1といわれているが、この床下の冷風を有効利用することで、電力使用量の削減を図るもので、「データセンターの電力使用量を25%削減する」画期的な商品。このグリーンITラックは送風のためのファンがいくつもついていることや電算室の構造の違いによって特注品が多いことなどから、1台当り70−80万円となっているが、「近く40万円を切ってコストダウンを実現した試作品ができる」(山下社長)として、一段とコストを下げた新商品を軸に攻勢をかける。
今後期待される鍵管理システムの「フォービス・トラカ」は、英国トラカ社と提携したシステム。「大量の鍵を管理する」、「いつ・誰が・どの鍵を持ち出したか詳細な履歴を残したい」、「鍵の紛失・返却忘れを素早く察知したい」など、管理者・利用者の業務運用サポートするシステム。最近情報漏えい問題が多発しているUSBメモリの管理としても効果的に利用できるが、不動産会社が賃貸管理に使用するケースなども出て、用途が拡大しており、今後大量の需要も期待できるとしている。
アーム関連製品では、モニター用としてディスプレイ設置用のアーム、筐体について、補正予算も絡んで市町村などからの引き合いが多くなってきており、特に来期には1台3万円前後の値頃品を中心に販売を強化、量産品にも力を入れ、業績を上げていく方針。
このほか、荷物の落下による人身被害・資産破損のリスクを軽減するパレットラック免震装置「免震スライダー」。長周期地震波動「AC156波減衰試験」に合格した特許取得製品で、工場などで、貴重な金型などの設備保管に免震スラーダーを使用することで、地震によるパレットラックからの落下により、金型が破損するリスクを軽減させる。既設ラック(搭載物が載っている状態)へも装着可能で、販売を強化する。
介護事業は「今後の老齢化を考えると有望な事業」(山下社長)としているが、施設事業に比べ在宅事業は採算に乗りにくいなどの状況もあり、「サービスにより利益の取れる分野を強化する」などきめ細かな対策を実施、来期には収益トントンを実現する方針。また中期的には地域戦略も重視した展開を行っていく考え。
同社はITラックの開発で先行し、「人がやっていない商品を開発していく」ことで先駆的な商品を開発してきたが、直近は量産品も強化、コストの安い商品でも収益を上げていくとの方針を取ってきてり、グリーンITラックやディスプレイ設置用のアームの展開が注目されよう。