ＪＳＰは今第２四半期連結と今１１年３月期通期連結業績の上方修正と増配を発表

■今第２四半期連結最終利益は２７億９８００万円と対前年同期比９５．０％増

　樹脂発泡製品製造の専門大手であるＪＳＰ＜７９４２＞（東１）は、１０月２８日に今期第２四半期連結業績の発表と共に今１１年３月期通期連結業績の上方修正と今期末の大幅増配を発表した。
　今第２四半期連結業績は、売上高４５７億６４００万円（前年同期比１７．９％増）、営業利益３７億９７００万円（同７５．４％増）、経常利益３７億７０００万円（同８３．０％増）、純利益２７億９８００万円（同９５．０％増）と２ケタ増収大幅増益となった。
　同日に開催された決算説明会で、代表取締役社長井上六郎氏は、「第２四半期間の当社の商売は平穏だったといえます。石油はバーレル当り７０ドル、１ドル９０円で推移しました。現在は１ドル８０円台ですが、タイムラグがあるので影響はありませんでした。そのため営業利益は史上最高で、会社としては健闘したといえます」と第２四半期を振り返った。
　国内の売上高は対前年同期比で５％増であったが、海外は５０％増で、その中でも特に米国は倍増と海外の業績が大幅に改善した。また、原料の価格が安定していたことで、過度な価格競争がなくなったことも業績に好影響を与えた。

■産業用包材の発泡ポリエチレンシート「ミラマット」売上を伸ばす

　事業別の状況は、押出事業では、産業用包材の発泡ポリエチレンシート「ミラマット」は、主力である永久帯電防止機能製品の需要が好調に推移したことと、猛暑による保冷用途での需要もあり、売上を伸ばした。一方で、食品用包材の発泡ポリスチレンシート「スチレンペーパー」は伸び悩んだ。広告用ディスプレー材や折材の発泡ポリスチレンシート「ミラボード」は、ほぼ前年同四半期並み。また、発泡ポリスチレン押出ボードの住宅用断熱材「ミラフォーム」は、エコ住宅向け補助金の後押しもあり好調。トラックの積載品を保護するための緩衝材や家電・自動車用部品の通い函に使用されている発泡ポリエチレン押出ボードの「ミラプランク」は、需要増を受け増加。結果、売上高は１７１億１９００万円、営業利益１３億１００万円となった。

■「ピーブロック」は、中国を中心としたアジア各地域の旺盛な需要等で売上・利益ともに増加

　ビーズ事業は、発泡ポリプロピレン「ピーブロック」は、自動車部品のほか、ＩＴ製品輸送用通い函、家電製品用緩衝材、競技用グラウンド基礎緩衝材等に用いられており、内外の各地域で製造販売を行っている。中国を中心としたアジア各地域の旺盛な需要や、アメリカ・ヨーロッパにおける家電用包装材・自動車資材の需要が回復基調であることから、売上・利益ともに増加した。また、発泡性ポリスチレン「スチロダイア」は、魚箱用途で一部に不漁の影響を受けたものの、家電包材用途での猛暑によるエアコン・冷蔵庫等の需要増もあり、ほぼ前年同四半期並みであった。結果、売上高は２５０億１１００万円、営業利益２５億８９００万円。
　その他、主に新規事業の案件であるが、ユニットバス天井材「スーパーブロー」は、需要が回復しつつあり、販売数量が増加した。自動車エアコン用ダクトに使用されているハイブリッド成形品「スーパーフォーム」は、需要減により販売数量・売上ともに減少。また、一般包材の売上は増加した。結果、売上高は３６億３２００万円、営業損失は４３００万円。
　地域別の売上高、営業利益は、日本３２７億円（前年同期２９８億１０００万円）、１６億９０００万円（同１７億円）、アメリカ５１億円（同３０億２２００万円）、７億５０００万円（同△２億７３００万円）、ヨーロッパ３４億円（同２９億４３００万円）、３億円（同１億円）、アジア４５億円（同３０億３６００万円、１０億円（同５億２５００万円）と海外の回復が顕著となっている。

■３月期末の配当を当初予想の７円から１５円に上方修正

　海外の回復が計画を上回ったことから、今通期連結業績予想の上方修正となった。
　売上高は前回同様９００億円（前期比１０．３％増）、営業利益は前回予想を７億円上回る６７億円（同１７．９％増）、経常利益は６億円上回る６７億円（同２０．９％増）、純利益は３億円上回る４３億円（同３４．０％増）と増収増益を見込む。
　また、業績が順調に推移していることから、３月期末の配当を当初予想の７円から１５円に上方修正することも発表した。そのため、中間期の増配と併せ年間３０円の配当となり、前期比１９円の増配となる。
　決算発表翌日の２９日の株価は、６１円高の９２８円と急反発したが、一株当り純資産が１４４４円超であることから、株価は依然として割安といえる。今回の大幅増配は、現在の株安を考慮して、株主へ配慮したものと思われる。

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