■長・短期借入金の全額返済で有利子負債ゼロ
創業76年と歴史のある繊維専門商社堀田丸正<8105>(東2)の今10年3月期連結業績予想は、売上高100億円(前期比24.3%減)、営業利益5800万円(前期△6800万円)、経常利益5500万円(同△1600万円)、純利益4000万円(前期比85.2%減)と大幅減収ながら、営業・経常利益は大幅増益となる見込み。但し、最終利益については、大幅減益を見込むが、前期は子会社の売却益があった影響。
同社は、日本を代表する和装事業を中核とする企業。しかし、高級品である着物の売れ行きが伸び悩んでいることから、事業の立て直しを急いでいる。
現在の同社グループを見ると、和装・洋装・寝装等を中心に年商約70億円の卸事業を行っている堀田丸正を始めとして、百貨店向けの卸を行っている年商約10億円のタケオニシダジャパンに加え、今期ヤマノホールディングスより買収した婦人・キッズ向けの衣料卸を行っている年商約20億円の丸福商事からなっている。そしてアパレル中心の小売店6店舗をエマイユから譲受け、既存の小売店舗と併せて14店舗となり、首都圏を中心に長野、徳島などの地方にも出店している。
今期は、事業を立て直すために、人件費と販売管理費を10%削減する一方で、売上を伸ばしているアパレル事業に経営資源を集中している。
売上の上期、下期の比率は4対6。下期には毎年2月に帝国ホテルで同社主催の着物・宝飾等の販売会を開催している。北は東北、西は京都までの顧客が集う大規模な販売会となる。出品される着物は、日本を代表する有名な作家の作品がずらりと並ぶ。
一方、財務面での改善は進んでいて、前期に長・短期借入金の全額を返済していることから、有利子負債はゼロ。その結果、9年3月期末の自己資本比率は20.6ポイントも一挙に改善して60.5%となっている。また、9年3月期末の現金及び現金同等物の残高は3億1300万円。「現在のところ無借金であり、今期中に支払わなければないような案件も無いことから、手元資金としては十分です。」(IR担当者)とのこと。利益剰余金は15億1300万円。
今期配当予想は3円であるが、現在の株価は50円台(24日終値55円)で推移している。配当利回り5.45%(株価55円で算出)と高配当利回りであることから株価の割安感が台頭する。
株価が低迷している一因には、前期に監査法人を隆盛監査法人からパシフィック監査法人へ、更に現在のビーエー東京監査法人へと変更したことが挙げられる。
隆盛監査法人は、昨年10月27日に不正会計疑惑でジャスダック証券取引所を上場廃止となった工作機械メーカーのプロデュースの監査法人となっていたため、昨年12月17日に同社の監査を継続することが難しくなり、同社との監査契約を解除している。その後、隆盛監査法人の公認会計士がパシフィック監査法人に移籍していたため、パシフィック監査法人を一時会計監査人として選任した。
この様に、監査法人を変更した原因は同社にあるのではなく、不正会計疑惑をもたれたプロデュースの会計監査法人を行っていた隆盛監査法人に原因があったことが判明している。
前期はリーマンショック、監査法人の変更とマイナス要因が多かったが、一方で事業基盤の強化のために、売上拡大が見込めるアパレル事業に経営資源を投入している。今期は前期の努力による成果が予想される。