2Qの連結業績は、売上高が442億1500万円(前年同期比23.5%減)、営業損益は11億1100万円の赤字(前年同期は32億8800万円の黒字)、経常損益は8億7300万円の赤字(同33億9400万円の黒字)、最終損益は40億1900万円の赤字(同16億7000万円の黒字)だった。人件費を始めとしたあらゆるコスト削減に努めたが、売上高の減少、価格競争の激化などによって売上総利益率が低下し、営業損益は前年同期比43億9900万円悪化した。最終損益は、業績の悪化に伴って繰延税金資産を取り崩し、法人税等調整額を31億6300万円計上したことから同56億8900万円悪化した。
人件費を11億5000万円、運賃・保管を5億円、販売費を8億5000万円圧縮するなどで、販売管理費を27億9600万円減らして149億4200万円とした。しかし、売上減に伴って49億4500万円、生産減に伴う工場粗利減、鋼材値上がりなど原価利率悪化、売上構成の変化など収益悪化要因で22億5000万円のマイナス影響から、総利益は71億9700万円減少して138億3000万円となり、営業損益は大幅な赤字となった。
オフィス関連事業は、売上高が257億5500万円(前年同期比―23.4%)、営業利益5800万円(−97.5%)で黒字を維持した。設備機器関連事業は、売上高160億3000万円(−24.2%)、営業損失12億4200万円(前年同期は9億800万円の利益)と赤字に転落。家庭用品関連事業は、売上高19億1100万円(−25.1%)、営業利益3200万円(+885.1%)と連続黒字。保守サービス関連事業は、売上高5億1700万円(+3.9%)、営業利益3900万円(−28.3%)だった。
イトーキは今期通期の業績見通しを、5月、7月と2回の下方修正を発表し、売上高830億円(前期比―21.9%)、営業損益33億円(前期は19億4500万円の黒字)、経常損益30億円の赤字(同24億2300万円の黒字)、最終損益63億円の赤字(同7億9800万円の黒字)としている。営業利益段階では、前期に比べ売上減で80億3300万円の減益、収益悪化で25億400万円の減益を見込み、販売費減を53億2800億円見込むものの、52億4500万円悪化し、33億円の赤字を見込む。
■設備投資はピークアウト、千葉工場稼動で建材事業を第2の柱へ
中期経営計画の発表が注目されるが、松井正社長は「損益分岐点売上高は設備投資などを集中したこともあり、前期で1020億円まで上昇したが、今期は経費の緊急的な圧縮策を実施していることから930億円に下がり、来期は900億円以下にすることは可能。設備投資が峠を越し、今期で減価償却費もピークアウトする」としている。
設備投資は、概ね年間15億―20億円規模で推移することが多かったが、05年から滋賀ロジステックセンター建設、オフィス製品内作化対応設備、建材工場建設など大型投資が相次ぎ、設備投資金額は05年42億2000万円、06年20億3200万円、07年48億2100万円、08年71億4400万円と推移したが、今期、来期はそれぞれ20億円規模に低下する見通し。
減価償却費は05年17億4000万円、06年21億8100万円、07年24億700万円、08年28億6200万円の推移で、今期は37億円と膨らむが、来期は32億円とピークアウトする見通し。
09年4−9月期のキャッシュフローは、営業キャッシュフローが20億5700万円のキャッシュイン、投資キャッシュフローでは千葉工場の設備代金の支払い25億円を含め、有形固定資産の取得による支出34億3600万円があり、41億4700万円のキャッシュアウトとなったが、「千葉工場関連の支払いは全て完了したので、下期に大きなキャッシュアウトはない」見込み。
経営環境が大きく変化したことから、現中期経営計画は凍結、今年12月に新中期経営計画(2010年〜2012年)を発表する。イトーキの今後の戦略として、戦略的オフィス投資に意欲的な企業をターゲットにオフィス移転・改装に伴うトータルニーズに対応し、ソリューション型営業活動の積極展開、オフス家具サプライヤーからの脱皮を目指す。オフィス関連事業はIT,クリエーション、セキュリティ、エコオフィス対応などで積極展開を図る。設備機器関連事業では、建材で千葉工場が本格化。最重要市場の首都圏に立地、一貫性ラインの構築による徹底した少人数化を実現、板金・アルミ部材やガラスの内製化、脱溶剤の粉体塗装設備を導入し、VOC対策を施した製品を提供。TPS(トヨタ生産方式)を生産設備の企画段階から取り入れ、徹底したムダとりを推進、高効率システムを構築した。「建材は千葉工場の本格操業を契機に市場競争力を強化」(松井正社長)、オフィス関連事業に次ぐ第2の柱に育成する方針。