2010年06月01日
決算情報 Media-IR 日本インタビュ新聞社

第一実業は前10年3月期決算説明会を実施、グローバル展開を推進


■前期連結業績は大幅減収減益、リーマンショックのため国内外共に売上高が低迷

第一実業ホームページ 機械商社の第一実業<8059>(東1)は、25日に兜町平和ビルで、前10年3月期決算説明会を実施した。
 前期連結業績は13日に発表している。売上高850億5800万円(09年3月期比33.2%減)、営業利益9億4100万円(同67.4%減)、経常利益12億4100万円(同59.8%減)、純利益3億6300万円(同73.8%減)と大幅減収減益であった。
 前期決算より、第一実業(広州)貿易有限公司とPT.DJK INDONESIAを連結対象に加えている。
 前期は、リーマンショックのため、企業の設備投資の抑制に加え、深刻な雇用情勢や個人消費の低迷などの影響を受けた。同社は世界4軸体勢でグローバル展開しているが、世界的に不況であったことから、国内外共に売上高が低迷。
 海外売上高(連結)は、中国74億円(09年3月期比49.7%減)、東南アジア118億円(同52.8%減)、米国14億円(同61.2%減)、欧州17億円(同34.7%減)、その他11億円(同47.7%減)とどの国も大幅な減収となった。
 一方、財務面は、流動負債321億5500万円(同22.6%減)、固定負債8億5900万円(同2.0%減)、純資産220億8200万円(同1.7%増)となり、自己資本比率は39.4%と6ポイント改善し、財務面の健全化が進んでいる。有利子負債は55億円と1億円減少。

■新中期経営計画ACT2012を策定、13回の会議を経て具体的数値目標を設定

 前期は、中期経営計画GET2009の最終年度であった。GET2009の数値目標は売上高1700億円、営業利益46億円、当期純利益27億円だが、07年の初年度に営業利益、純利益の目標値を超える等上々のスタートであったが、続く08年度、09年度はリーマンショックの影響で、大幅に目標数値を下回る結果となった。
 今回の新中期経営計画ACT2012を策定するにあたり、営業、管理部から各20名出席し、13回の会議を経て具体的数値目標を設定している。最終年度にあたる12年度連結業績予想は、売上高1270億円(対09年度比419億4200万円増)、営業利益51億円(同41億5900万円増)、経常利益51億円(同38億5900万円増)、純利益29億円(同25億3700万円増)と大幅な増収増益を計画している。
 単体セグメント別12年度の売上目標数値と09年度の実績と比較すると、エネルギー・ガス・石油・化学・エンジニアリング関連259億円(09年度比18億円減)、エレクトロニクス関連298億円(同136億円増)、プラスチックス・セラミックス関連171億円(同81億円増)、自動車・鉄鋼・金属関連131億円(同49億円増)、その他の業種251億円(同89億円増)を見込んでいる。全体の売上高は1110億円(同43.6%増)を予想している。

■中近東、アフリカ、中央アジア、ロシアなどの新興地域へも進出

 そのため、事業収益基盤の強化と拡大、連結経営の高度化・効率化の推進を基本方針としている。
 事業収益基盤の強化と拡大を実現するためには、グローバル展開の推進、新規成長分野への取組の強化、コア・ビジネスの徹底強化と具体策を出している。
 連結経営の高度化・効率化の推進では、財務体質の強化、組織改革及び人財の育成、経営システムの整備・強化を行なうとしている。
 まず、グローバル展開の推進では、これまでの世界4軸体制の深耕を進める一方で、中近東、アフリカ、中央アジア、ロシアなどの新興地域へも進出し、世界5軸・6軸体制へ展開する方針。既に、カタールのドーハに事務所を開設しビジネス獲得を狙っている。
 また、石油・化学、紙パルプ、プラスチックス、エレクトロニクス、医療等、各分野におけるビジネスのグローバル化を促進、現地の企業との取引拡大を積極的に行なうとしている。
 新規成長分野としては、環境・新エネルギー・水資源事業をターゲットに積極的に投資していく方針。二次電池関連事業であるリチウムイオン電池等については同社の粉体技術を活かし、ビジネスチャンスを拡大できると期待している。また、医療関連商材も積極的に開拓する。一方で、M&A、投資による収益基盤の強化も視野に入れている。
 コア・ビジネスの強化策としては、これまでの現場の力を活かし、主要取引先との関係を強化し、深耕するとしている。更には、取引先の研究開発部門への提案営業を行なったり、投資を行なったりしていく方針。また、輸出・輸入商材の種類を拡大すると共に、多国間取引も拡大していく計画。

■前期後半より受注が回復傾向にあるため、今期の業績回復は期待できる

 財務体質の強化策として、資金調達の多様化、自己資本比率・ROE(自己資本利益率)・ROA(総資産利益率)の向上を推進するとしている。また、有利子負債の有効活用の実行と債権の回収リスクの管理を徹底するとしている。
 組織改革と人財の育成については、人は財産であり、けん引役となる人材を育てることを重要課題とし、グループ内組織の再編成、人材の確保と育成、経営への参画を推進する一方で、ダイナミックな人材の流動化を実施する計画。
 人材を育てると共に、経営システムの整備・強化も実施し、ITインフラの整備・強化を行い、現在注目されているクラウドコンピュータシステム利用についての研究も継続していくとしている。
 09年3月期末の受注残高は404億円、10年3月期の受注高は705億円となり、10年3月期の売上高は773億円であったことか。10年3月期の受注残高は337億円となり、今期は前期より更に厳しい状況でのスタートとなっている。しかし、前期後半より受注が回復傾向にあるため、今期の業績回復は期待できるとしている。
 今期11年3月期連結業績は、売上高1020億円(前期比19.9%増)、営業利益33億円(同250.3%増)、経常利益33億円(同165.7%増)、純利益19億円(同423.0%増)と2ケタ増収大幅増益を見込んでいる。