建設技術研究所:今期14年12月期第2四半期連結業績は2ケタ増収大幅増益
■原価率の減少により大幅増益、個別では2%程減少
建設コンサルタントの建設技術研究所<9621>(東1)の今期14年12月期第2四半期連結業績は、受注高225億49百万円(前年同期比1.2%減)、売上高208億78百万円(同12.8%増)、営業利益19億07百万円(同105.6%増)、経常利益19億50百万円(同98.2%増)、純利益11億13百万円(同86.2%増)と2ケタ増収大幅増益となった。
受注高が減少した理由は、前期に子会社の建設技研インターナショナルでモンゴル、フィリピンから大口案件を受注した影響による。大幅増益となったのは原価率の減少による。個別では2%程減少した。
契約方式別受注高は、特命随意契約35億円、プロポーザル96億円、総合評価落札方式42億円、指名競争入札52億円となっている。同社の特徴としては、技術力が評価される特命随意契約、プロポーザルの比率が高い点である。総合評価落札方式は、技術と価格で競う方式であるが、価格競争に陥る傾向があるため、同社の総合評価落札方式における入札率は、プロポーザルの入札率に比較すると低い。国としては、技術力を必要とするプロポーザル方式にかなり力を入れている。
業界上位50社と同社の一件当たり契約額を比較すると、上位50社が10.8百万円であるのに対し、同社は18.3百万円と一件当たり契約額が高い。このことは、技術力を必要とする大型案件を同社が得意とすることが窺える。
通期連結業績予想は、受注高395億円(前期比8.3%減)、売上高405億円(同11.2%増)、営業利益22億円(同44.8%増)、経常利益23億円(同40.3%増)、純利益13億円(同32.4%増)と最高益更新を見込む。
今期も好業績が見込まれている中で、同社を取り巻く事業環境と今後の対応について、代表取締役社長村田和夫氏は、8日開催の決算説明会で詳しく語った。
同社の業績に深い影響を与える公共投資予算は、2011年の5.3兆円を底に、12年7兆円、13年6.3兆円と下げ止まりの兆しが出てきている。そのような中、14年6月3日国土強靭化基本計画(アンブレラ計画)のアクションプランを策定し、閣議決定した。国土強靭化プログラム推進の今期予算は、農林水産省4,476億円(13年度比6.0%増)、経済産業省210億円(同16.0%増)、国土交通省2兆4,426億円(同16.0%増)、環境省223億円(同10.0%減)と環境省を除き、予算は増加している。また、1999年以来落ち込みが続いていた建設コンサルタントの技術者単価は下げ止まっている。しかし、新卒者の採用が減少し、若年層の離職者が多くなっていることから、担い手である技術者の確保が必要となっている。発注方式では、プロポーザル方式が増加。6月4日には(改正)公共工事の品質確保の促進に関する法律が施行され、価格及び品質が総合的に優れた内容での契約や、資格等による知識や能力の適切な評価といった基本理念が示された。また、巨大地震に対応するため、南海トラフ地震対策、水門や護岸、堤防、防潮堤の調査・計画・設計、地域防災計画等が策定されている。海外については、新興国への投資が増大している。
このような環境を踏まえ、同社では、品確法への対応ということで、資格者を増やす取り組みを行っている。同社の技術士数は5月26日現在638名(複数所有者を重複計上していない数字)で、全社員の半分近くが技術系最高の国家資格である技術士を保有。また、今期は新卒採用38名、そのうち10名が女性である。中途採用は12名。更に、人材育成のため、事業部門研修費を創設している。海外市場への対応としては、6月にCTIミャンマーを設立し、ミャンマーでの顧客開拓を目指す。更に、同じ6月に、日本防災プラットフォームに参画している。防災関連の海外プロジェクトに関連する国内の産官学で連携し、諸外国のニーズを踏まえ、迅速な検討を実施する。その他の取組としては、技術開発のために、研究開発投資を2億円増額し、6億円としている。維持管理の高度化等に関わる技術開発として、国土交通省の公募に応募し、橋梁点検ロボットシステムの開発・実用化を行っている。また、食農に関する大学との共同研究を実施するために、「CTIフロンティア」を設立し、6月から収穫、野菜の販売を開始。今後は、農作物の販路を確保するための営業活動を展開する。更に、中期グループビジョンと中期経営計画の策定に着手している。中期グループビジョンの対象期間は2016年から2025年。グループ全体を対象としたビジョン策定は初めてのことである。中期経営計画の対象期間は2015年から2017年の3年間、企画委員会において、内容などを検討中。
以上のように、今期第2四半期は増収大幅増益、通期でも最高益更新を見込んでいるうえに、事業環境も良好で、同社の最も得意としているプロポーザル方式を国としても重要視していることから、同社の事業展望は明るいといえる。
>>建設技術研究所のMedia−IR企業情報
>>トップメニューへ