
減益の要因は、売上高が8億200万円も減少したうえに、原価率が72.1%と3.3ポイントも上がったことである。したがって、営業利益は4億1500万円(同54.2%減)と半減し、経常・最終利益ともに減となった。
同社は、塩ビ製のパイプ・継手・マス等の管工機材と介護用品の製造・販売事業を展開する一方で、原料となる成形材の販売も行っている。特に介護用品は、介護に関する情報交換や勉強会を行う安寿会を設立し、全国規模で販売し、売上を伸ばしている。
セグメント別の市場状況を見ると、管工機材(設備、下水およびその他)に関しては、パイプ、継手共に原材料の高騰により価格改定の交渉を行うが、価格転嫁が進まず難航している。マス・マンホールは建築基準改正法の影響により、新設住宅着工数の回復の遅れが影響している上に、不動産不況が重なり、需要が減少している。
ライフサポート(介護・福祉、環境、その他生活用品)は、高齢化社会が進んでいることから、要介護認定者も増加していて市場規模は拡大している。そのような状況で、原料価格の高騰のため10月からの価格改定を発表したところ、価格が上がる前に購入するという先行需要が発生し、9月の売上が伸びた。また、片手でたためるシャワーベンチ「楽おり」が好評で、発売以来順調に売上を伸ばしている。
成形材部門(エラストマーCP、その他成形材、新規事業)は、ユーザーの在庫調整の影響で出荷が減少している。エラストマー市場は、国内はほぼ平年並みであるが、海外向けの需要が低迷している。新規分野である医療・電材向けは堅調。
セグメント別売上高は、管工機材85億600万円(同12.5%減)、ライフサポート39億7700万円(同13.8%増)、成形材18億2900万円(同3.5%減)とライフサポートの健闘が目立つ。
キャッシュ・フローを見ると、営業キャッシュ・フローは売上債権の減少が進み、21億3500万円、投資キャッシュ・フローは関係会社預け金の払戻による収入が10億円あり、支出を上回り5億7700万円、財務キャッシュ・フローは配当金の支払いで△3億300万円となり、現金及び現金同等物の第2四半期末残高は95億6300万円と前期末比24億900万円増。また、自己資本比率は77.6%と0.7ポイント改善し、超健全といえる。
今期連結業績予想は、売上高320億円(前期比0.6%増)、経常利益12億円(同41.1%減)、純利益6億円(同45.8%減)を見込んでいる。配当は、14円配当(中間・期末各7円)。
今期は、原油急騰による原料高と改正建築基準法の影響による工事の停滞というダブルパンチにより苦しめられている。しかし、利益が半減しても自己資本比率は改善しているように、事業運営は健全であり、資産株として安心して持てる高配当利回り株。しかも、ここに来て原油価格の急落、円の急騰と同社にとっては追風が吹いてきている。