2010年05月06日
神鋼商事の前10年3月期連結業績は減収、営業・経常共に減益
■需要減少による取扱量の減少、輸入鉄鋼原料や鋼材価格の下落が要因
神鋼商事<8075>(東1)は、4月28日に前10年3月期連結業績を発表し、同日鉄鋼会館で決算説明会を開催した。
前10年3月期連結業績は、売上高6894億300万円(09年3月期比33.3%減)、営業利益57億4800万円(同31.4%減)、経常利益42億9000万円(同37.7%減)、純利益29億800万円(同7.4%増)と減収、営業・経常共に減益であったが、最終利益は法人税が減少したことから増益となった。
大幅減収の要因は、需要減少による取扱量の減少、輸入鉄鋼原料や鋼材価格の下落が挙げられる。
営業・経常利益の減益については、人件費や活動経費節減に努めたものの、需要減少による取扱量の減少、製品価格の下落の影響は避けられなかったとしている。
4半期毎の売上高の推移を見ると、第1四半期1609億円、第2四半期1746億円、第3四半期1753億円、第4四半期1786億円と徐々に売上高は伸びてきている。
セグメント別の売上高、営業利益は、鉄鋼2145億円(同29.5%減)、19億円(同56.9%減)、鉄鋼原料2349億円(同42.8%減)、営業利益21億円(同6.9%減)、非鉄金属1411億円(同21.3%減)、営業利益6億円(09年3月期△4億円)、機械・情報579億円(同30.9%減)、4億円(同53.4%減)、溶剤407億円(同27.1%減)、7億円(同41.8%減)となっている。
キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フロー72億9200万円、投資キャッシュ・フロー9億5800万円、財務キャッシュ・フロー△26億5000万円となり、現金金及び現金同等物は163億9500万円(同58億3600万円増)となっている。外部有利子負債は445億円(同24億円減)。
■今期の重点施策として、グローバルビジネスの加速化を計画
前期はリーマンショックの影響を受け、需要規模が縮小したが、設備投資を抑制していた企業も最悪期を脱し、設備投資の回復もみられる。その様な状況下、同社では、中国、インドをはじめとする新興国の景気拡大により、外需を中心に穏やかな回復傾向が続くと見ている。
そこで、今期の重点施策として、3大拠点(米国、タイ、中国)の充実と体質強化、ドバイ事務所の開設(7月1日予定)、ホーチミン事務所、ジャカルタ事務所、ニューデリー事務所の現地法人化推進としたグローバルビジネスの加速化を計画している。更に、仲介ビジネスに加え、事業投資型のビジネスを拡大する。また、現地採用のスタッフを含めた人材育成を行い全体のレベルアップを図ることで、経営基盤の充実を実現する。
今11年3月期連結業績予想は、売上高8050億円(前期比16.8%増)、営業利益64億円(同11.3%増)、経常利益45億円(同4.9%増)、純利益26億円(同10.6%減)を見込む。
5月5日の日経新聞によると、親会社である神戸製鋼所は「インド、ロシア、豪州で、製鉄整備を建設する方針を固めた」とのことであるから、同社のグローバルビジネスは更に一層加速するものと思われる。原料価格が高騰する中での活路を見出すために既に動き出している。
尚、6月29日に新社長として村瀬敬一氏が就任する予定。森脇亞人現社長は相談役に就任する。