■4月以降風向きが変わる
戸建分譲事業を展開しているタクトホーム<8915>(東1)の前09年5月期業績は、14日に発表されているように売上高582億6900万円(前々期比10.2%減)、営業利益1億8100万円(同92.0%減)、経常利益△3700万円、純利益△2億1500万円と2ケタ減収、大幅減益で赤字転落であった。
また、同日発表されている今期業績予想は、売上高400億円(前期比31.4%減)、営業利益13億5000万円(同643.4%増)、経常利益12億円、純利益6億8500万円と大幅減収ながら、大幅増益で黒字転換を予想している。果たして、今期は予想通りに回復するのだろうかという思いで、同社を訪問した。
今期の同社の販売戸数は1400戸を予想している。上期650戸、下期750戸販売する計画。「1、2、3月の土地の仕入れは活況ではなかったので、価格は収まっています。」(専務取締役営業本部長小寺一裕氏)と用地を取得するには良い環境。
同社の提供する戸建住宅の平均販売価格は2800万円程度であるが、第1四半期に入り、3100万円の物件も売れていて、「スタートダッシュは効いています。用地を仕入れて2、3ヶ月で商品化しますが、現在は建築途中で契約が決まったりしています。」(同)と一時の値引き販売は姿を消している。
「昨年の12月から今年の3月までが最悪期で、販売物件が豊富であったことから、お客様は余裕を持って購入できる状況で、値引き要求が当たり前。中には大幅な値引きを要請するお客もいました。」(同)とのこと。同社では、不採算物件を次年度に持ち越さないために、原価販売も行ったそうである。
ところが「4月から環境が変わり販売は順調でして、5月、6月も引続き好調でした。しかし、7月、8月は夏休みの時期なので、販売が落ち込むと予想しています。それで、この時期に今期分の用地の仕入れを行います。少なくとも10月までは終了し、11月からは来期分の用地の取得に入ります。」(同)と4月以降風向きが変わってきている。
■同業他社と比較すると販売方法に特徴
前期末のキャッシュ・フローを見ると、営業キャッシュ・フロー135億6500万円、投資キャッシュ・フロー△10億500万円、財務キャッシュ・フロー△83億4400万円と現金及び現金同等物の残高は08年5月期末比42億1400万円増の46億4900万円と手元資金は潤沢になっている。
「どんなに厳しい時でも金融機関からの借り入れを断られたことはありません。今も案件毎に融資してもらっています。」(同)と金融機関との関係は良好。また、手元資金も厚みを増していることから、資金繰りに不安は無い。
同社の営業エリアは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県と愛知県並びに宮城県。用地を仕入れてから住宅を建設して販売するまでを4ヶ月で完了する年3回転体制を整えているが、前期の影響もありまだ遅れている。しかし、最悪でも2回転は上回っているそうだ。
同業他社と比べると販売方法に特徴がある。「販売するときは90%近くを地場の不動産に販売してもらいます。その代わり、企画段階から参加してもらい、その土地にあった商品作りをするために、販売もスムーズにいきます。」(同)と地元の不動産と密接な関係を築き、販売と情報収集に活かしている。