2012年03月28日
【資本提携経緯及び今後の事業展開に関する説明会】
陽光都市開発:資本提携経緯及び今後の事業展開に関する説明会を開催
■大規模な事業構造のリストラクチャリングに取り組み、収益構造を転換
陽光都市開発<8946>(JQS)は26日、資本提携経緯及び今後の事業展開に関する説明会を開催した。
代表取締役社長田中忍氏は、次のように語った。「当社は昨年度大規模な事業構造のリストラクチャリングに取り組み、収益構造を転換させてまいりました。その過程で、資本増強並びに、今後のビジネス戦略の基本構想にも着手いたしまして、企業展開の礎も築いてまいりました。本日は、その背景並びに内容等についてご説明します。まずは、事業構造の変化、資本提携の背景についてご説明申し上げます。当社は、従来の主力事業でありました投資用マンションの開発・販売事業から安定収益が見込める不動産管理事業を基幹事業に据えて、事業構造の転換を図ってきました。投資用マンション及び過年度に取得しました土地の売却活動を進めると共に、事業縮小に伴う人件費、一般管理費、コスト削減、有利子負債の低減等を進めました。この不動産管理事業は、主に従来販売を行なっておりました投資用マンションのグリフィンシリーズの賃貸管理を行っているもので管理戸数は、他社物件も含めまして約5,000戸の管理を行っています。入居者からの賃料をオーナー様に送金する業務、入居者が退居する際のリフォーム、更新する際のサポート等の手数料がその収益源であるため、毎月安定した収益が獲得できる事業となっています。また、リフォームに関しましては、毎月100件近く、入退居がありますので、その際に発生するリフォームの収益も含めて安定収益事業となっています。不動産賃貸事業につきましては、現在保有しております駐車場、店舗の運営とか、サブリースとかが主な事業となっておりまして、こちらも毎月安定した収益が獲得でき、年間3,500万円以上が事業収益となっています。仲介事業につきましては、売買仲介、賃貸仲介が主な事業でございますが、売買仲介につきましてはグリフィンシリーズのオーナー様が資産を売却する際に、仲介会社としてサポートを行っています。大体毎月4、5件の売買仲介を行っています。賃貸仲介は、先程の説明の通り、毎月100件前後、入退居が発生しますので、入居者の斡旋業務から事業が発生しています。これらの事業は全て当初の安定したビジネスモデルから発生するものであり、安定したストックビジネスだと考えています。これらの事業展開によりまして平成24年度は、安定的に黒字収支が計上できる見通しでございます」と収益構造を転換し、今期黒字化を見込むことを紹介した。
平成24年12月期の連結業績予想は、売上高15億65百万円(前期比63.3%減)、営業利益91百万円(前期△2億94百万円)、経常利益34百万円(同△4億44百万円)、純利益32百万円(同△4億86百万円)を見込んでいる。
■思源国際発展有限公司を引受先とする第三者割当増資を実施
「今期は、安定収益からコストが賄える体制まで持ち直しています。また財務面におきましても、借入金の返済に伴いまして、毎月金融機関様へ返済する約定返済もだいぶ減りましたので、キャッシュ・フロー的にも安定した財政が確立できるようになっています。しかし、今後、更なる成長、更なる収益基盤の構築、また新規ビジネスを模索するにあたりまして、当社所有不動産の売却により資金回収を図ったり、金融コスト削減により負担が大幅に減ったりしたものの、在庫不動産・土地の売却により、取得原価が高かったものを売却したことにより、相当額の売却損を計上しています。平成23年の第3四半期までには、自己資本が急激に低下しまして、債務超過の可能性があるまでに財務バランスが脆弱になった経緯がございます。このため、大幅に減少しました純資産を回復させて、財務基盤を強化して、債務超過のリスクを回避するためにフィンテックグループと第三者割当増資について検討を進めてまいりました。今回、上海において、同様の不動産管理仲介事業を展開し、かつ、日本と日常的なかかわりがある徳威グループをご紹介いただき、平成23年12月19日に徳威グループの一社である思源国際発展有限公司を引受先とする第三者割当増資を実施いたしまして、約1億5,000万円の調達を完了しています。これにより資本強化を図ると共に、徳威グループ、フィンテックグループ、そして当社の3社で資本提携契約を締結しまして、資本関係を強めることで、今後の事業パートナーとしての体制を確立しております。この増資により、債務超過の懸念が解消しまして自己資本比率は、前第3四半期の時はほぼゼロでしたが、前期末にはプラスという形で回復させています。また、この増資の資金によって、元々昨年の5月にリストラクチャリングのコストとして資金調達した際の駐車場の資産を担保としておりましたけれど、買い戻しも実現しております。この駐車場資産並びに店舗も含めますと創出される利益は先ほど述べました通り、3,500万円ほど利益として計上できる上に、キャッシュ・フローベースとなりますと4,000万円以上となりまして、平成25年度の安定収益に寄与するだけでなくて資金面でも一定の効果があります。これによりまして、不動産賃貸事業の収益確保がより強化されたという結果も含めてご案内させていただけたらと思います」と第三者割当増資を実施したことで、債務超過の懸念を解消し、安定的な収益体制を構築した。
■今後の成長のため、先週開催された株主総会で増資枠を更に5万株拡大
引き続き、今後の事業成長について、「現状の陽光都市開発におきましては、安定収益体制は確立しましたものの、人、資金、今後のビジネス拡大の機会が現状の当社には不足していると認識しています。これらの不足する部分におきましては、徳威グループ、フィンテックグローバルの両社が業務提携し、当社の筆頭株主、大株主という立場から協力して、陽光都市開発の新たなビジネスモデル構築に臨む体制を強化していただいております。まず、資金的な面ですけれども昨年11月に実施しました増資は債務超過のリスクの解消、安定資産となる駐車場の買い戻しという一定の成果はあったものの、今後当社の成長的な資金として使うということが実際には出来ていません。その様な反省を踏まえまして、今後の成長のための資金調達をするために先週開催された株主総会におきまして、増資枠を更に5万株拡大させていただいております。再度この増資を、徳威グループをはじめ様々な資金調達の方法を検討させていただきます。この資金をもとに中国への新規ビジネス、国内外における新たな不動産開発の再開、当社のリフォーム事業の収益率の向上といったことを実現するための成長資金とします。この様な資金面のバックアップにつきましてもフィンテックグループのFA(ファイナンシャルアドバイザリー)の下に徳威グループと行動していく体制を整えています」と成長のための資金として再増資を行う予定である。
■中国事業を立ち上げ、新たな収益基盤、事業基盤とする
次に経営の再生について、「先頃の株主総会において、徳威グループから2名、フィンテックグループから1名が新任役員として選任されています。これは、今後当社において行う新規事業に伴うビジネスを確実に行うための人選となります。既存の当社の不動産管理事業並びに不動産の仲介事業につきましては、昨年から重任となりました私、田中と常務の小坂の両名が責任を持って収益の強化、拡充を図ってまいります。更に今回新たに選任された役員により、中国事業を立ち上げ、新たな収益基盤、事業基盤というものをこの陽光都市開発にしっかりと根付かせていくために、ビジネスを展開していきます」と今後の成長戦略のため中国事業を立ち上げることを紹介した。
■徳威グループの持つ付加価値が、今後の成長に不可欠と判断
徳威グループに第三者割当増資を引き受けてもらった理由については、「徳威グループの持つ付加価値が、当社の今後の成長には不可欠であるということを私自身が判断したためであります。フィンテックグループの事業アドバイスをもとに、徳威グループの持つ1万名を超える優良顧客、中国国内をはじめ海外ファンドのルートが、当社より優先的に確保できる環境を整えていることで、当社グリフィンシリーズの中古物件の仲介ビジネスや販売、将来的には徳威グループにおける中国、上海での実績や信頼をベースとした商業施設への関与、それとグリフィンシリーズを将来的には中国で新規開発していく等、徳威グループが持つ顧客、実績、信頼を活用して、新規事業展開の機会をどんどん獲得し、経営基盤の強化、収益体質の改善が可能になるということから、今回の資本提携を進めてまいりました。これらをベースに徳威グループとの連携により、更に陽光都市開発の企業価値をあげていきます」と徳威グループを選択した理由を述べた。
■新規ビジネスは、売買仲介からスタートし、買取再販のビジネスモデルへ
新規ビジネスに関しては、「中国の金融機関の発表によると、中国国内では、投資可能な個人資産が約1億3,000万円以上持っている富裕層といわれている人々が59万人いると推定されています。中国国内の不動産価格の高騰を受け、中国政府も国内不動産に対する投資について規制を強化する動きを見せています。そのため、富裕層は、海外の不動産投資へと分散する傾向があります。その対象といたしまして、個人はしっかり所有権という制度が確立されており、質が高くて安定した利回りが期待できる日本の不動産へも投資資金がシフトしてきており、現実に取引量は増加しているという報告を確認しております。それでは具体的に陽光都市開発ではどのようなビジネス展開ができるのかについて、ご説明させていただきます。まず、新規ビジネスの展開の一つ目としましては、売買仲介からスタート拡大させていきたいと思っています。当社における一事業部門として、売買仲介事業を行っておりますけれども、案件としては過去販売したグリフィンを当社顧客からの委託により、売買仲介業務を通じて顧客の資産売却のサポートを行っております。中国国内における不動産投資関係におきましては、海外の優良な投資不動産を模索するという動きもありますので、今後、徳威グループの中国国内取引につきましても当社のグリフィンシリーズや安定かつ高い利回りが期待できる日本の優良不動産、優良な投資物件を提供することで、物件売却の新たなルートの開拓に努めてまいりたいと思います。まずは、このような売買仲介といったビジネスモデルで日本の投資用マンションを中国の投資家に紹介することから共同事業は進めてまいりますが、当社及び徳威グループの双方が、売買仲介のフィーを獲得するだけではなかなか陽光都市開発の収益規模を拡大させていくまでには至りませんので、将来的には売買仲介から顧客の属性、投資志向を確認させていただいたうえで、当社が買取再販、いわゆる売主の立場で投資用マンションを販売するといったビジネスモデルへ進化させていきたいと考えています」と語った。
■中国へ進出しようとしている企業のニーズを捉えて、徳威グループへ紹介
「日本から中国へ進出する企業というものは、年々増加しておりまして、その数は2万2,000社以上という数になっています。徳威グループにおきましても上海日本駐在員等への紹介する賃貸物件は、上海エリアでは1位、2位を争うほど日本企業との結びつきは強く、その大部分が大手企業との取引先となっています。当然、日本企業での知名度、信頼も厚く、日本企業との取引も年々増加しています。また、当社グリフィンシリーズは、主に単身者向けでありまして、社宅としてニーズも充分にあることから、現在我が社における賃貸仲介における法人顧客もあります。また、海外に拠点を構える事業法人様も多く含まれています。その様な企業に対しまして、当社及びフィンテックグループが中国へ進出しようとしている企業のニーズを捉えて、徳威グループへ紹介していくなど、日本側の窓口として共同事業の展開を図ってまいります。今後も上海に進出を希望する企業は増加すると想定されていますが、大きな企業であれば、現地法人を設立したり、先行投資として情報を収集したりすることがあるかと思いますが、必ずしもその様な企業ばかりとは限りません。日本にいますとやはり現地の事業環境が分からないために、進出に二の足を踏んでいる企業様も多く存在していまして、潜在的な進出ニーズは多分にあると考えています。今回、徳威グループと共同することによりまして、当社及びフィンテックグループが日本側の窓口として、現地でどのような優遇政策があるのか、事業展開としてどのような事が出来るのか、市場調査であったり、住居の斡旋であったり、そういったものを日中両国での事業サポートを陽光都市開発、フィンテックグループ、徳威グループで、ワンストップでコンサルタントすることが出来ますので、当社における賃貸仲介事業の新たなビジネス展開を積極的に推進していきたいと思っています」と語った。
■リフォーム事業の内製化、日本のリフォーム会社への建材販売で強化
リフォーム事業については、「グリフィンシリーズの退居に伴うリフォーム全般を当社にて行っています。その取扱件数は、毎月100件前後で、年間に直しますと大体1,000件以上リフォームを取扱っています。しかしながら、リフォーム工事を外部に委託しており、全面的に外注に頼っていますので、収益率が、他の不動産管理事業、賃貸事業に比較しますとそれ程高くございません。ただ、営業を行って、外部から受注しているわけではございません。当社が管理している物件から毎月安定的に発生してくるビジネスでございます。このストック型のビジネスモデルを更に収益力を強化するため、徳威グループの建材代理店としてのノウハウを活用できると考えています。徳威グループは、日系大手建材メーカーの代理店として数多くの経験、取引実績から日本の品質というものを熟知しています。徳威の建材における確かな目で、中国建材メーカーからの安価で、良質で、なおかつ日本の住居に適した建材を提供していただき、外部に委託しておりましたリフォーム工事を内製化します。更にはその様な建材代理店として日本側の窓口となることで、日本のリフォーム会社への資材提供、新規顧客開拓等を積極的に進め、リフォーム事業の収益強化を図ってます」とこれからのリフォーム事業に関して述べた。
■年間1棟から2棟のペースで、グリフィンシリーズの開発を再開
不動産販売については、「不動産管理事業を中心とした事業展開を図り、安定した収益基盤を構築していますが、確かにまだ問題点は残っています。これから成長させるためには、マンションを開発して販売することが必須となっています。現状当社の財務状況では、まだ金融機関からの新たな借入れはこの数ヶ月のうちには困難と思っています。今回増資枠を増やしていますので、その枠を利用した新規の土地の仕入れ等によりまして、今年も1棟ございますけれども、来年以降におきましても年間1棟から2棟のペースとなりますが、グリフィンシリーズの開発を再開させていきたいと考えています。これは、安定成長基盤の更なる成長戦略として販売再開を目指すものであります。今まで管理戸数が5,000戸まで積み上がってきましたのも毎年、安定的に物件を開発・販売し、供給棟数100棟に至るまで開発を行ってまいりましたことが、結果的に賃貸管理戸数を増やすことに繋がっています。この開発を再開することで、賃貸管理戸数を増加させ、賃貸管理収入も増加させ、リフォーム事業の取扱件数も増加させるといった、事業のバリューチェーンを強化します。徳威グループとの提携で、資金的なバックアップだけでなく、海外投資家、中国ファンドへの販売においてもパートナーとして共同体制を確立し、当初の事業規模の拡大の実現を果たして参りたいと考えています。中国ビジネスを確たるものにするために、組織的にも整備を行い、今回取締役となった新任役員を中国ビジネスの統括責任者として新たな部署の設置を予定しています。この事業を中心にして、新たな収益事業として確立してまいります」と資本提携経緯及び今後の事業展開について詳しく説明を行った。
資金力を持った徳威グループが同社の再建に協力したことで、同社の事業の再成長を期待したい。